見出し画像

『薔薇/女の子』メイキング解説

しのです(*゚ー゚)

言い訳ばかりのメイキング解説はじまります…!

こちらはnote版です。初回なので記事部分は全て無料公開していますが、一番下にあるpsdファイルのみ有料(100円)となっています…


で、さっそくですが今回描いたのはこちらのイラスト↓
https://www.pixiv.net/artworks/84302812

実はこれ、失敗した1枚目を書き直し完成させた2枚目です。
そのへんも合わせて、方法よりも考え方を中心に解説をしていきます。


◆◆◆1枚目 ラフ〜完成◆◆◆

1枚目はテンポよくいきます。ラフ〜完成がこちら。

画像1

画像2

画像3

見ての通り『薔薇/女の子』というテーマで描きました。


◆◆◆1枚目 反省点◆◆◆

一度目の反省点がこちら。

・髪や肌の質感が硬そう
・顔に違和感がある
・キャラデザがなんかくどい
・キャラクター性が伝わりづらい
・色合いに魅力がない

なんかフワッとしてますね。僕の感じた印象を言語化するにはまだ経験が足りない…しかし、1枚目の失敗はそういう見た目の部分よりももっと大きな点にありました。

それは「描き方」です。


このイラストは、「ラフ→線画→下塗り→清書」という工程で描いています。
この描き方自体はいいんですが、問題は僕にあります。

実は僕、「線画・下塗り」の工程がめちゃくちゃ苦手なんですね…


具体的にどこが苦手なのかというと

・最適な線の強弱がわからない
・最適な線の色がわからない
・最適な下塗りの色がわからない
・塗り分けた後のレイヤー管理がストレス

これだけの苦手を抱えたまま、完成まで描き続けるのは中々大変でした…

今までは「シンプルな絵柄」だったのでそれでも描けましたが、最近はもっと「凄みのある絵」が描きたいので、今のやり方だとモチベーションが続きません…

というわけで、2枚目はこの反省を踏まえ描き方をガラッと変えます。


◆◆◆2枚目 構図ラフ◆◆◆

続く2枚目。こっからが本題です。ゆっくりいきましょう。

まずラフ。前の失敗の一つである「キャラクター性が伝わりづらい」はここで解消します。


そもそも薔薇というと「情熱」「愛」というイメージですが、1枚目のキャラやポーズ見る限りどっちかというと「清楚」「おしとやか」な感じです。

調べたらこのイメージは「赤い薔薇」ではなく「ピンクの薔薇」の花言葉に近いみたいなので、今回はピンクの薔薇が似合うような、清楚で綺麗なイラストを目指します。

というわけでまず描いたのがこちら。

画像4

悪くないですが、もう少しぶわっとした動きが欲しいので、流れるように花びらが舞う構図に変更します。

画像5

良さそうですね…!
もう少し細かくデザインを詰めて、構図ラフは完成とします。

画像6

(ちなみにしれっと追加した頭のベールやっぱ合わなかったのでこのあと外します…)


◆◆◆2枚目 白黒ラフ◆◆◆

グレーラフとも言う。
1枚目では描かなかったやつです。

これを描くと、具体的な完成イメージが湧きやすくなるのでモチベが上がりますね。明暗差でデザインを考えられるので、配色もしやすくなります。


ただ僕のグレーラフは少し特殊で、単なる配色だけでなく「完成イラストを白黒にした状態」とほぼ同じものを意識して作ります。

要は「影や光の加減、質感」をある程度表現するということ。

画像7

あまり緻密に描き込む必要はないですが
「遠目に見てイラストとして魅力的に見える」レベルまでは描き込みます。


◆◆◆2枚目 色ラフ(グリザイユ画法)◆◆◆

カラーラフとも言う。
配色や全体の見栄えを決めるために描くものです。

これは1枚目でも描いていましたが、今回の色ラフは描き方が違います。ここでは一つ前で描いた白黒ラフに直接色を付けて色ラフを作ります。
いわゆる「グリザイユ画法」ですね。

ただ普通のグリザイユ画法と違い、ここで描いているのはあくまでラフです。
細かいところは無視して、「乗算」「オーバーレイ」「スクリーン」「炊き込みリニア」などの効果レイヤーを使いどんどん色を作っていきましょう。

画像8

画像9

画像10

当初ピンク〜黄色の暖色系でまとめる予定でしたが、服の色を青紫に寄せたらかなりいい感じになりました。
似たような色でまとめるより、一部大きく色相をずらしたほうが魅力的に見えるのかもしれません。

もし似たような色に偏っていると感じたら「カラーバランス調整(クリップスタジオの機能)」を使うと、影やハイライトの色相をずらせるので、個人的にオススメです。

画像11

こちらも「遠目に見てイラストとして魅力的に見える」レベルまで描き込みます。
何となくいいかな?と思ったら、色ラフ完成です。


◆◆◆2枚目 清書(厚塗り)◆◆◆

いよいよ本番です…!
1枚目の反省を踏まえ、ここからは「線画」も「下塗り」もやりません。苦手を克服するのも大切ですが、「苦手なことはやらない」という選択も時には必要なのです。

というわけで、まずは作った色ラフを合成し「キャラ」と「背景」の2レイヤーにまとめます。ただ今回は目に苦労しそうだったので、目だけ別レイヤーで分けています。この辺はお好みですね。

で、ここからどう塗っていくかという話ですが、見出しに書いてあるとおり「厚塗り」します。

厚塗りと言ってもリアルに描くわけじゃなくて、あくまで「ラフのイメージを保ったまま、細部を整えていく」という感じです。

画像12

画像13

すでに完成イメージがそこにあるので、線画の太さや色も決めやすく、グリザイユ画法にありがちな色のくすみも厚塗りである程度解消できたりします。何よりレイヤー数が少ないので「レイヤー管理」がほとんど必要なく、非常にストレスフリーです…!

コツとしては、「細かい部分を整えたら、必ず全体を確認する」ことでしょうか。
細かい部分に気を取られると、ラフと違い見た目になってしまうことがよくあります。

もし心配なら、「サブビュー(クリップスタジオの機能)」を使い、別名で保存した色ラフを常に表示しておくのが良いと思います。(ペイントソフトによっては似たような機能がない場合もあります…)

画像14


◆◆◆2枚目 完成・反省点◆◆◆

で、同じ要領で背景も整え完成です。
地味にラフの時と背景の色が変わってますが、どっちのほうが良かったのかは判断が難しいところです…

画像15

なんにせよ1枚目に比べたら、全体としてのまとまりが良くなったと思います。
線画を描いてないこともあって一般的なイラストとは少し違った雰囲気ですが、僕はこの感じ嫌いじゃないです。

ただまだまだ反省点は多いです…

・細部が粗い
・服に立体感がない
・服の質感が硬そう
・肌の質感が硬そう
・薔薇の形が曖昧
・背景を曖昧にしたまま描き進めてしまった
・配色を曖昧にしたまま描き進めてしまった


そもそも、どうして最初から厚塗りせずに「グリザイユ画法→厚塗り」みたいな変な塗り方をしているのかというと、何もない状態から最適な色を選べるほど色を塗った経験がないからです…

たとえば「この配色で肌がこの色の場合、影をどの色にすれば魅力的に見えるか?」って、普通パッと選べないじゃないですか。

でも厚塗り得意な人ってこれができるんですよね。特に色彩豊かな海外イラストレーターの方とかこのセンスが物凄いです…


おそらく、色を塗った経験が人より多いので、過去の経験から何となくいい色がわかるんだと思います。こういう人達に追いつくには、同じ経験をしないといけないですね…

というわけで、実は今「厚塗りで写真を模写する」という練習をしてます。この練習がどの程度役に立つかはわかりませんが、「厚塗りができないから厚塗りの練習をする」という考え方自体は間違ってないと思うので、しばらく続けてみます。

これについてはまた別の記事で報告します。


ちなみにこれはあくまで補助的な練習なので、イラストもちゃんと描いています。

今後も定期的に(おそらく月2〜3のペース)でメイキングの解説する予定なので楽しみにしていてくださいm(_ _)m


また、以下は今回描いたイラストのpsdファイルとなります↓
対応するソフトで開いていただければ、細かなレイヤー構成や、ラフ〜清書までの苦労の跡がわかると思うので、よければダウンロードして見てください。(有料ですが…)

ここから先は

0字 / 2ファイル

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?