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【クラシック暗黙の了解】楽章って何?【やさしい解説】#1

こんにちは、フーガです。

 やさしい解説シリーズの第一号です。このシリーズでは、みなさんがクラシックに興味が持てることをモットーにしています。決して内容を薄くしたり、簡単な言葉を選択しているというわけではありません。

 こうした解説は様々なサイトや他のnoteのライターさん方が書いているものですから、私なりに工夫をして、ただ事実を述べるような記事になることは避けたいと思います。

楽章って何?

 国語の授業で習うことですが、日本語もまた文章、文、文節、単語といった用語で分けられます。これと同じように、特に長大なクラシック音楽において、楽曲を区切る役割が必要とされるのです。その中で、楽章は曲を分ける要素で最も大きなものです。こうして分けられた楽章の中でも、提示部や再現部、コーダなどさまざまな用語で細分化されていきます。

 クラシック音楽ではソナタなどの大規模作品においては楽章で分けられることが多く、それぞれの楽章で受け持つおおよその役割があります。3楽章制のピアノソナタ23番(ベートーヴェン)を例に考えてみましょう。

 この曲では、まず第一楽章で主題が提示されその主題や他の音のパーツが第二、三楽章で何度も現れます。これにより、ソナタ全体が統一感のある有機的な構成となるのです。また、楽章ごとに違う性格を持たせることにより、長い演奏でも飽きない工夫にもなっています。

それぞれの楽章の主な役割

 ここではそれぞれの楽章の特徴を述べていきます。今回は3楽章制の場合で考えます。

第一楽章

 第一楽章はその曲のメインと言っても過言ではありません。楽章の中で最も長いものが第一楽章である場合もしばしば見られます。ソナタの場合、提示部、展開部、再現部という3部構成が見られます。提示部では、その楽章の主題(テーマ)が演奏されます。それに続く展開部では、提示部で示した主題を分解したり音を付け加えたり、ほかのメロディをいれるなどして楽章の規模を増幅させていきます。そして再現部では、提示部を繰り返すように主題が示されます。この主題が大抵転調するのです。こうして、最後にはコーダ(結尾)に持ち込まれ、その楽章が終了します。

第二楽章

 第一楽章に続くこの楽章では、比較的穏やかな場合が多いです。第二楽章(それ以降)は第一楽章で使われた素材を組み替えながらメロディを作る場合が多いです。この形式は主にベートーヴェン辺りから見られるようになりました。例えば、ハイドンの交響曲において、同じニ短調の曲を3つ持ってくるとします。それでも一応は一つの曲として完成されるわけです。しかし、ベートーヴェンの曲で違う曲から楽章を持ってくると素材がバラバラですから、なんとも聞き心地の悪いものとなるのです。

第三楽章

第三楽章はフィナーレですから、あるときは壮大、激烈にまたあるときは行進曲のような曲調であったり…とにかく、曲の締めくくりと呼べる楽章です。ここでも、以前の楽章で使われたモチーフや素材を使っています。

番外編

 ちなみに楽章で分けられていないものを単一楽章制といいます。時代が進むにつれて、楽章をもつソナタのような形式美が重視されなくなったからです。リストの交響詩をはじめとして、ロマン派には単一楽章の楽曲が多く存在します。それでも、古典派の楽章制のものが基幹となっていることに間違いはありません。また、構成があまりに複雑化されていることもありません。むしろ、短くまとめられて聴きやすいものばかりです。

まとめ

楽章があることで曲全体のまとまりが良くなることがわかったことと思います。楽章を持つ楽曲の例としてベートーヴェンのピアノソナタ23番やショパンのピアノソナタ3番(4楽章制)を挙げておきます。どちらも聴きやすいので、是非聴いてみてください。