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自作キーボードのハードルが高そうなので「ErgoDox EZ」を買ってみた

近年、エンジニアやプログラマーなど一部界隈では、自作キーボードがアツいと聞く。ファームウェアを書き換えてキー押下時の挙動を自由に設定できたり、ハードウェア的にもカスタムの幅が広かったりと、自作キーボードには興味が湧くポイントが多い。

やってみたいとは思うものの、僕はプログラミングとは縁遠い人間だし、時間とお金、環境を揃えるのがおっくうだし、はんだ付けなどで失敗したときのことを考えてしまうと手が出ない。あと、自作キーボードのお店「遊舎工房」とかに行ってみたい憧れはあるけれど、ビビって行けなさもある……。

なので、「ErgoDox EZ」を購入した。キーボード本体(270ドル)とチルトキット(25ドル)のセットで、295ドル(1ドル107円だと3万2000円くらい)した。(自作キーボードの相場として高いか安いかわかりかねるが)少なくとも、僕にとっては非常に高価。なのだが、気分が乗ってたので勢いで買ってしまった。時間を確保したり環境を整える手間はなくなり、お金がなくなった。

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左右分離型キーボードのErgoDox EZ。左右のキーボード同士、およびキーボードとPC類とは有線で接続する

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おまけで付いてきたキーキャップ引き抜き工具。ロゴがカッコいい

「ErgoDox EZ」ってなに?

「ErgoDox EZ」は、オープンソースの自作キーボードプロジェクトである「ErgoDox」を元にして組み上がった、左右分離型キーボードである。キーボードとして使える状態で、かつ注文から1週間程度で届いた。とてもありがたい。

購入時には本体カラー・キーキャップの刻印の有無、キースイッチの種類、付属品などを選択可能。選べるキースイッチは多岐にわたるが、今まで使ったことのないものにしたいと考えた。
いろいろ悩んだ末に、アクチュエーションポイントが1.1mmと浅めで、押下圧も40gと比較的軽いKailh Silverに決めた。付属品は、キーボードの高さや傾きの調整に使えるチルトキットだけ購入。なお、パームレストも選択できたが、硬い素材が好みなので見送り。木製のパームレストを別途購入した。

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Webサイトから注文する際、完成品の見た目を確認できる
画像出典:https://ergodox-ez.com/pages/customize

キーボードそのものの使い心地は良好

本製品をしばらく使ってみて、最終的には使い続けられそうだという評価に落ち着いた。使い始めてみると、グレーの細長いキー周辺にある4個のキーをはじめ、私の短めな指だと届きづらいキーがいくつかあることにまず気づく。

指を伸ばすか手首を動かせば、なんとか届く。が、前者は疲れるし、後者はホームポジションまで手を戻すのが面倒だ。本製品のベースであるErgodoxが海外製なので、大きめに設計されているのだろう。まぁ、このへんの作りはしょうがないと割り切る。該当するキーには、使用頻度の低い機能を割り当てておいたので、活用シーンがまったくないというわけでもないし。

キースイッチはKailh Silverにして良かったと思う。アクチュエーションポイントの浅さから、ちょっとしたことで反応してしまう仕様に慣れず、使い始めはミスタイプが多かった。しかし、力加減がわかってからは快適に使えている。底打ちするほど押し込むとキーがやや重く感じるが、軽いタッチで入力できるので、指の負担は軽い(と思う)。東プレの押下圧30gな静電容量無接点方式のキースイッチと比較すると、さすがに重く感じるかもしれないが。

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選択できるキースイッチの種類は豊富
画像出典:https://ergodox-ez.com/pages/customize

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Kailh Silverはこんな感じ

打鍵音は大きめに感じる。手元にあるキーボードでいうと、Cherry MX 赤軸を載せたBarocco MD600より大きな打鍵音がする。カチャカチャと打鍵音が鳴り続けると作業が進んでいる気分になるので(錯覚)、個人的に大きめな打鍵音は好み。だが、周囲の環境如何によっては避けた方が良さそう。

悩ましくも面白い二つの問題

本製品を使い始めたときは、そのほかにも二つの大きな問題を抱えていたが、今はだいたい解消できた。

問題の一つは、キー配列だ。そもそも、本製品はUS配列である。それは事前に把握していたが、慣れるだろうと高を括っていたのがよくなかった……。全然慣れない。

なので、キーコードを定義し直してJIS配列とUS配列の挙動の差異を埋め、ついでにキーマップを自分好みにカスタマイズした。このあたりは先人の知恵を参考にして作業しており、ぶっちゃけると自分でもよくわかっていない部分があるので、解説は省く。

参考にした記事
JISキーボーダーもErgodoxを使いたいんです(Qiita)
カスタムキーマップで自作キーボードを自分の分身とする(ASCII.jp)

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ErgoDox EZのWebサイト上でキーマップをカスタマイズし、そのファイルをダウンロードして使うことも可能
画像出典:https://configure.ergodox-ez.com/layouts/default/latest/0

もう一つの問題は、キーボードの配置場所だ。どこに配置して、どの方向にどのくらい傾ければしっくりくるのか、パームレストの高さはどうすべきか、などなど。

しっくりくる配置は個人差が大きく、手探りで突き止めるしかない。現状ではタイプしやすい位置を探り当てたと思っているが、まだ改善の余地はあるかもしれないので、ちょくちょくポジションを調整している。

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付属品のチルトキットでキーボードの高さや傾きを調整できる

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机周りが汚くて見せられないが、実際はノートPCと外部ディスプレイをつないでいる。また、パームレストは高さが物足りないので、本などを下敷きにしている

ErgoDox EZの性能をもっと引き出したい

本製品の魅力を享受するには、いろいろ足りていない。左右のキーボードの間にできたスペースには、トラックパッドもしくはトラックボールを置きたいが持っていないし、アームレストもない。アームレストなしで左右分離型キーボードを使うと腕が疲れてくるのだが、今のところはパームレストの高さと位置を調整し、パームレストをアームレスト代わりにしてしのいでいる。トラックパッドの類とイスは、お金が貯まってから買おうとは思っている(出費がかさむのでしんどい)。

キーマップやレイヤー機能の設定についても、全然作りこめていない。もっと入力しやすい環境を目指すよう、少しずつ改良していきたい。この試行錯誤する工程は楽しいと思えるようになってきており、はんだ付けなどでハードウェアを組み立てる工程も同種の楽しさなのだろうかと考えると、挑戦するハードルが少し下がった。先述の遊舎工房をはじめ、工作スペースを設けたお店もあるので、そちらを活用するのもアリかな、と思っている。

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試しにAndroid端末につないでみたら、思った通りの挙動にならなかった。Android側の設定も含めてよく見直し、再チャレンジしたい

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ErgoDox EZを販売するWebサイトでは、47キーのコンパクトなキーボード「PLANCK EZ」も取り扱っている。かわいい………
画像出典:https://ergodox-ez.com/pages/planck

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