『クーベルチップ歌会作品集』を読んで 10 スズキセイラ 2022年5月5日 12:01 塔の先輩歌人でもある丸山萌さんが編集された『クーベルチップ歌会作品集』を、ご好意で一冊譲っていただきました。読後ツイートをまとめます。丸山萌さんのご好意で譲っていただきました『クーベルチップ歌会作品集』好きなお歌を。#クーベルチップ歌会 pic.twitter.com/KgFjnrj8Ht— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 車窓には月が流れてまっすぐに立っていられることはすごいよ / うゆに夜の電車。主体を含め、乗っている人々の全員が仕事や生活をしている、その当たり前の事実に感嘆してしまう。まっすぐに立っていられることはすごいこと。主体の発する言葉が誰に向けられているか分からないが、共感した。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 唐突に手を触れられてひあしんすときにはつよく香つてもいい / 近藤由宇触れられて、とあるので誰かが意志を持って触れた瞬間。どきっとする心の動きを ひあしんすの一語で受けて、甘美で柔らかなクッションのよう。下句は主体自身に向けた言葉だろうか。表に出さない感情を時には香らせてもいい。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 横浜駅の工事が終わってしまっても続く世界でまた会いましょう / 桜井あらん現実の横浜駅が工事中なのか分からないが『横浜駅SF』が浮かんだ。工事が終わり何かが完成すれば、きっと世界は変わってしまう。だとしても主体はいま関わる人たちを包括する現世界を愛していて、再会を願うのです。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 ほんとうのことを舌下に泳がせて少しも白くない白湯を飲む / 櫻井朋子たしかに、白湯は白くない。真っ赤な嘘も赤くないように。主体は、言葉にしない「ほんとうのこと」を口に泳がせている。泳がせて、の表現に若干の余裕が感じられるので、どこか冷めた目で自身を俯瞰しているのが伝わってくる。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 くじらくじらずうっとそばにいてほしいいつか骨まで海になるまで / 鈴木智花上句のリフレインから「ずうっと」の音の流れ、童謡のように滑らかに主体の寂しさが伝わる。主体は鯨という大きな生命に思いを馳せて、死後の骨が海に同化してしまうまで孤独ではないことを願っている。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 てらてらとひかる青葉を見つめれば憂鬱と目が合いそうになる / 松本志李まず てらてら、という擬音に惹かれた。気持ちが沈んでいる時に「人の気も知らないで」て余計沈みこむように、青葉の光の明るさで主体自身の心の暗さが浮き彫りになってしまう。それを表現した下句も絶妙。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 遠い比喩引き寄せて咲く白木蓮嘘をつくなら美しくあれ / 丸山萌白木蓮、花言葉は「高潔な心」。美しさの比喩として引き合いに出される白木蓮は、違う、比喩を引き寄せ咲いているのだと。一首を通して凛とした姿勢を感じ、とても惹かれた。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 なぜこころからだのうへに積もらない 返信よりも雪を見てゐる / 森山緋紗心が体の上に積もる、とは。思いがどれだけ募っても、それは可視化されずに体を支配する。もしも雪のように積もってくれれば、守り包みこんでくれるのに。他者からの返信よりも、主体は内なる心の機微に苦しんでいる。— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 以上、好きなお歌を好きなままに。とても読みごたえのある作品集でした!貴重な一冊をありがとうございました。#クーベルチップ歌会— スズキセイラ (@fufunag) May 5, 2022 #日記 #クーベルチップ歌会 #クーベルチップ歌会作品集 #tanka #短歌 ダウンロード copy #日記 #短歌 #tanka #クーベルチップ歌会 #クーベルチップ歌会作品集 10 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート