陸奥ミステリアスツアー ~奥の細道異聞~

「大変大変!乗り遅れちゃう!」
上野駅で東北新幹線のホームに向かう途中、メイドさんが僕を追い越していった。
ものすごく可愛いけど声は何故かイケメン。プラチナのショートヘアからヘッドドレスが落ちる。
「落としましたよー!」
彼女?を追って新幹線乗り場入り口の改札を通過し、エスカレーターに足を踏み入れたその時「あ・・・!」
僕は足を滑らせて転げ落ちた。地下へ続く長い長いエスカレーターを。
「うわぁあああああ!!」

「え・・・?」
気がつくと僕は新幹線のホームにいた。
あれだけ落ちたのに奇跡的に無傷。荷物はぶちまけてしまったけれど。
「大丈夫か?」と、声をかけてくれた黒いパーカーの青年と荷物を拾い集めていると、新幹線接近のアナウンスが。
「19と3/5番線に、7時50分発、やまびこ12万205号、仙台行きが参ります…」
エッ?
しめやかにホームへ進入してきたのは、真っ黒な0系新幹線だった。【続く】

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