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アカデミー事業ローンチに寄せて

皆さんこんにちは。藤原です。2019年8月5日、全てのスタートアップ・投資家のための学びの場となる新規サービスをローンチし、会員の募集を開始しました。

入社後2ヶ月で何とか新サービスを形にすることができ、無事この日を迎えられ、とても嬉しく思っております。

社内では一緒に創ってきたマーケティングのメンバーや学生インターン、社外ではブランディングでお手伝いいただいたPARK Incの方々や、色々と僕の相談に乗っていただいたスタートアップ界隈の方々に、改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

2019年春に、僕がベンチャーキャピタリストとして働いていたNHNグループのCVC(NHN CAPITAL)を辞めると決めてフラフラしていたときに、ケップル代表の神先さんから「うちでアカデミー事業を創ってくれないか?」と某飲食店で誘われたのが直接的なきっかけではあります。ですが、さすがの軽い僕でもその事業に(社会的にもファイナンス的にも)やる価値があると確信できない限り、簡単に誘いに乗ったりしません。

せっかくのローンチの機会ですので、この事業について、そこに込めた想いや、解決したい課題、あるいはどうやって事業を創っているのかなど、後々のために残しておこうと思います。僕と関わっていただける可能性がある全ての方々のご参考になれば幸いです。

投資家時代に抱いていた悩み

老舗のVCならブランドが確立していて、ソーシング(投資候補となるスタートアップCEOと出会うという、スタートアップ投資におけるスタート地点になる業務のこと)も結構楽だろうし、教育や投資実務に関わるノウハウなども優秀な先輩キャピタリストから吸収できる機会は充実しているでしょうけど、(僕がいたNHN CAPITALもそうでしたが)経験者が少ないCVCだったり、歴の浅い組織だったりすると、そのあたりが圧倒的に不足しているなぁと常々課題に感じていました。

投資契約書をレビューしてもらう法務部門でも、ついつい事業会社の観点で見てしまう(ダウンサイドリスクをひたすらヘッジしようとする)ことが多いのですが、スタートアップ投資においては『ない袖は振れない』との言葉の通り、失敗したらカネを返せとか、そういう条項を投資契約書に入れ込むことに特に意味はありません。(そんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ)

別の問題として、CVCというのは往々にして事業シナジーというものを追い求めがちです。僕個人はシナジーなんてものはツチノコと同じで都市伝説なのであるから、基本ないものであって、見つかったらラッキーという程度のスタンスでいるべきだと思っています。そんなツチノコを大企業側が投資契約書に「10匹見つけてこい」的な条項を入れようとして、いやそんなの無理です、というせめぎ合いの中で、無駄に時間だけが経過していくという、変化の速いスタートアップにとって致命的なプレイをされるという事案が界隈では度々報告されています。本当に憂慮すべき事です。

アカデミー事業をやる理由

なぜ前述のようなことが起こるかというと、やはりこれまで老舗のVCたちが培ってきたノウハウであったり商習慣であったり立ち居振る舞いを、新しい方々が理解できていないことが大きいと思います。スタートアップ投資というのはある種、禅僧のような態度で臨まなければなりませんが、それができず、得てして自社の論理で見てしまうんだろうと思います。

このようなナレッジ不足から来る本来やらなくてもよい失敗をなくす、これがこの事業に担わせたい役割の一つです。

また、僕はスタートアップ投資事業においては、投資家同士の人的ネットワークも極めて大切だと思っています。僕がベンチャーキャピタリストだったときには日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)という組織に、幸運にもCVC会員として入会できましたので、勉強会や研修会には漏れなく参加してネットワーク作りに励んでおりました。当時会長だったGCPの仮屋薗さんにも「全参じゃないの!」とビックリされたこともあるくらい、毎回欠かさず参加していました。

特に役に立ったのは、6月頃に毎年1度だけ、全3日間のコースで開催されている『ベンチャーキャピタリスト育成研修』でした。基本的にはVC/CVC業界に入ったばかりのキャピタリストが1クラス80名ほどの定員で集い、A/Bの2クラス計160名で運営される16万円ほどのコースなのですが、研修コンテンツの秀逸さや登壇講師(GCP仮屋薗さん、B Dash渡邉さん、UTECH井出さん、iSGS菅原さん、ジェネシア田島さん、KVP長野さんなどなど)の素晴らしさもさることながら、そこで獲得できる横のつながりは今も大きな財産になっています。(下の写真は3日目の研修を終えヘロヘロになっている私)

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それなりにハードな研修でしたが、実際にそこで知り合った仲間とは研修期間が終了したあとも勉強会を独自に企画して集まったり、投資案件を紹介し合ったりしていました。僕の場合は投資候補先のスタートアップCEOに焼肉をご馳走する際には、ついでにこの研修で知り合ったキャピタリスト仲間を呼んで同席してもらったりもしていました。UTECH井出さん、GCP南さん、ITV宮内さん、KVP萩谷さん、YJキャピタル大久保さん、その節はありがとうございました。

特に思い出深いのは、2018年末に行われたEY新日本有限責任監査法人さんの大きなイベントに、この研修で知り合った仲間と一緒に登壇するという希有な機会を得られたことでした。謝金をいただけたので個人的にも初めて副業申請を会社に提出したイベントでした。EY新日本有限責任監査法人の今井さん、吉本さん、DeNAデライト・ベンチャーズ永原さん、GCP南さん、新生企業投資山田さん、その節はありがとうございました。

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このような今後につながる貴重な人的ネットワークの獲得というのが、僕がこの事業に担わせたいもう一つの重要な機能です。

ただ、これまで紹介したように極めて有用なJVCAの『ベンチャーキャピタリスト育成研修』ですが、JVCA会員でも希望者全員が受講できる訳ではありませんでした。なぜなら人気が高すぎるからで、それは1社あたりの参加可能人数が設定されていてもキャンセル待ちが出るほどでした。当然のことではありますが、JVCAに加盟していないVC/CVCは参加できません。このような状況を見ると、現行のサービスだけでは、市場全体のニーズを吸い取り切れていないのではないかと感じていました。

そして、今後もVCファンドの大型化の傾向や、オープンイノベーションの文脈においてCVCの設立が相次いでることからも分かるとおり、スタートアップ投資に関わる人たちは新たに市場に供給され続けていきます。この環境変化は僕がこの事業をやる価値があると思った根拠の一つになっています。

また、これまで述べてきたような悩みだったり課題だったりというのは、投資家側だけではなく、実はスタートアップ側にも同様にあるのではないかと僕は思っています。スタートアップCEOも、とあるアクセラレータープログラムの同期という関係になると、プログラム提供期間の中でかなり仲良くなったり、それが終わった後も強固な人間関係によって継続的に情報交換などがなされていると思います。

個人的にはニッセイキャピタルの50Mや、Tokyo XR Startupsは、そこに集う起業家の質においても、その中で行われているコミュニケーションにおいても、優れたコミュニティーに仕上がってきていると感じます。彼らに負けないような良質なコミュニティーが作れるよう頑張って行きます。

どうやって創ったのか?

僕がこの会社にJoinして初めにやったことは、沢山の人たちに会いまくることでした。2019年6月は発散月間として、まずは実現可能性のある/なしに関わらず、色んな人の色んな意見やニーズなどを聞いて回りました。

と言うか、実は6月1日の入社前の段階でまだ名刺もないのにフライングで既に事業の相談に訪れたりしていました。(下の写真はフライヤーの取締役COOの荒木さんに5月29日に相談に行ったときのもの)

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新規事業を企画するときに、僕はオフィスの自分の席や会議室でウンウン唸って考えるのがかなり苦手な人間です。ある一定程度の仮設の構築ができたなら、あとはひたすら外に出て人と会いまくると決めていました。

僕はfacebookメッセンジャーを開いて界隈の方々に片っ端からアポを取っていきました。どんなに忙しい方でもランチは食べるので、会議室が難しければランチミーティングを依頼すると大抵は会っていただけました。

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上の写真は後にIPOのイベントとM&Aのコースの講師をお願いすることになるPEファンド代表の田中博文さんとのランチミーティングのもの

この活動で分かったことなのですが、業界で成功している方ほど、こちらがお願いしている側なのに、ご馳走してくれるんです。6月は営業日が20日ありましたが、独りで自腹ランチを食べたのは3営業日しかありませんでした。本当にありがたいことです。

そんな動き方をしていたからか、自然発生的に「藤原が飯をたかりに来る」とか「こうなったら被害者の会を結成しよう」とか言われるようになりました。僕が電通PRのある方に、「こんにちは。ご無沙汰しています」とメッセすると「うわっ、遂に俺の所にも来たか!くそっ!奢ってやるよ!」とまだ何も言ってないのにランチアポが完了し、汐留の高級焼き肉店が予約されるという謎のプレイも可能になっていきました。本当にありがたいことです。

人と会いまくってアイデアを発散させまくった6月でしたが、7月は逆に、風呂敷を畳む月間にしました。マーケティング担当や学生インターンの力も借りながら、現実的な事業プラン作りを始めました。

僕らはまだ専用の会場を持っている訳ではありませんので、イベントやコースのための会場というのは毎回独自に手配しなければならず、会場別・テーマ別・講師別の収益性シミュレーションツールを作ったり(インターンが優秀だったので想定より早く完成)、講師候補の方とは開催日や開催テーマを相談し、実際に講義をデリバリーしていただく際の報酬体系などを含む講師契約を顧問弁護士の方とも相談しながら決めていきました。

マーケティング担当には広告出稿媒体やクリエイティブ、Webサイトの構成、チケット購入フローや導線、問い合わせ対応の確立など、一気に現実的なビジネスプロセスの検討をお願いしました。

ブランディングで手伝ってもらっているPARK Incの方々とは、ブランドロゴやスローガン、Webサイトやノベルティグッズなど、受講生と接する可能性があるあらゆる場面でのデザインを一緒に決めていきました。

ロゴとスローガンに込めた想い

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PARK Incの佐々木さんと田村さんから提案いただいた約10種類くらいの候補の中から選んでいたとき、僕も代表の神先も第一印象で意見が一致したのがこのロゴとスローガンでした。

このロゴとスローガンには「スタートアップ経営者・経営幹部や、彼らを支援するVC・CVC・事業会社投資部門などに所属する投資家が、ぞれぞれのステージに応じて必要な知識や経験・スキル等を、業界の第一線で活躍する経験豊かな講師陣から、確かな学びとして獲得することができるサービスでありたい」という意図が込められています。

単に知識を得られるだけでなく、学びの場における受講生同士の交流によって、極めて有用な人的ネットワークを獲得できることにも大きな価値を置いておりまして、大学を想起させるこのロゴにはその思いも込めています。

何を提供していくのか?

スタートアップ向け、VC/CVCなどの投資家向けの2種類に加えて、両方が一緒に聞けるテーマも扱っていきます。オープニングイベント(@大手町1-3-7 日経ビル2階 SPACE NIO)は2019年8月20日です。これを皮切りに、様々なイベントやコースを続々と開催していきます。

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まずは8月20日のオープニングイベントにお越しいただいて、雰囲気を掴んでいただけたら嬉しいです。終了後には懇親会も開催しますし、僕も現地にいますので、何か分からないことがあったら何でも聞いていただけたらと思います。お申込はこちらです。

おわりに

講師としてご登壇いただける方を継続的に探しています。僕が企画するテーマや内容に沿ってコンテンツを提供していただける方、あるいは、僕と一緒に登壇してファイヤーサイドチャットの形式でスタートアップ経営者やVC/CVCなどの投資家の学びになるようなお話しをしていただける方、ぜひ一緒にスタートアップ界隈の底上げに貢献していただけないでしょうか。

多額の謝礼は支払えませんので、講師業として儲けてやろうとお考えの方にはアンマッチになりますが、スタートアップ経営者やVC/CVCなどの投資家と一気につながれることに意義を感じていただける方であれば、幾許かのメリットをお返しできるかと思います。

では最後になりますが、このnoteにお付き合いいただきありがとうございました。これからもスタートアップ界隈の期待に応えられるよう全力で邁進していきますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどお願いします!

藤原弘之
渋谷区のオフィスにて

連絡先

Twitter → https://twitter.com/fuddy
Facebook → https://www.facebook.com/hiroyuki.fujiwara/
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1977年大阪生まれ。元プログラマーの元CVCキャピタリスト。FC東京SOCIO会員13年目兼ビッグフレームス。工学部卒/経営学修士。スタートアップで働くのは実は3社目。