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『最後に笑えれば全て良し』

人生何かを手に入れるためには、
何かを捨てなければいけない

2023年の抱負を書くにあたって、2022年を振り返ってみた。

2022年を振り返ってみて、率直に出てきた感想はこれだ。

何かを手に入れるためには、
何かを捨てなければいけない。
別に何かを捨てたからといって、
求めていた結果が出るとは限らない。
ただ、それでも費やした過程には意味がある。
そこでたとえ挫折したとしても、そこから這い上がって再出発して新たなステージで結果を出せば、それまでの挫折は意味のあるものになり、最後はきっと笑って終われる。

FC NAKAIではほとんど試合に出れなかった

2021-22シーズンの全てを賭けたFC NAKAIでは、ほぼほぼ公式戦に出ることはなく、頂杯でもほとんど出れなかった。
ほぼ毎日あるチーム練習に加えて、ほぼ毎日練習後にパーソナルジムに通った。試合や練習試合の後にも必ず通って、トレーニングと移動時間で1日が終わることもザラ。
それでも試合に出れなかった。

「本当にその練習に意味があったのか」
と聞かれるとそれはまだ答えは出せない。
それでも、自分はフットサルの経験と実力というものがチームで一番少なかったから、ただ上手くなることだけに向き合ったシーズンだったと思う。
自信を無くすよりも先にいま何をやればいいのか、身体を動かしていた。

Fリーグに初挑戦。またしても試合に出れない。

FC NAKAIが全日本フットサル選手権関東大会で敗れて解散した後、自分はFリーグに挑戦したいと思った。

ただ挑戦したいとか漠然とした気持ちではなくて、主に下記の2点から考えた時に、Fリーグに挑戦すべきだと思ったから。

①フットサルとは別に「デフフットサルで世界一を獲る」という目標があったこと。
②メルカリからプロ選手としてアスリートサポートしてもらっている環境をいただいているということを考えた時に、「プロ選手の定義」について深く考えたこと。

デフフットサルで日本が世界一を獲るという目標から逆算して考えた時に、前回のデフフットサルW杯に出場して感じたことは主に以下の2つ。

世界一を獲るという目標を立てながら
グループリーグ敗退に終わった。

日本が優勝するのに必要なレベルの基準

試合を見た感覚でしかないが、優勝国のスペインは日本のフットサルリーグで言うと関東1部か関東2部の上位あたり。
そこから考えた時に、自分がFリーグで戦える選手になれれば、必然的に優勝を狙える位置につけられると思った。
現に今所属しているヴォスクオーレ仙台が出たら、ぶっちぎりで優勝すると思う。

一発勝負で自分の実力を如何なく発揮できるようにすること

クラウドファンディングでお金を集めた直後のアジア大会で、多くの人を巻き込み、そのお金で参加しているという責任からのプレッシャーで自分のパフォーマンスを大きく下げてしまった。
それと同時に自分のミスやゴールで4年に一度しか無い試合の結果が出るという一発勝負の緊張感に飲まれていた自分がいた。
そう考えた時に、お金を払って試合を見にきてくれるお客さんがいる中でその対価に見合った試合をするという責任や緊張感が生まれるFリーグに挑戦することで、一発勝負への耐性をつけられると思った。

プロ選手という定義

よくフットサルのような、リーグとしてはプロリーグとして存在するが、チームから選手としての給料は出ず、働きながらプレーしている選手がほとんどの競技では「プロ論争」というものを度々見かける。
試合に対して入場料を取るため、プロリーグとしてはもちろん成立している。

では、プロ選手とはなんなのか?

競技としてお金をもらっているからプロ、もらっていないからアマチュア。という括りは僕はしたくないというのが本音だ。
自戒も込めて言わせてもらうが、競技選手としてお金をもらってプレーしている選手よりも、お金をもらわずにプレーしている選手の方がプレーしている選手の方が意識が高いなんてことはごまんとあるからだ。
とくに障害者スポーツの世界は結構びっくりすることがある。
意識高い系や練習頑張ってる系、怪我していることを全面に押し出して俺頑張ってるぜみたいな勘違いした発信をしている人なんてザラにいて、自分の周りにいる選手との違いに差を感じている。

そう考えた時に、

「プロ選手とは、
何かを捨ててでも競技にフルコミットする。
常に向上心を持って日々取り組み続け、それを体現する。他人の心を動かし、何かを与えられる存在になれる選手」

と自分は定義付けた。

さらに競技でお金をいただいている立場の選手が、日本のプロフットサルリーグに挑戦しないことはどういうことなのか。
耳が聞こえにくいというハンデがあるにせよ、挑戦するチャンスがあるならば、挑戦するのが筋だと思った。

そうした思いがあって、縁あってヴォスクオーレ仙台に練習参加し、入団することが決まった。

ただ、いざ入団してみると、理想としていた道とはかけ離れていた。

自分の実力不足で試合に全く出れない。
フットサルの知識も少ない。
足元の技術もない。
味方の指示が聞こえない。(試合だとMC、歓声、足音が全て耳に入ってくるから騒音パレードみたいな感じ)
それゆえに守備のずれが生じる。

もちろん上手くなっている実感はあるのだけれど、成長スピードは周りに比べて遅いような気がする。

スポーツの力を感じた瞬間。

そして去年の11月に行われたサッカーW杯。
日本がドイツやスペインといった強豪国を破ったことに、日本中の人が熱中し、歓喜の声を上げていた。
普段サッカーを見ない人もひたすらInstagramのストーリーに上げ、夜遅くまで起きて日本を応援していた。

何故だろう。

自分はここにスポーツを応援するということの最大の力を感じている。
日本代表選手は、前のW杯、いや自分の全ての人生をサッカー人生を捧げて、いろいろな挫折や挑戦を経て、W杯という場に出ている。

そこには、代表選考で漏れてしまった選手、それ以前に夢半ばで退いた人たちが下にはたくさんいて、その中を勝ち抜いた選手の代表でもある。
4年間ないしは自分の人生そのものという長い時間を賭けた上で、90分というほんの短い時間で結果が出る。
必ず勝ち負けというものがついてきて、白黒がはっきりする残酷な世界。

キャプテンの吉田麻也選手が度々言っていた
『4年間いろいろなものを犠牲にしてきた』
という言葉が自分の心には響いている。
チーム練習や自主練習だけでなく、食べ物やアルコール、ケア、睡眠など日々の過ごし方まで、選手としてレベルアップし最高のパフォーマンスを出せるように全てをサッカーに費やす。
アスリート感覚なら当たり前かもしれないが、世間一般的に見たら稀有な存在であることは間違いない。

だからこそ、スポーツに人々は魅了されるのではないか。
そんなに長い時間をかけて、短い時間で結果が出てしまう。
絶対に求めていた結果が出るわけではない残酷な世界。
勝者がいれば必ず敗者がいて、勝者がライトアップされる。
そんな不確実な世界をずっと続けられる人っていうのは希少な部類に入る。
だからこそ、努力し続けてきた選手をリスペクトし、できなかった自分を選手に投影し、自分がチームの一員となって応援し、感動し、悔しがる。

『選手に自分を投影できる』

これこそがスポーツに魅了される理由ではないだろうか。

自分だけができること

「選手に自分を投影できる」
という観点から考えた時に、

自分は、W杯に出場する選手のようにただ多くの国民に何を与えることは難しいかもしれない。
でも、聴覚障害者で唯一プロフットサルリーグでプレーしている選手という違う切り口から、同じような境遇の子供たちや家庭はもちろん、障害の有無に関係なく、誰かに何かの希望や勇気、踏み出すきっかけを与えられるのではないかと思った。

仙台に来て、聴覚障害がある子と関わる機会が増え、実際に試合を見に来てくれる子もいる。

試合後に見にきてくれた方に挨拶する瞬間が楽しい

自分自身、小さい時にそういう似たような境遇にいるロールモデルみたいな選手がいたらどんなに良かっただろうと感じている。それは自分だけが与えられるものであると信じている。

自分の可能性に蓋をせず、自分を、自分の可能性だけを信じ続けて、苦しいことの方が多いけど、でっかい夢や目標に向かって突き進む素晴らしさや楽しさを感じてほしい。

小中高大とレギュラー格でもなく、試合に出たり出なかったり、むしろ出ていない時の方が多い。
選抜に1回も選ばれたこともないし、聞こえないから入団許可を出せないって言われたこともある。
耳が聞こえなくて、悔しかったこと、不利なことなんていくらでもあるが、それを気にしても仕方がない。
それを含めて全て飲み込んで、ひたすら前を向き、自分ができることをやり続ける。
そうすればきっと道は拓ける。

ここまでずっと谷ばかりの人生で、今もずっと谷だけれど、やっとFリーグという舞台に挑戦する権利を得たのだから、Fリーグのチームに入れましたのままで終わりたくない。
試合に出て活躍する。
それを目指し続ける。

11/19ホーム戦でFリーグ初ゴールを決めた試合。
セーフティリードだったけど。
パワープレー返しだったけど。
やっとゴールを決めることができた。
チームメイトが自分ごとのように喜んでくれて。
会場のファンの方々が祝福してくれて。
ホーム戦でのゴールは格別だった。
多分あの時の感情は一生忘れないと思う。
まだまだ力は足りないけど、少し努力が報われた気がして、今までずっと感じていた葛藤が巡って、ちょびっと涙が出た。

あの感情を、喜びをもっと感じていきたい。
次はチームを勝たせられるような存在になって。

終わりよければ全て良し。

終わりがよければ、結果が出れば、
それまでの失敗や挫折は全て最後の結果を出すために必要な過程や経験に代わる。

2023年は4年に一度のデフフットサルW杯のアジア予選と本戦がある。
次のことは考えていない。ここで集大成にするつもりだ。
この大会で結果を出すためだけに、この4年間自分の進む道を決めてきた。

上手くなる環境を手に入れるために、何チームものセレクションを受けて何度も落ちた。
FC NAKAIのYouTubeでは、「野寺ってチームに必要?」といった今までのサッカー人生では考えられないコメントをもらった。でも、そういった言葉も投げられるような厳しい環境に身を置きたいと思っていたし、見返してやろうという原動力に変えた。
仙台に入団してからは、NHKに特集を組んでもらったりと、実際の選手としての活躍と取り上げられ方に葛藤を感じ、悩むことは沢山あった。
競技でお金をもらっていながら活躍できていない自分に葛藤を感じることも沢山あった。

それでも、

Fリーグの試合に出て活躍すれば、
デフフットサルW杯で世界一を取れれば、

全てはその結果を得るために必要だった過程と経験に代わる。

2023年は、勝負の年。

「最後に笑えれば全て良し」

そう言って終われるような1年にする。

最近知ったハマっている曲を勝手に紹介して終わりますw

長くなりましたが、ご覧いただきありがとうございました!

今年も引き続きよろしくお願いいたします!

ヴォスクオーレ仙台 #14
野寺風吹

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