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「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」は、全力を出しきれない人に読んでみてほしい

イギリスの児童文学「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」を読みました。

翻訳版も多く出版されており、知っている方も多い作品かと思いますが、最近全力になれない…とモヤモヤしている人に読んでみてほしいと感じたので、その理由を紹介したいと思います。

なお、簡単なあらすじ紹介のみで、ネタバレはありません。

「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」

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「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」は、イギリス人のファンタジー作家リチャード・アダムス氏により、1972年に発表された児童文学作品です。

イギリスの児童文学賞「カーネギー賞」と「ガーディアン賞」をダブル受賞し、これまで何度も映画・アニメ化されてきました。

私は大人になってからこの作品のことを知り、神宮輝夫氏の新訳版を手に取ってみました。

不思議な予知能力を持ったウサギ、ファイバーと仲間の大冒険

まず、物語の概要をざっくりとご紹介します。

一言でまとめてしまうと、イギリスのハンプシャー州に住む野ウサギたちが、宅地開発によって自分たちの巣穴を破壊され、新たな住処を求めて仲間たちと冒険するお話です。

危険を事前に察知する不思議な力のあるウサギ、ファイバーと、その兄で抜群のリーダーシップを持ったヘイズルを中心に、個性豊かなウサギたちが登場します。

全身全霊で戦い、仲間を守るウサギたちの姿が鮮烈

「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」の全体的なストーリーは、よくあるハラハラドキドキ冒険ものといった感じで、特に真新しさは感じません。

ハッピーエンドであることも何となくわかる展開なので、安心して読み進められます。

しかし、私がこの作品で印象に残り感動したポイントは、ウサギたちが全身全霊をかけて戦い、仲間を守り、理想郷に向けて突き進んでいく姿なのです。

動物界の中でも小さく弱い存在であるウサギたちの勇姿に、終始心を打たれます。

私が動物好きだからというのもあると思うのですが、必死で生き延び仲間や家族を守ろうとするウサギを見ると、自分も本気を出さなければという気持ちになるのです。

「あれ?私最近こんなに頑張ったことあったっけ?」と、逐一ハッとさせられました。

同じストーリーでも、登場人物が人間だったらまた印象が違ったと思います。

このウサギたちのようになりたい、と素直に思えるんです

また、戦闘シーンの描写などは特に、活字の中に吸い込まれるような臨場感があります。自分がウサギと冒険している気分になれるのも、読んでいて非常に楽しいポイントでした。神宮輝夫氏の翻訳は、躍動的で素晴らしいです。

そして、ウサギの物語でありながら、その社会構造は人間社会とそっくり。独裁者・洗脳・裏切りなど、人間社会の闇に対する風刺的な側面も持った作品なので、児童書ですが、むしろ大人のほうが深く楽しめるのかもしれません。

全力になりたい人こそ読んでみよう

「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」の新訳版は、上・下巻で発売されています。

やる気を高める系のビジネス書・自己啓発本も良いですが、ウサギたちの姿に不安定な世の中を全力で生き抜く方法を学んでみてはいかがでしょうか?

コロナの影響で、なんだか元気が出ないあなたにもおすすめです。

Amazonに寄せられたレビューが、どれも熱くて読み応えがある内容なので、ぜひ見てみてください。※一部ネタバレっぽい内容もあるため、気になる方は読後にご覧ください。

編集:アカ ヨシロウ

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