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くるみブラザーズ(胡桃澤理恵/胡桃澤知秀)|FLY_037

地元を知る人間らしい地域おこしを目指して

くるみブラザーズ(姉:胡桃澤理恵 メーカー勤務/弟:胡桃澤知秀 会社員)自由大学では、理恵さんが「クリエイティブ創業スクール」、知秀さんが「CREATIVE CAMP in ポートランド」「田舎で暮らす 茶産地和束編」を受講。地元・長野県飯田市で、地方を体験し”生き方”を見つめなおすツアー「ものづくりを巡る旅 in 飯田 2015」を開催。地元と関わる取り組みを始めた経緯について聞きました。

Q.自由大学に来たキッカケは?

理恵 私自身、前々から自分がやりたいことをしていたいという気持ちがありました。4年前に実家の家業で働くことになったのですが、何かはじめたいなとずっと思っていた中で、「クリエイティブ創業スクール」を知りました。

知秀 ぼくも好きなことを仕事にできないかと思っていて、好きなことで起業するカルチャーがあるポートランドが気になって、キャンプに参加しました。

Q.どんな体験をしましたか?

知秀 ビール好きが興じてビールメーカーになった40代の男性をはじめ、本当に好きなことを仕事にしている人々と出会い、好きなことって仕事にできるんだと実感しました。27歳にして、やっとという気持ちです。

理恵 私は、今回企画したツアー「ものづくりを巡る旅 in 飯田 2015」をやるきっかけになりました。家業で未来につながるアイデアを必要としていた時に、創業スクールで出会ったDukeさん(「社内起業学」教授の望月暢彦さん)に「技術者を集めた合宿を開いてみては?」と言われたことがはじまりなんです。

Q.このツアーはどんな内容でしたか?

理恵 Dukeさんにいただいたアドバイスからは離れたのですが、創業スクールでこのツアーを発表した時に、飯田市に興味を持ってくれる人が多かったので、技術者に限らず飯田市を体験してもらえるようなツアーにしました。

知秀 飯田市はものづくりの町。事業継承や技術承継を課題にしている家業を持つ人が多くいたので、そんな継承や承継の考え方は「生き方」そのものだから、参加する方々が自分の生き方を見つめなおしながら、飯田市のことも知ってもらえるツアーにしました。

Q.姉弟ユニット「くるみブラザーズ」として活動しているんですよね?

知秀 はい。ポートランドに行った時、改めて自分が好きなことはなんだろうと考えたんですね。すると、飯田市のことがまず頭に浮かんだんです。例えば、飯田市でイベントをするとしても、他県からゲストを呼んで地元の人々とつながってもらえたら、新しいアイデアが生まれるかもしれないじゃないです。ぼくは大学で東京に出てきたのですが、それまで人口10万人の飯田市がぼくのすべてだったんです。なので、中高生にもっと違う世界を見せる活動をしていきたいなと考えていたところ、姉の計画を聞いたんですね。

理恵 私も幼児教諭の資格を持っていたんです。家業に就いたこともあり、地元でこの企画をはじめようと考えた時に、弟に話したらやりたいことが一致していて、それで二人で取り組むことにしました。今回はまず実家の工場にフォーカスした内容を企画しましたが、これはこれで継続していくとして、将来は教育に関係することにも取り組んできたいです。

Q.偶然の一致ですね。家業を継ぐことができる立場として、まずはツアーを企画したんですか?

知秀 はい。実はぼくは機械メーカーに勤務していて、経営さえ学べば家業を継げる経験を積んできました。ただ、今している仕事がぼくのしたい仕事なのか疑問を持っていて…。飯田市はものづくりの町なので、うちのように家業について考えている人たちがいます。だから、まずはそれを企画にすることにしました。

理恵 私たちにとって、好きなことを仕事にするためには、まず目の前の課題を無視できなかったんです。家業って聞くと気楽だというイメージを持たれがちですが全然そんなことはなく、ましてや事業継承という問題を目の当たりにすると課題しかありません。父が一代で築いてきた組織を次世代に向けてどう意識改革をしていくか、弱小部活のマネージャーの気分で日々、課題解決に励んでいます(笑)。たまに社内のことで父と意見が割れるので、弟に相談したり。今は外からサポートしてもらっています。

Q.ツアーを実施してみた感想は?

理恵 どういう時にどういう問題が起きるのかといった、ツアーを構成するうえで多くの想定外の問題に気づくことができました。コンテンツについては、地元の人と参加者の繋ぎ方など両者がより自然体で触れ合える場づくりをさらに目指したいと思います。

知秀 参加者のみなさんがとても協力的で、僕らの手が届かない部分をカバーしてくれました。「くるみブラザーズでツアーを作り上げるんだ!」と意気込んでいたんですが、結果として参加者全員でツアーを作って頂けて、しかも「楽しかった」と言う声までもらって、僕らが一番嬉しかったし、楽しかったのかもしれません。怒られちゃいますね。そして、ツアーに協力頂いた職人さん達が、これまで見たことのない様な笑顔とユーモアで参加者を迎え入れてくれたことも嬉しかったです。都会の人と地元の人が出会い、ワクワクが生まれて欲しいと願っていましたが、普段は見かけない職人さん達のそういった姿から、願いを達成できたのかなと思っています。

Q.地域と関わる良いキッカケになったみたいですね。最後に、大事にしていきたいことは?

理恵 地域おこしはいろんな方々が取り組んでいて、都心に住む方も地方のことを考えてくれています。でも、わたしたちは地元の人間だからこそできることをしていきたいんです。それがくるみブラザーズの魅力になればいいですね。実は今、12年後に飯田市にリニアモーターカーが通るという計画があるんですよ。

知秀 品川から40分で来ることができるようになるんです。

理恵 だから、わたしたちも飯田市の変化を楽しみながら、活動していきたいなって思います。

【取材後記】くるみブラザーズとして、飯田市を盛り上げる活動に一歩踏み出した姉弟。二人の話を聞いていたら、ぼくも飯田市にお邪魔したくなりました。取材後に、今度行く約束をして、地域の人々を案内してもらう予定です。よろしく!

(ライター: #新井優佑

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。

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