あなたの話はなぜ「通じない」のか(24/8/28読了)

わたしの大好きな本たちのうちの1冊
「伝わる・揺さぶる!文章を書く」の山田ズーニーさんの著書
上記は、文章で相手(読み手)に自分の考えを伝えるための
コツやテクニック、考え方がわかりやすく説明されていた。
今回読んだ
あなたの話はなぜ「通じない」のか
は、その会話版。
相手が抱える問題を把握し、最も優先して解くべき問題を定義し、
それを解決するための打ち手となぜその打ち手が有効なのか
を正しく相手に伝える仕事をしているわたしだが、
話が通じず、想定より認識合わせに時間を要してしまうという
局面に立ってしまうことが時にはある。
そんな状況を極力回避するためにこの本で勉強することにした。

「伝わる・揺さぶる!文章を書く」と同様
やはりこの本でも論点(問い)の重要性について繰り返し説明がされていた。
コンサルタント職位の時には気付かなかったのだが、
職位が上がると日々複数のプロジェクトテーマに関する
問題解決を求められるようになる。
そんな中、網羅的にヌケモレなく問題に対する答えを出していたら
いくら時間があっても足りない。
そこで必要になるのが、論点設定の能力である。
筋のいい問いが立てられれば、飛躍的に業務効率は上がる。
ただ、この筋のいい問いが一発で立てられるか?と言えば
そんな都合のいいことはほとんどなく
(同じテーマについて過去に検討した経験があればその限りではないが)
「今回の問題を解決するために本当に解くべき問いは何か?」
を繰り返し考え、論理的に配列してくという仕事が必要になる。
その「考える」ために必要な基礎力について著者は以下の3つを挙げている
①問題発見力
②多角的考察力
③論理的思考力
要は、あらゆる方面から物事に向き合い問いを見つけ、
さまざまな角度からその問題について問いを立て、
挙がった問いを筋道を立てて整理する力が必要だと説いている。

今回の本は「話しを伝える」ということにフォーカスしている為、
文章のように校正して伝えるような時間はない。
「伝わる・揺さぶる!文章を書く」との大きな違いは
リアルタイム性だ。
相手が目の前にいる、自分の考えと相手の考えをすり合わせ
何かを決めなければいけない、すぐに!
そんな時に、考える力に基づき、
相手の意見の裏側にある「問い」を把握し、
受け、要点をまとめて相手に返すことができればそこから対話が始まる。
(もっとできるならば相手の言葉の真意をつかむために根本思想を理解する)
対話である以上、相手の「問い」と「意見」「論拠」がつかめるまでは
反論することも自分の意見を言うことも許されない。
相手の「問い」と自分の「問い」に乖離があるのであれば、
一度受け止めた後に、相違点について討議すれば良い。
「問い」は合っていたけど「意見」に相違があるのであれば
お互いの「論拠」について討議すれば良い。
仕事でもプライべーどでも相手の意見を聞く前に自分の意見を
先走って伝えてしまうことがあるわたしにとっては耳の痛い話ではあるが
とても勉強になった。

更に、自分の話を通じさせるためには「メディア力」が必要だ。
要は、「何を言うか」より「誰が言ったか」が重要視されることがあるが、
その前提で損をしないように日頃から自分自身の他者に対する
信頼性を高めておく必要があるということだと理解した。
「メディア力」に必要とされるのは、
 ・自分自身の意思を証明すること
 ・相手を理解することに努めること
また、不用意に自分自身の「メディア力」を落とすことがないように
特に初対面の時には「情報占有率」を意識することが重要である
と説かれている。
年次が上がり、職位も上がると、その立場ゆえに
既存の顧客への「メディア力」は確立されるが
新規の顧客対応が生じた時には、上記の内容を思い出して、対応したい。

今回、本来ならば伝えるプロであるはずのわたしが改めて、
話を通じさせることの難しさ、
話を通じさせるための要素について学ばせてもらったわけだが
いつもこの手の本を読んで思うのは
頭ではわかっている、でもこうして読者にわかりやすく言語化して
いつでも新鮮に学びを提供する本を書く著者の方はすごいな…
ということである。
わかっちゃいるけど、ストンと腑に落ちる感覚がつかめなかった
という内容について
わたしもこの著者と同じようにお客様に感じてもらえるように
日々努力したい。

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