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衆院選の投票前に「調査報道アーカイブス」の「公費天国」をどうぞ!

あす10/31は衆院選の投票日である。フロントラインプレスのサイトにアップした「調査報道アーカイブス」No.29の原稿をデスクしてたら、そうか、あの時も総選挙だったのか、と思い至った。


調査報道アーカイブスの記事は今回、朝日新聞による「公費天国」キャンペーンを取り上げている。下の紙面がその第一報。1979年9月の記事だ。「鉄建公団」の凄まじいばかりの不正が詳述されている。ご覧の通り、「衆院解散、総選挙へ」の大見出しも踊っている。

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この記事を皮切りとするキャンペーンは、霞が関の官僚や公団・公社の職員らがカラ出張、カラ会議、カラ出勤、カラ契約などを繰り返して裏金をつくり、それらを野放図に使いまくっていたという実態を暴いたものだ。裏金が政治家に流れていた話も出てくる。バレそうになると、公文書を改ざんし、隠し、隠ぺいに走った。

今と同じだ!

「公費天国」キャンペーンが始まると、朝日新聞には読者・関係者からの情報提供が殺到したという。それによってまた報道を続けるという好循環が生まれ、このキャンペーンは多くの読者から大きな支持を得た。

書籍になった「公費天国」(朝日新聞社刊)も改めて目を通してみた。どうやって取材したかが手に取るように分かり、非常に面白い。取材プロセスの見える書き物は何度読んでも参考になる。

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それに何より、官僚ら「公」に仕える人たちの無分別な行為が凄まじい。「裏金づくり」と書くと何やら罪を減じたような気分になるが、これらの行為は詐欺罪、業務上横領罪、虚偽公文書作成・行使罪などに該当するはずだ。いくら「組織の悪習だった」と言い訳しても、ただの犯罪である。

先述したように「公費天国」は1979年の調査報道だった。ということは、少なくとも1980年ごろまでの霞が関界隈は犯罪容疑者だらけだったことになる。

そして大勢の国民は知っている。こうした役所の所業は、その後も一向に改まらなかったことを。私(高田)が記者時代に手掛けた北海道警察の裏金問題は2003年である。「公費天国」から25年ほども後のことだ。もちろん、道警裏金の後もあちこちの土地で、あちこちの役所で、同じような問題は五月雨的に噴出した。

いったい、これはどういうことか?

役人は公金を勝手に使うな、自分たちの飲み食いに使うな、赤坂の高級料亭での支払いに使うな、銀座の寿司を公金で食うな、ヤミ給与・ヤミ賞与に使うな、ゴルフ代に使うな、会計書類等を偽造して作った裏金(公金のマネーロンダリング)を政治家に横流しするな、悪事を隠すために会計書類を改ざんするな、会計検査院の検査をごまかした官僚を内輪で褒めるな、勇気を奮って内部告発した者を村八分にするな………ということが、どうして時々の国政選挙で最大の課題にならなかったのだろうか?


「公費天国」キャンペーンから何十年か経過し、こうした問題を深掘りしなくなった報道界のせい? 自浄作用を見せたふうがない官公庁の労組のせい? 省庁という組織のせい? 政治家のせい? そんな政治家を選んでしまった有権者のせい? いったい誰の……

なにはともあれ、あす10/31は衆院選の投票日だ。

(フロントラインプレス代表・高田昌幸)


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