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#359 [文学] 美しい壺をほめたたえるだけの詩

第52週 第2日(火)文学「ギリシアの壺に寄す頌歌(しょうか)」

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。

今日は文学「ギリシアの壺に寄す頌歌(しょうか)」です。
ついに1日1ページも最後の週となりました。最後まで頑張っていきましょう。

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本の要約

まだ汚れていない静寂の花嫁よ、
黙然と遅々とした時とに養われた子よ、
森の歴史家よ、君は
花の物語を、私たちの詩よりも優しく語ることができる。
君の周りにある、葉に緑どられた伝説は、
神を語るか、人を語るか、それともその両方か、
場所はテンペか、アルカディアの渓谷か?
この男たち、神々は何者だ?拒む乙女たちは何者だ?
何を必死に追っている?何から逃れようとする?
笛とタンバリンは何なのか?激しい歓喜は何なのか?
ああ、アッティカ様式の形!美しいたたずまい!そこに
大理石の男と乙女が彫り込まれ、
森の枝と踏みしだかれた草もある。
静かな形をした君は、私たちを思索から誘い出す。
まるで永遠がやるように。冷たい田園風景!
老齢が近づいて今の世代が滅びるとき、
君は、私たちとは別の悲哀に悩む
人間の友として残り、こう言うのだろう。
「美は真あり、真は美だ」ーーそれだけが
君たちが現世で知ることであり、知る必要のあることなのだ。

18世紀初頭のイギリスのロマン主義詩人、ジョン・キーツ(1795~1821)の最も有名な詩「ギリシアの壺に寄す」(1819年)は、頓呼(とんこ)法がよく使われている。

頓呼法とは、目の前にない存在や無生物に対して直接呼びかける技法のことを言う。「ギリシアの壺に寄す」では、詩人の言葉は壺そのものに向けられている。

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キーツが思う美とは

1819年に書かれたこの作品は、キーツにとっての最高傑作とされているものの一つである。

キーツは、ギリシャ壺を目の前において、そこに施されたたさまざまな絵や彫刻をみながら、それらが喚起するイメージをそのまま美しい言葉に置き換えている。

なんだかわからないけど、壺をほめちぎっているのだけはわかる。

美の追求という意味で、プラトンのイデア論を思い出す。究極の美というが天国には存在していて、私たちが目にしている美というのはその断片に過ぎないという考え方。

この壺も、イデア世界から恩恵を受けた美しい壺なのかもしれない。


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