見出し画像

読書による気づき~「ラストパス」中村憲剛


こんにちは。
サッカー観戦と読書。二つの趣味を同時にこなすような形で、2020シーズン限りで川崎フロンターレを引退した元Jリーガーの中村憲剛さんの著書「ラストパス」を読みました。
この「ラストパス」というタイトル、本当にいいですね。中村さん(以下「ケンゴ」で失礼!)の真骨頂であるスルーパスにかけてのものだと思いますが、読んでいくと様々な意味合いを持っていることがわかります。

ラスト5年の記録

2020年10月30日、40歳の誕生日にFC東京との多摩川クラシコで決勝ゴールを決め、一昨年の秋に前十字靭帯損傷という大怪我を負ってからの完全復活を遂げたケンゴ。現地観戦をした私は、このとんでもない40歳が復活したことで、これからもフロンターレの一員として魅了してくれることを信じて疑わず、嬉しさと興奮に包まれながら友人と共に祝杯をあげました。

ところが、翌11月1日、突然の引退会見。当然私もそうですが、多くの人が信じられない思いだったと思います。なんで?まだできるでしょ?、それはサポーターだけでなく川崎フロンターレの選手や監督も同じ思いだったようです。

それでも、引退は突然決めたことでなく、35歳になった5年前から決めていたことであると分かったとき、不思議にも納得がいきました。サッカー選手が40歳まで現役を続けることは本当に凄いことです。この時のケンゴのパフォーマンスを見てしまうと、次のシーズンの活躍を期待してしまったのですが、「戦力のうちに惜しまれつつ引退したい」という言葉に心から納得し、本当にありがとうという気持ちになれました。

引退会見の後、2020シーズン、川崎フロンターレは史上最高勝点で3度目のリーグ優勝を決め、天皇杯を初めて制し、ケンゴの現役生活は幕を閉じましたが、本書には、ラスト5年間のチームのこと、家族のこと、自身の様々な思いが第1章の2016年から始まり、1年ごとに書かれています。

サポーターとして、フロンターレに関する情報のアンテナは常に張っていますが、この本によって初めて知ることもたくさんありました。
涙なしには読めない箇所も多くあります。
ここまで、究極にアウトプットしてくれるアスリートはなかなかいないと思います。改めて著者ケンゴに感服します。

ラストパスの意味

様々な意味が込められていると思われる「ラストパス」。
ただ、本文にも書かれていますが、本当のラストパスは、リーグ戦最後の出場となったホーム等々力での浦和レッズ戦での小林悠選手へのアシスト。これは長年コンビを組んできた二人だからなせる信頼のノールックパス、本当に美しい「ラストパス」でした。
幸運にもホームゴール裏の2階席で観戦していた私は、その美しいパスを弾道を間近で見ることができました。
そして、今、本書を読み終わったとき、本書こそが全ての人に贈るケンゴからのラストパスなのではないかと考えました。そのラストパス、多くの人に受け取ってもらいたいと思います。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?