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「どうでもいいこと」を口にすることなんてない。

#20231220-322

2023年12月20日(水)
 よくよく考えると、自分から発する言葉に「どうでもいいこと」なんてないのかもしれない。

 人へ返す言葉には失礼ではあるが、「どうでもいいこと」はある。

  • 相手が何をいっているのか、その意図が今一つわからないとき

  • もっと優先すべきことがあって、会話に集中できないとき

  • 自分にとって興味のない話題であるとき。

  • 相手の気持ちに共感できないとき

  • そもそも相手に興味がないとき。

 こういうときに口にする言葉は、心が寄り添わない「どうでもいい」場合が多い。もちろん、「つまらない」「もっと手短にいって」「わからないし、わかりたくない」「あなたと話したくない」という意味を込めた返しになるかもしれないが、深く考えていない、反応のようなものになりがちだ。人つきあい上、愛想よく返す場合もあるし、不快さを出す場合もある。

 とにかくだ。
 返す言葉には反応のようなものもあるが、自分から発する言葉には、本人の意識/無意識はさておき、「どうでもいいこと」はないのではないか。
 些細な言葉にも、自覚がなくとも口にせずにはいられなかった「何かしら」があるのではないか。

 子どもの性格や年齢にもよるが、適度に愛想よくすることが身についていない子どもならなおのことだ。
 ノコ(娘小4)は、まだそういうことができない。
 ノコが愛想よくしている場合は、思いっきり「自分を特別扱いしてほしい」という思惑がある。表面上、円滑にするための軽い愛想は持ち合わせていない。
 だから、ノコが何かをいったのなら、そこには「何かしら」が存在する
 口にした時点では無自覚で、こうしてほしい、ああしてほしい、という明確な意思はまだないかもしれないが、いわずにはいられない心の動きが確かにあるのだ。
 ノコはまだ自分の心を振り返って、「ああ、私は本当はこういいたかったんだな」と伝わる言葉でいい直すことはできない。
 一見、大人にはどうでもいいことであっても、ノコが自分から発した言葉を受け流してはいけない。
 ――改めて、そう思う出来事があった。

 このところ、ノコの習い事のイベントがあり、それに伴って慌ただしい日々を過ごしていた。学校との両立に頭を悩ませ、なんて慌ただしいのだろうと思いつつも「このイベントを乗り越えれば」と思っていた。イベントへの参加はノコの希望でもあるので、体調管理も含めて、睡眠や食事、学校の宿題などが密になっていた。

 確かにいわれれば、先週二度ばかりノコがそのような発言をしていた。
 その記憶はあるが、ノコはそれに対して不満や怒りを見せていなかったので重く受け取らなかった。学校での出来事だったし、もう過ぎたことなので私とて確認のしようもない。
 「〇〇だったのかもね」
 「そんなことがあったの」
 そんなふうに返したと思う。
 それが今週になって、ガラリと様相を変えた。ささやかな表現が大きな描写に変わり、期間もその日限りではなく先週「ずっと」になった。
 もし事実で、さらに他者がからんでいるのなら大事おおごとになる。学校に伝え、対策してもらわねばならない。
 ノコを疑うわけではないが、学校に伝えるために内容を確認する。
 「〇〇だったんだね。それが先週毎日続いたんだよね」
 問う度に、ノコの返答が二転三転するのでちょっと怪しさが漂ってくる。本人は意図して嘘をついているわけではないだろうが、主観と思い込みが混ざっているかもしれない。

 「先生にお電話したほうがいい?」
 「〇〇ちゃんのママにも確認したほうがいい?」
 嘘ならば、視線が揺れたり、「まだいい」といい淀んだりすると思ったが、ノコは「うん、して」と積極的だ。口にしたことで、ノコのなかで真実になってしまったのだろうか。
 本人が「して」というのだから、しないわけにはいかない。
 担任教諭に連絡を取り、ちょうど児童相談所の面談があったのでその内容を伝える。
 学校側は即動き、できうる限りの確認を取り、ノコやクラスメイトにも話を聞いたと報告が届く。まだしばらく様子を見ねばならないが、どうやらノコの主観にかなり偏っているようだ。
 予想はしていたので、嘘をついたと嘆く心は私にない。

 ただ今振り返って思うのは、もっとノコのいい方が小さいうちに、私がノコの言葉を拾ってノコの心に届く言葉を返せていれば、こうならなかったかもしれないという後悔だ。
 だが、ノコの言動をひとつひとつ律儀に確認し、問うて、言葉を選んでいたら、ノコだって身構えてしまう。
 さりげなく、でも受け流さず、忖度そんたくし過ぎず。
 慌ただしいと、不器用な私はどうしてもそこまで心配りができなくなってしまう。
 生活より心なのかもしれないが、睡眠や食事が満たされた生活あっての心だとも思ってしまう。

 ノコがいう言葉に「どうでもいいこと」なんてない。
 これだけは、心に刻む。

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