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今日の一冊 ~キャプテンサンダーボルト~

写真は「文藝特別 総特集 伊坂幸太郎」。私の連載(?)が
始まって初めて、「ベタ」でもない「風桶」※でもない、お題と
ストレートに直結する映像である。
※風が吹く→ほこりが立つ→目の不自由な方が増える→三味線用
 の需要が増え猫がいなくなる→ネズミが増える→桶をかじる
 →桶屋が儲かる、である。念のため。私は、「こじつけ」の
  意で用いる。

さて、表題の著作者は、阿部和重と伊坂幸太郎の共著!!!
である。純文学の旗手(衰退の一途を辿る日本文学界の最後
の希望※)である阿部和重と、エンターテイメント界の頂点に
君臨する伊坂幸太郎が、何故共著なのか、と不思議でならな
かった。
※除く、村上春樹

確かに東北つながり(阿部和重は山形県東根市神町出身、
伊坂幸太郎は東北大学法学部卒業・仙台在住)はあるのだが、
「そもそも畑が違うじゃん」、というイメージを持っていた。

ちなみに、阿部和重の著作は純文学というジャンルかつ、
各作品は大抵巨大ボリューム(最新作「オーガ(ニ)ズム」
は何と861頁)であり、割と図書館でも借りやすいが、
伊坂幸太郎の最新作は図書館貸し出し公開日当日(という
より公開の瞬間)に3ケタ後半の待ち行列ができる位である。

キャプテンサンダーボルトも528頁の大作と言えば大作なの
だが、あまりにスピード感ある展開に重みよりも軽さを
感じさせる作品である。言うまでもなく面白さは抜群。
書評を読むより現物に当って欲しい。あー書いているうち
に読み返したくなってアマゾンで頼んでしまった!何故か
ポイントが713(36%)もついた。

やっと本題。何故共著にいたったか?ある書評にきっかけ
について説明があり、それが冒頭の特集ムックに載って
いる、というのである。(!持ってるじゃん)、と気づいて
見返したらあったあったありました。阿部和重が寄稿して
いるのである。それによれば、もともとは彼の代表作(の
一つ)、「ピストルズ」の帯・カバーに「意外にも」、
伊坂幸太郎が推薦文を書いたことが、そもそもの出会いの
きっかけだったとのこと。その後、直接対面して、以下の
運びとなったそうだ。
「会食の終わり際、じつはわたしは伊坂さんとある約束と
いうか決意みたいなものを交わしたのだが、その中身は
秘密にしておく。」

この計画が4年越しで実現した訳である。インタビュー記事
などを読むと、相当お互いに原稿に手をいれたらしい。
https://honto.jp/cp/hybrid/writers-interview/003-isakakotaro.html
https://honto.jp/cp/hybrid/writers-interview/002-abekazushige.html

両著者のほとんどの著作を読んでいる私の感想では、
比重的には伊坂幸太郎に引っ張られているかな、という
感覚であるが、あまり細かいことはどうでも良い位の
破壊力がある面白さである。

アマゾンで「最後の一冊」、という表示が出ていたが、
きっとこれは売り煽り(乗せられたのは私)であろう。
文庫版も出ているし、少なくとも今後10年くらいは版を
重ねると思うので、「おうち時間を楽しみたい方」、
鉄板である。

気になる点が後一つ、コロナ蔓延の予言めいた内容
がストーリーの軸となっている。一流作家の想像力は
想像もつかない。

お茶うがいの輪を広げてコロナを収束させたい!
https://note.com/from_free/n/n406bc5302094
https://note.com/from_free/n/n98097eb72720


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