カミングアウトコンビニ
僕は恋をした。
君はいつも「おはようございます」とちょっと微笑みながら言うね。
つやつやのストレートヘア、長いまつ毛、君を見ると胸がとくんと躍る。
でも、君が倒れた日、僕はオロオロするばかりで、どうすることもできなかった。救急車が来て、君は運ばれて行ってしまった。
今度もし会えたら、君を力いっぱい抱きしめる。
僕の身体がメリメリと壊れても、頭に締めた派手な色のハチマキ
がプツリと切れてしまってもかまわない。
僕は身もだえながら涙した。
コンビニが閉店することになった。
雨も降らないのに床が水で濡れていたり、駐車場に車が止まったくらいで、建物が揺れる。まるで身もだえしているように。
地盤が悪いらしいと客足が途絶えた。
「ああ、君が貧血で倒れたってこのコンビニ?」
「この店ね、なんか気持ち悪かったの。視線を感じるっていうか・・・
閉店してほっとした」
若い二人はつないだ手を振りながら通り過ぎて行った。
おわり(415文字)
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