めりめりと、成長していくさまを見た。
大学1年生、ひとり暮らしも1年生のいもうとの部屋は、もうすでに「いもうとの部屋」だった。
あたたかみのある白いカーペットと、まんなかにローテーブル。
左はじによせられたベッドは、きっと背もたれになるんだろう。
部屋に入ってすぐ、そんなことを思った。
頭のなかに部屋でくつろぐいもうとの姿がうかぶ。ちょっと笑ってしまう。
現実のいもうとは家主らしく自分の家を紹介してくれているというのに。
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この春、大学進学にあわせていもうとがひとり暮らしをはじめた。
もともとひとり暮らしをしたいきもちがあったらしく、県外の大学を受験。
受かるかどうか本当にびみょうなラインをなんとかのりこえ、希望の大学に合格した。
つまり念願のひとり暮らし。
おたがいに新生活でばたばたな4月から1か月がたち、ゴールデンウィークの連休中にいもうとの家にいくことにしたのだ。
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家具はしろ、カーテンやベッドカバーはあわい、くすんだ水色。
多分よくある1Kの間取り。その部屋はいもうとのすきな色であふれている。
そしてあちこちに母の知恵がひそんでいることに気づく。
というか、収納テクニックは、ほとんど母のアイデアだろう。
たとえば、冷蔵庫とかべの間、たなを置くにはせますぎる半端なスペース。
そこにはゴロゴロつきのしろいワゴンがぴったり収まっていて、調味料たちが1列にならんでいた。
ワゴンをひきだすと、思ったより多くの調味料がぞろぞろでてくる。
そんなことができるのかと、わすれないように写真におさめた。
ほかにも、流しのしたの収納や、室内干しのためのポール。
ひとつひとついもうとが説明をしてくれて、そのたびにわたしは写真をとった。
洗濯事情まで教えてくれた。
どうやらベストな洗濯ルーティンを見つけたらしく、「洗濯はかんぺき」と言いきる姿がうらやましい。
わたしはいまだに洗濯のタイミングがつかめないでいる。
いもうとが、ちゃんとひとりで暮らしてるんだなと実感する。
わたしのいもうとは末っ子で、家族のなかではいつでも「下の子」だ。
家族のあいだではお世話される子って空気がいつまでものこっていたし、たぶん本人もその空気をよんでうまくおさまっていた。
去年は受験生だったからなおさら、いもうとが家で料理やら洗濯やらをする機会はすくなかったと思う。
そんないもうとが、1か月前とは別人のようにちゃんと家事をして暮らしてる。
母によると「立ちふるまいが急におとなになった」という。きっと、めりめりと成長しているんだろう。
いもうとは、いつまでもいもうとだけど、いつまでも小さい子ではないらしい。
ねえ、頼もしくなってんじゃん。
これからはさ、ひとり暮らし1年生同士、一緒にやってこうか。
こんどはわたしの家に招待するからね。
たいしたものはお返しできませんが、全力でお礼します!! 読んでくださり、ありがとうございます!