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noteをはじめてからもう一年が経ったらしい。
何が何だかわからない流行り病にざわついていた一年前がもはや懐かしい。
でも残念ながら人々はいまだにマスク生活を強いられているし、
会食も集会も制限されている。
緊急事態宣言が発令されても麻痺した人々の危機感を煽るほどの効力はもうないように見える。
この流行り病はいつ収束するのだろうか。
日本人は耐え忍んだり同調圧力を駆使するのがうまいから、政府のやり方に反発して大規模なマスクなし集会が行われたりすることはないが、どこに行っても鬱屈とした雰囲気があるような気がする。

季節は春になった。
わたしは春が好きではない。
何か変化や成長を強いられている気持になる。
人々は忙しなくなるし、虫は孵化するし、花は咲くし、日差しも風も暖かく、どこもかしこも生命力に満ち溢れている。
天気も良いとなると、「どこかに出かけなくてはもったいないのではないか」という焦りを感じる。
自分の気持ちは置いてきぼりなのに、体だけは背中を押されるようで一杯一杯になる。
人と争うことや人に強いられることが苦手だからか、周りの生命力に圧倒されて私だけがその場に立ちすくんでる。
春はいつも私を置き去りにしてどこかに走り去って行く。
どう考えてもあの子にはなれない、みたいな女の子を見たときのつらさや焦りや悲しさ、悔しさや焦りそういうものに似ている。
かっこよさげなことを書いているが、これを書きながらも春の残酷さに泣いている。
大人だって泣く。
子供の時は知らなかったけど、大人だって声を上げてわんわん泣きたい日だってある。

恋人と初めて待ち合わせをして会ったのは4月だった。
自由が丘の駅の改札で、初めての待ち合わせにも関わらず30分も遅刻してきた私をやさしい笑顔で待っていてくれた。
二人で会ったのは初めてだったのに帰り道にはどちらからともなく手を繋いで歩いてた。
この人の近くにいられたらきっと楽しいだろうな、と思った。
周りにいる人から愛されている彼がまぶしくて、周囲にいられる人がうらやましくて彼の特別になりたかった。そして幸運にもそうなることができた。
付き合ってからも彼の交友関係やフットワークの軽さ、面倒見の良さ、人懐っこさ、いろんなものをうらやましく思った。
わたしが持っていないものをいろいろ持っている。

でも最近どうも噛み合っていない。
顔を合わせれば言い争ってしまう。
彼の方が激務なのだから、きっとわたしは彼をねぎらい、話を聞き支えるべきなのだ。
それが、どうしてもできない。
わたしは自分が正しいと思うことを押し通してしまう。
彼を疲弊させてるのは分かるけど、「正しさ」は私の中で重要な軸なのだ。
HSPの話を織り交ぜるとこの類の話が大嫌いな人に嫌な顔をされそうだが、
ほんの少しの「狡さ」や「不正」でも許せないし、正義と反対のことはしたくなし、愛する人にもしてほしくない。人を傷つけることや、不平等、道徳に反する言葉を発言することは私にとって心臓に氷を押し当てられるくらいヒヤッとすることなのだ。
(HSPにはこういう人が多いと聞く。)
この感覚の差が埋めがたいものなら、私たちは今後一緒にいることは難しいのではないか。
わたしはマイナスのイメージのある漢字を使用したり見ることでさえつらいのに、ずっと我慢することが出来るのか。
わたしが気にしすぎているのか、相手の感覚が少し鈍いのか、わからなくなってしまった。
何度も気を付けてほしいと伝えたけれど、相手の生きる世界では普通の言動であり、私の要求こそが彼の自由への制限なのだから。
それなら、私が足枷やストレスや疲労の原因になるくらいなら、別れた方がいいのではないか。
好きなだけじゃダメなんだ、みたいなセリフを最初に使ったのは誰だっけ。
わたしは自分の繊細さを誇らしいどころかとても厄介で面倒くさいと思っているし、気にしないことが出来るならどんなにいいだろう、彼と同じ感覚で笑い飛ばせたらどんなに楽でスムーズだろうと思う。
そういうことで、またとてもつらい春なのだ。

わたしたちは人並みに仲が良いし、一緒にいて楽しいし、お互いのことを好きだと思っているのに、絶望的に感覚が合っていない。
歩み寄れたらいいのに。

もし今の恋人と別れたとしても、人間として彼のことは大好きだ。
そして、叶うなら来世は彼の友達になりたい。
恋人には別れがあるが、友達なら絶交でもされない限りは緩くつながっていられるだろう。
それに、彼の友達がうらやましいのだ。
特別じゃなくてもいい、対等でいいから、一緒にスポーツをしたり遊びに行って彼の近くにいられたらきっと楽しい。
彼に友達が多く、先輩や後輩に慕われる理由がとてもわかる。
私は恋人とは別れた瞬間から全くの他人になり、二度と会わない、連絡も取らないということを徹底している。
だからもし別れたら二度と彼には会えないので、その時は「来世でも私を見つけてね」と伝えようと思う。


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