「遥かなるエルドラド」が届かないので 備忘録3

マジの非常事態「皆殺しのレビュー」

大場ななによる皆殺しが終わった時、
純那ちゃんの首から血が噴き出す
動揺し呼吸も荒くなる純那ちゃん
他の99期生も血まみれになる中
天堂真矢が一喝する
「狼狽えるな!…舞台装置だ」

このシーン、実は星見純那はマジで死ぬ可能性があったのでは?

舞台少女の死とかの比喩表現ではなく、本物の死

何故かといえば、この時の純那ちゃんは舞台の上にいる自覚がない
舞台の上でないならば、どう認識しているのか
芝居ではない本物の出来事だと認識しているはず

そんな状態で自分の首から血が噴き出すとどうなるか
ご丁寧に大場ななが直前に刀を振り回している

ななの様子がおかしい…
真っ赤な血が、視界いっぱいに。
本当に斬られた?

人が誤認識で死に至ることは割と知られた話である
そうでなくても死が近づいているような恐怖を覚える

天堂真矢はその辺り察して言ってくれたんだろうな
本当の出来事と思っている友人が数名いる
舞台の上にいる自覚のある人間が、舞台装置に言及する訳はない
言わなければならない程の非常事態だった

Q. 舞台の上にいる時、首から血が噴き出したら、どうしたらいいか

A. 死んだふり、死んだ演技をしたらよろし

つまりは香子が正解

この時、同様に舞台の上の認識がないのが、双葉はん
完全に動揺して香子をゆすっている

血の雨の中、死んだ演技にサラリと移行する香子
なんてヤツだ…
ワガママお嬢様はガワ被ってるだけだな
実際の舞台力は相当のモノですよ

さて、大場ななはどこまで分かっていたのか
たぶんマジで死ぬまでは想像してなかったのでは
真矢に礼言っとけよ…

大場なな、勝利を譲る

ななvs華恋の絆のレヴューのラスト
華恋がとどめの一閃を放つその直前
何故ライトが黄色に光っているんでしょうね

華恋のライトは赤色のはず
黄色は大場ななの色

あの時舞台が味方しているのは大場なな
つまり舞台の主体は大場なな

では何故上掛けを落とされてしまったのでしょう?

華恋ちゃんの方がキラめいていたから
華恋ちゃんの方がキラめいていると大場ななが思ったから
大場ななが勝ちを譲ったから

全て同じ意味だが、見方次第でこんなに変わる

大場ななはもう何度目かも分からない再演の中で限界を感じていたのではないか

再演の中で大場ななは舞台をより良いものにすべく奔走している

演者、大小道具、衣装、脚本、食事の提供などなど
舞台に関するあらゆるものに関わったが、
時間は有限、どうしても限界がある
何度も言われているように、一人では舞台は作れない

再演でいくら一人経験値を積みまくっても、
みんなは一周目

この乖離は再演を続ける度に大きくなっていく

大場なな自身、再演に限界を感じていたのではないだろうか
つまり自分一人の限界

一人で舞台を作ろうとする、その極端な例が
神楽ひかりの運命の舞台

大場ななも行き着く先は同じだったのかもしれない

二人とも救った華恋ちゃん、えらい

キリンの思う素晴らしい舞台

再演の中でもロンドンでも、キリンは大して興奮していない
レヴューを勝ち抜いた舞台少女は、最もキラめいているはずなのに

キリンも舞台の一部であることを考えると
こいつも限界を感じていたのかもしれない

キリンの思惑通りにことが進み
キリンの思った通りの結果が出る

嗚呼、なんとつまらないことか

予想もつかない舞台を欲しているのに
得られる結果は、凡庸もいいところ

舞台少女のキラめきを燃料にして
ただ一人のトップスタァを誕生させた割には

一人はロンドンで一人のトップスタァに
一人は過去の再演を求め続け
一人は燃料を拒否して演じ続ける

いずれも素晴らしい舞台にはならなかった

キリンが見たいものは、キリンの考えの外にある

予定にない飛び込み参加の舞台少女が誰も知らない舞台を始める
当然といえば当然のことでしたね

故に、劇場版ではこの経験を活かし
皆殺しのレビューの後は各々が思うように舞台を作る運びとなった
誰の思惑にも嵌らない自由な舞台
皆々好き勝手やっているようで、その実相手にはきちんと向き合って
滅茶苦茶なようで芯が通っている

劇場版はやはり最高だ

そうして、キリンは、
燃料以外の意義を失ったのだ

おわり

書いてる内に遥かなるエルドラドが届いた
まだ書くことはあったと思うけどここまで

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