新潟市の何がそんなにアツイのか? フリーランスを引き寄せる3つの魅力
新潟県新潟市。
日本海側に面した人口約80万人のこの都市に、フリーランス(個人事業主&一人社長など)が集まってきているそうな。
そんな耳よりな情報を仕入れた編集部コダマ。将来の二拠点生活探しの一環として、移住や二拠点生活に興味がある世のフリーランスを”勝手に”代表して、行ってまいりました! 新潟市へ!
果たして、新潟市の何がそんなにアツイのか?
1泊2日の視察で見えてきたのは、フリーランスを引き寄せる3つの魅力でした。
(1)新しい人を包み込むコミュニティがある
(2)一人でも楽しめるカフェや酒場がある
(3)市内からたった1時間で行ける癒しの場がある
では、早速3つをご紹介していきましょう。
魅力(1) 新しい人を包み込むコミュニティがある
そのコミュニティの存在を知ったのは、昨年4月に移住した元フリーランスで、移住後に新潟で起業された木村愛子さんからの紹介でした。
木村さんは、業務効率化をサポートするシステム開発まわりのプロフェッショナル。地元が新潟県のため、いつか新潟にUターンしたいという思いがあったそうです。そのため、起業する前にフリーランスになり、リモートでも仕事を進められるクライアントを開拓してきたのだとか。
そんな用意周到な木村さんですが、予想外の事態に直面します。移住とコロナ感染拡大と移住のタイミングが重なり、対面営業ができないもどかしさを抱えていたそうです。
そんな時、民間スタートアップ支援を営む「新潟SN@P」がオンラインコミュニティサロンを運営していることを耳にし入会することに。
slack上のコミュニティに、自身のキャリアと共に「新規の顧客獲得をしたい」と呟くと、すぐに反応が!「商工会議所で、講演をするといいよ。担当者をつなぐよ」とアドバイスされ、トントン拍子に話が進んだそうです。
しかも、その講演をきっかけに、地元の新潟新聞から取材されるご縁に発展。今では、営業をせずとも新規の問い合わせが届くようになったと言います。
木村さんが「にいがた経済新聞」で取り上げられた時の記事(2020年9月8日)。立ち上げられた株式会社Pepoについて語っています。
むっむっ。そんなミラクルなご縁を紡いだ「SN@P新潟」。とっても気になりますよね。
ということで、いざ「SN@P新潟」へ。
しかも今回、色々とご縁が重なり、新潟県湯沢町発の起業家で新潟県南魚沼市と湯沢町の転職・移住サポートを行う、きら星株式会社代表の伊藤綾さんと一緒にお邪魔することになりました。伊藤さんは、昨年末「ガイアの夜明け(テレビ東京)」に取り上げられ話題になった方でもあります!
逸見覚さん。SN@P代表の他、けんと放送代表、新潟市広報戦略アドバイザー、新潟ベンチャー協会理事も務めるなど、地元の発展に尽力しています。
「新潟は全国的にも開業率が低い。その状況をどうにかしたいと思いました」と起業の思いを語る逸見さん。「SN@P新潟」に併設するコワーキングスペースを経営する中で、コミュニティとしての起業支援の必要性を実感したと言います。
コロナ感染拡大前は、100人規模のイベントを開催してネットワーキングの機会を作っていましたが、コロナを機にオンラインサロンを強化。現在、サロンのメンバーは約170人。起業した/起業予定の社会人、起業を志している大学生、起業支援の事業を営む人たちで構成され、1日平均75名のユーザーが訪れる新たなネットワーキングの場になっているそうです。
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逸見さんがすごいのが、自身が代表を務める「けんと放送」で事業化せずに、「SN@P新潟」を展開するにあたり、新たに会社を立ち上げたこと。
「けんと放送では、引き継いで社長になったに過ぎない。つまり、私は起業経験がないんです。それなのに起業支援の事業はできない。まずは自分が起業家になり、そのプロセスを経験しようと思いました」(逸見さん)
逸見さんの実直でひたむきな姿勢。それが熱い想いを持って独立したフリーランスや起業家たちを惹きつけるのでしょう(逸見さんの熱い想いの続きはこちらから読めます)。
次に、逸見さんの下で働く荒川由晃さんに話を聞くことができました。荒川さんは、5年前に東京から移住。今は、前職で培ったマーケティングの経験を活かし、起業家のサポートに励んでいます。
荒川由晃さん。東京で東日本大震災を経験し、都心で家族を守ることの難しさに直面。妻の実家がある新潟市への移住を決めたそうです。
荒川さんは「地方は可能性の宝庫。新しいビジネスを行いやすい」と、その魅力を語ります。
「人と人の間にすでに『信用と信頼』という財産があるため、一つのアイデアが実現するスピードが圧倒的に早いんです。たとえば、新潟市の特産品を使った新商品を開発したとします。それを量産するために加工業が動いてくれる、地元の商店街が販売してくれる、大学の研究者が栄養価のお墨付きを与えてくれる、有権者が他県に売り込んでくれる、地元メディアが取り上げてくれる、地元出身のタレントが消費してくれるーーこうした展開がすごいスピードで一気に決まるんです」(荒川さん)
つまり、すでに強いネットワークがあるからこそ、そこのネットワークに入れれば、事業展開が加速する。そして、その既存の強固なネットワークと新規参入者をつなぐのが「新潟SN@P」というわけなのです。
「SN@P新潟」の上にあるコワーキングスペース。フリーランスや起業家の交流の場になっています。
フリーランスのエコシステムができ上がっている
次にお話を聞いたのは、ギルド型コミュニティサービス「Social Creative Guild Hama-Lab.」を運営するプランニングディレクターの山本一輝さん。
ギルドとは、元々は中世ヨーロッパの独立した職人たちの職業組合のこと。「現在の日本では商工会などの組織、最近ではネット上のクラウドワーキングサービスも仕事の受発注形式としてはイメージが近いかもしれません」と説明します。
新潟市駅構内にあるコワーキング兼カフェ「MOYORe」にて。左が伊藤綾さん、右が山本一輝さん。
東京で普及しつつあった、フリーランスと企業が仕事をする「新しい個人と組織の関係性」を新潟で実験するのが設立目的の一つだったとか。
そのほか、個人で事業をスタートしたものの周囲に仕事について相談できるような人がいない、同僚といえる方や協力者がいないなど、フリーランスが抱えがちな課題をコミュニティで補完できるような役割を担ったり、お互いの仕事のコラボレーションが生まれたりする場を目指してコミュニティ化したのだそうです。
山本さんが新潟市にUターンして約6年、ギルドコミュニティを設立して約3年、新潟でフリーランスはどのくらい増えてきているのだろうか。
「あくまで自分の体感にはなりますが、確実にフリーランスが増えてきていると感じます。それは働きやすい環境が整ってきているからです。たとえば、新潟に戻ってきた2016年は、コワーキングスペースが新潟市内にたった1つしかありませんでした。それが、今では自分が知る限り5つはある。そのうち2つは新潟市駅前という好立地です。まさに『フリーランスのエコシステム(生態系)』ができていると言えるでしょう」(山本さん)
山本さんが描く「フリーランスのエコシステム」とは、どんな姿なのでしょうか。
「フリーランス同士が協力して仕事をし、刺激を与え合い新たな価値が生み出されていく。その価値に触れた人のなかから複業など多様な働き方を希望する方が生まれ、新たなフリーランスが生まれるようなイメージです。
タレント性のあるフリーランスの活躍に『新潟に面白い人がいる』という話が広がり、面白い人たちが集まって信頼に基づくネットワークが生まれる。立場や組織を超えた個人同士の繋がりからやがて新しいプロジェクトが生まれ、そこに会社員や公務員などが副業・複業で関わる。
関った人のなかから徐々に個人名で仕事をする人が現れ、助走期間を経て実績を積み重ね『やりたいことで生きていく』と独立する人が生まれる。ネットワークがさらに広がり、またどこかでその人の存在が話題になる。
所属組織の名前で生きるのではなく、個人の名前で生きられる人が自然と増えていくような循環--それがフリーランスのエコシステムたと考えています」(山本さん)
「SN@P新潟」のコミュニティや山本さんのギルドコミュニティから生まれる「フリーランスのエコシステム」。このような場があるからこそ、人と人のご縁から仕事が生みだされるのではないかとイメージできて、安心して独立できる。そんな、新しい人を包み込む温かさを今回の取材を通して感じることができました。
魅力(2):一人でも楽しめるカフェや酒場がある
そんな納得感を得た矢先、突如現れたのは、フリーランス大学生。
伊藤さんのTwitter見て、新潟市にいると知ったのだとか(オンラインのやりとりだけではなく、リアルの接点も大事にしているところが、新潟の人たちの温かさなのかも?!)。
フリーランス大学生のルミちゃんと、編集部コダマ、山本さん。フリーランス大学生の実態に興味津々
ひょんな出会いから、フリーランスが好みそうな新潟市の一押しスポットを案内してもらうことになり、いざ町巡りへ。
新潟市に惹かれる新たな魅力として発見したのは、
・一人で行っても、誰かと出会えるカフェや酒場がある
・市内からたった1時間で行ける癒しの場がある
以上の2つでした。
こちらは、新潟市から車で5分ほどのところにある、沼垂(ぬったり)テラス商店街にあるカフェ。再開発を経て、続々個性的なお店が集まっているのですが、一際目を引いたのが「紡ぐ珈琲と」という名のカフェ。一人でゆっくり読書したくなるような場所でした。
続いて向かったのは、同じく沼垂にあるクラフトビールのお店「沼垂ビール」。
マスターが気さくで、一人でも通いたくなるようなお店でした。ここでは、沼垂ビールの飲み比べを堪能し、再び新潟市へ。
見るからにディープな「駅前楽天地」。何軒もハシゴしたくなるような個性的な飲み屋が集まっていました。
魅力(3):市内からたった1時間で行ける癒しの場がある
最後に訪れたのは、ワイン好きの間で有名な新潟のワイナリー「カーブ・ドッチ」。10年来、いつか来訪したいと思い焦がれていましたが、まさか新潟市から車で1時間の距離にあるとは梅雨知らず。しかも、隣に温泉スパも併設しているというじゃないですか! しかも新潟市からシャトルバスが出ていて、一人でも行きやすい!
ということで向かってみると、出迎えてくれたのは、まるで南仏のようなワイン畑でした。
温泉スパに入館。なんですか、この開放感!
素敵な庭園を見ながら、マッサージチェアでくつろげる
お店にはカーブ・ドッチのワインも販売中
新潟県がフリーランスに特化した応援金をスタート
以上、総勢6人のインタビューを決行して見えた、新潟市の魅力をお伝えしてきました。
「新潟市への移住もなくはないかな」と思いながら帰路についていたら、きら星の伊藤さんからピコンと連絡あり。
上記の通り、現在、新潟県ではテレワーカーやフリーランスに対する移住応援金を実施しているそうです。〆切は3月15日と迫ってはいますが、昨年の6月以降に移住した人も対象なんだとか。新潟市に移住したいと思っていた人は、せっかくなので活用してみてはいかがでしょうか。
【新潟県テレワーカー・フリーランス移住応援金の概要】
1 対象者
以下の全てに該当すること。※公務員は対象外
(1)移住等に関する要件
(ア)令和2年6月19日以降に、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)から新潟県内に転入。
(イ)転入日から1年以上継続して県内に居住する意思を有している。
(ウ)新潟県移住・就業支援事業に基づく移住支援金又は新潟県起業支援事業に基づく起業支援金の交付を受けたことがなく、かつ受ける予定がない。
(エ)暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者でない。
(オ)日本人である、又は外国人であって、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者のいずれかの在留資格を有する。
(カ)その他知事が移住応援金の対象として不適当と認めた者でない。
(2)事業等に関する要件
※(ア)又は(イ)に該当
(ア)テレワーカー
企業等に雇用され、県外に所在する事業所に所属し、転入日から1年以上継続して県内でのテレワーク勤務を命じられている。(県内の事業所への転勤、出向等の人事異動や、出張、研修等による一時的な勤務場所の変更を除く。)
(イ)フリーランス等
転入日の直前に、1年以上継続して県外で事業を実施しており、転入日以降も事業を継続し、申請日において事業所を県内に移転している小規模企業者の代表者(個人事業主を含む)。
(3)世帯に関する要件
※世帯の額を申請する場合
(ア)申請者を含む2人以上の世帯員が転入前において、同一世帯に属していた。
(イ)申請者を含む2人以上の世帯員が申請日において、同一世帯に属している。
(ウ)申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、令和2年6月19日以降に転入。
(エ)申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者でない。
2 支給額
2人以上の世帯の場合:50万円
単身世帯の場合:30万円
3 申請方法
令和3年3月15日【必着】までに、申請書と必要書類を、郵送または持参で、新潟県しごと定住促進課に提出してください。
※期限内であっても、予算上限額に到達した場合は交付決定できません。
<郵送で提出する場合>
封筒の表面に「移住応援金申請書類在中」、裏面に申請者の住所、氏名を明記の上、簡易書留等、記録が残る方法で送付してください。(送付先は下記5のとおり。)
<持参する場合>
土日・祝日・年末年始を除く9時から17時までの間に持参してください。
4 必要書類
対象者区分ごとに、必要書類をすべて提出してください。
【全員】
(1)本人確認書類(運転免許証等)(コピー)
※外国人の場合は在留カード等(コピー)
(2)移住後の住民票の写し(世帯で申請する場合は世帯全員分)
(3)振込先が確認できる預金通帳等(コピー)
【テレワーカーの場合】
(4) 勤務先が作成する勤務証明書(別記第3号様式)
【小規模企業の代表者の場合】
(5)事業所を県内に移転する前の直近の確定申告書(コピー)
<法人のみ>
(6)事業所を県内に移転した後の履歴事項全部証明書
<個人事業主のみ>
(7)県外で事業を行っていた期間が確認できるもの(開業時の開業届出済証明書等)
(8)県内で事業を行っていることが確認できるもの(移転後の開業届出済証明書等)
※上記の他に追加で書類の提出を求めることがあります。
※必要書類の詳細は、下記「ダウンロード」に掲載している「4 必要書類一覧(詳細)」をご覧ください。
5 提出先・お問い合わせ先
新潟県 産業労働部 しごと定住促進課 U・Iターン就業促進班
〒950-8570 新潟県新潟市中央区新光町4番地1 新潟県庁11階
【電話】 025-280-5635
【メール】 ngt050050@pref.niigata.lg.jp