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将来が不安!? 不安を味方につけて、分解することから始めてみよう!〜フリーランスのためのメンタルヘルス〜

不安な気持ちに押し潰されないために

はじめまして。心理学をバックグラウンドに、職場のメンタルヘルスを専門に活動をしている関屋裕希です。7年前からいわゆるパラレルワーカーとして、週4日の常勤先+非常勤やスポットの依頼、研究活動、教育活動、執筆活動などを行っています。つまり、自分の名前で仕事をもらっている点で、皆さんと同じフリーランスです。

突然ですが、皆さんはフリーランスになってから「将来のことを考えてしまい眠れない」など、不安に押しつぶされそうになったことはありますか?
2015年版の小規模企業白書によると、「フリーランス形態で事業を営む中で不安や悩みはあるか」との問いに対して、「ある」と答えた人は71.6%でした。

フリーランスは自由に仕事を選べる反面、自分1人で「経営する人」と「働く人」の両方をこなしていくことを求められる働き方でもあります。
また、そのときどきで、世の中の景気、環境やトレンドの変化、取引先の企業の状況などで、仕事の増減があったり、ひとつの会社に所属していると感じないような不安を抱えることもあるでしょう。
今のように、コロナ感染拡大の影響で、「しばらく安泰だ」と思っていた業種に不況の風が吹いたり、先行きの見えづらいときには、特に不安な気持ちは強く出やすくなます。
それは、ある意味、仕方のないことなのです。

けれども、不安を抱えたままでいることは、心身の健康においても良くないことは明らかです。加えて、不安でいっぱいになると、判断力が落ちてしまう、というデメリットもあります。
自分がいっぱいいっぱいなのに、「断ると次がないかもしれない」と不安に思い、やみくもに仕事を引き受けすぎて、疲弊してしまう……といった話は良く聞きます。
それによって、仕事の期限を守れず、クオリティが下がってしまうのは、本末転倒ですよね。
こんな働き方を続けていたら、自分の力が発揮できる領域を選んで活躍できる、というフリーランスの強みも損なわれてしまいます。

不安という感情のポジティブな側面

上記のような話をすると、「不安という感情なんてなくなればいい」と思う人が大半でしょう。
不安だけでなく、感じても嬉しくないネガティブな感情は、できれば避けて生きていきたい、と誰もが思うのは当たり前です。けれども、私は逆に次のように考えます。

「一見ネガティブな感情があるからこそ、私たちの人生は豊かになる」

そう考えるようになった原点は、大学院時代に、“ちょっと変わった”ポジティブ心理学の研究をしていたことにあります。
一般的なポジティブ心理学では、それまで心理学が研究のテーマとしてきた、不安やうつ、ストレス、攻撃性や劣等感といった人間の心のもつ弱点や問題点ではなく、喜びや嬉しさなどのポジティブ感情や強みなどのポジティブな特性を研究します。1998年に創設された、心理学の中でも比較的新しい学問領域です。

では、私が所属していた研究室が扱っていた“ちょっと変わった”ポジティブ心理学とは何か。それは、「一見ネガティブに見えること」のポジティブな側面を研究テーマにしてました。

その中で、「あれこれ考えて心配しすぎる」という性質について研究している先輩がいたので、次に紹介したいと思います。
不安を感じやすい人の中には、「自分はいつもあれこれ悩んでしまう。心配性で嫌だなぁ。もっと楽観的になれたらいいのに」。そんなふうに悩んでいる人は少なくないでしょう。
けれども、視点を変えて捉えてみると、心配性には良いところもあるのです。

細かいことにも思いを巡らせて心配する人は、「ああなったらこう対応しよう」、「こうならないために手を打っておこう」と事前に対策をしておくことが得意です。
そのため、大きな問題やトラブルにならずに、うまく物事を対処することができるのです。
この能力は、学術的には「対処的悲観性」と呼ばれ、研究の結果では、対処的悲観性が高い人は、パフォーマンスも高いことがわかっています。

不安とうまく付き合うためには?

では、どのようにしたら、不安とうまく付き合っていけるのでしょうか。
大事なのは、まず不安の正体を知ることです。

そもそも、私たちは、なぜ不安になるのでしょうか。
不安は「未来のことがわからないとき」に生じる感情です。
つまり、私たちに「わからないことがあるから、何か手を打っておいたほうがいいですよ」と教えてくれているのです。

ただ、「将来が不安」と漠然とした不安のままでは、打てる手も打てなくなってしまいます。
また、モヤモヤと不安を抱えたままだと、必要以上に不安が膨らんでしまうこともあります。
まずは、モヤモヤとした不安を分解するところから始めていきましょう!

具体的には、「将来の漠然とした不安」を次の3つに分解していきましょう。

①“実は”わかっていること
②明確にできること

③どうやってもわからないこと

図1

では、具体例と共に見ていきましょう。

①“実は”わかっていること
A.本当はフリーランスは向いていないと思っている
B.安定的収入がある方が安心だということ
②明確にできること
A.フリーランスに向いていないと思う理由は?どんなきっかけでそう思うようになったのか?
B.月にいくらあれば、満足できる暮らしができるのか?

こうして分解してみると、ずいぶんと「わかる領域」が増えていると思います。最初に大きく感じていた不安の質がぐっと変わっているのではないでしょうか。

そして最後に、私たちには、どうやってもわからないこともあります。

③どうやってもわからないこと
これからも仕事をもらい続けることができるのか?

この悩みは多くのフリーランスが直面したことがあるのではないでしょうか。
でも、考えてもみてください。私たちは、明日の天気すらわからないのです。誰が、この新型コロナウィルスのパンデミックを予想できたでしょう?
未来のことで、なおかつ、自分が意思決定できる案件じゃない場合、大概が考えても仕方ない領域です。

ですので、不安で押しつぶされそうなときは、①②③にまずは分解するクセをつけみましょう。そして、もし③だったら「なるようにしかならない!」と手放すのが一番です。

一人だと分解するのが難しく、不安がどんどん膨らんでいく。このような悪循環を止められないこともあるでしょう。
そんなときには、仲間の力を借りるようにしましょう。一人で悩んでいても、ドツボにハマるだけです。早めに切り上げるのが重要です。

たとえば、フリーランス同士で、お互いの不安を、お互いの視点で分解しあってみるのも良いでしょう。そうすると、自分だけでは気づかなかったところまで分解が進んで、一気に気が楽になる、なんてこともありますよ。

どうしたら仲間を見つけられるかわからない、という方は、フリーランス向けのオンラインの講座に参加してみるなどの方法も考えられます。
講座の中で、同じように悩んでいるフリーランスに出会えるかもしれませんし、その先、さらにSNSなどでつながり、共通点も見つかって、グッと距離が縮まることもあるかもしれません。
フリーランスにとっては、そういった場で出会う仲間が職場の同僚のようなものです。
不安になったときに、その気持ちを共有できる仲間を見つけて、一緒に分析してみてくださいね!

不安があるから、喜びや嬉しさを感じられる

最後に、不安のポジティブな面をご紹介します。
学術的にも分かっているのは、私たち人間は、不安や悲しみを感じないようにすると、喜びや嬉しさも感じにくくなってしまうことがわかっています。

ですから、「不安になりたくない」という理由で新しいことにチャレンジせずにいるのではなく、不安を味方につけてうまく付き合っていく。そんな姿勢がフリーランスが自身を最大限に活かして働き続けるためには必要だといえるのではないでしょうか。

寄稿:関屋 裕希(YUKI SEKIYA)
心理学博士、臨床心理士、公認心理師
東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野 客員研究員。

早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了後、2012年より現所属にて特任研究員として勤務。2015年より現プロフィール。
専門は、産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり、業種や企業規模を問わず、ストレスチェック制度や復職支援制度などのメンタルヘルス対策・制度の設計、職場県境改善・組織活性化ワークショップ、経営層・管理職・従業員それぞれの層に向けたメンタルヘルスに関する講演や執筆活動を行う。これまでの講演・研修・コンサルティングの実績は10,000名以上。
近年は、心理学の知見を活かして、理念浸透や組織変革時のインナーコミュニケーションのデザイン・設計にも携わる。現場で活用しやすい提案でありながら、エビデンス(科学的根拠)に基づいたアプローチを取り入れている点が特徴。臨床心理士として、精神科クリニック、小中高の教育領域での個人カウンセリング経験があり、現在も、企業内健康管理室にて個人カウンセリングを担当する経験から、組織的視点と個別的視点の両方をもちあわせている。心理療法としては、マインドフルネスを含む認知行動療法、エモーション・フォーカスト・セラピー(感情焦点化中心療法)をオリエンテーションとする。

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