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レターパックが送れない!?意外な”移住トラップ”に気をつけて ~連載「母子移住のススメ」第4回~

子どもの進学を機に東京から長野へと母子移住し、1年が経ちました。今回はこの1年で経験した、「移住前には想定してなかった!」ということを振り返ります。

<前回までの流れ>


仕事の効率にも関わるインフラ関連の“困った!”

みなさんは自分にとって仕事で最低限必要なインフラはどの程度か把握していますか? 移住先の環境が、この「最低限」に達しているかは未知数。その差を埋めるために、想定外の出費が発生するかもしれません。

わが家ではこんな”困った!”が起こりました。

・ネットがつながらなくて親子ゲンカ勃発

移住して早々に一番困ったのが、インターネット環境でした。

事前に現地で試したときには、東京でも使っていたWiMaxのモバイルルーターが問題なくつながりました。だから、当面はこれで乗り切るつもりだったのです。

ところが、4月の後半頃からだんだんと接続状態が悪くなり、使い物にならない状態に。昨年の春は緊急事態宣言が発令され、自宅でネットを使う人が多くなったからだと思われます。

子どもは「Netflixを観たいのにつながらない!」と私に怒りを向け、私もなんとかしてあげたいけれどどうしようもなくてイライラが爆発。外出自粛で母子2人で向き合う生活において、これは辛かった……。

問題はNetflixが観られないだけじゃありません。小学校は感染防止のため自宅からオンライン学習となっており、午前中はいつもZoomで先生や友だちとやり取りをしていました。私は私でインターネットに接続できなければ仕事になりません。

そんな状況でネットがつながらないのはあり得ない。背に腹は代えられないということで、スマホのテザリングを利用。そうするとすぐにデータ容量を使い切ってしまうので追加の容量をチャージするしかなく、とっても出費がかさみました(涙)。

これではやってられないので光回線を申し込み、やっと快適にネットが使えるようになったのが5月半ば。そこからは親子ゲンカもほとんどなくなりました。

ネットがなくては仕事ができないフリーランサーとして、事前の準備が甘かったな〜と反省しきりの出来事でした。

・都市銀行の支店やATMがない

これは前々回の記事でも書いた通り、事前に知らなくて準備をしておらず、今も地味に困っていることです。

・レターパック、角2封筒が入らないポストが多い

フリーランスの仕事をしていると、契約書のやり取りなどでA4の用紙が折らずに入る角2(角型2号)サイズの封筒やレターパックを使うことがあると思います。

うちの周りには徒歩5分圏内に3つほど郵便ポストがあり、「これは便利!」と喜んでいたのですが、いざ投函しようとするとレターパックが入りませんでした。角2封筒は、両脇を少し折り曲げても良ければ入るかな、という感じです。

よく行くスーパーの店先にあるポストも同様で、「あそこのポストなら入るだろう」と出かけていき、「ここもダメか〜」と肩を落とすこと数回。大きめサイズの封筒を投函するときには郵便局まで出かけるべし、ということを学びました。

調べてみると、ポストが作られた年代などによって投函口の大きさも違うようです。きっと都市部だと更新の頻度も高く、「入らない!」という経験をすることもあまりないのでしょうね。

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(レターパックが入らないポスト)

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(こちらはレターパックが入るポスト。郵便局前ですが、都会と比べると集荷の回数が少ないですね……)

・宅配便の時間指定ができない場合がある

移住先の家に必要なものを揃えたり、近所にないお店の品物を買ったりと、東京にいたとき以上に通販を利用することが増えました。

再配達の無駄を減らすため、なるべく配達日時を指定するのですが、「配達時間指定不可能地域」と表示されていて日にちまでしか指定できないことがあります。希望時間にきめ細かく対応できるほどのリソースがないということなのでしょう。

最初は不便に思ったのですが、住み始めてしばらく経つとドライバーさんが「車があったので〜」と言いながら私の在宅を見計らって荷物を届けてくれることが増えました。このあたりの人はみんな車で移動するので「家の駐車場に車がある」ということが「在宅中」の目印になるのです。

これは「留守にしていることがバレる」ということでもあるので、「気持ち悪い」「防犯上問題あり」と感じる方もいるかもしれません。ただ、この地域は犯罪率も低いですし、ご近所さん同士なんとなく安否を気遣い合うきっかけにもなったりするので、「いいんじゃないかな」というのが今の私の気持ちです。

「寒いところに住むことってこういうことか!」気候の違いも生活に影響

移住してインフラ以上に大きな差があるのは、当然ながら気候の違い。移住前から多くの人に「長野は寒いよ!」と言われていたので覚悟はしていたのですが、実際に住んでみて「こういうことか!」と実感したことが色々あります。

・住んでなくてもかなりの電気代が!

今の家に暮らし始めたのは昨年3月末なのですが、大きな荷物は2月中に運びこんだため、2月に電気の使用を開始しました。すると、2月分として5000円を超える電気代の請求が……。「住んでないのに、どうして!?」と焦りました。

この電気代のほとんどは、水道管に巻いてある「凍結防止ヒーター」が作動してかかったものだったようです。

凍結防止ヒーターとは、家の外に露出している水道管にグルグルと巻きつけ、そこから発する熱で水道管を温める装置です。センサーで凍結の恐れがあると判定したときだけ作動するのですが、11月から翌3月頃までの朝方は大体いつも作動しています(水道の蛇口をひねると最初だけお湯が出てきて、「ヒーターが付いてるんだな」と分かります)。

水道管が破裂しては大変なので冬の必要経費と捉えるしかありませんが、最初は本当にびっくりしました。

・4月にしもやけが!

私が移住したのは3月の末で、4月に入ってもまだまだ寒さが続いていました。

夜に食洗機に入れて洗った食器を朝に取り出すとキンキンに冷えていて、「ここって寒いんだなぁ」と実感しました。

冷えたお皿を片付けたり、料理中にちょっと野菜を洗ったり、洗濯物を干したりするときの手が冷たい! そう思っているうちに、手の指が赤く腫れるしもやけができてしまいました。

暖かくなると治るのですが、秋頃にまた「手が冷たい!」と思っているとしもやけに……。そんな経験を経て、今は洗い物はゴム手袋、洗濯物を干すときは毛糸の手袋、の習慣が付きました。

・ディーラーさんも教えてくれなかった“寒冷地仕様”の車とは

都会ほど公共交通機関が発達していない地域では、日常生活に車が必須です。

その車もなんでも良いわけではなく、「この辺は道路が凍るから4WD(四輪駆動)じゃなきゃ」とか、「ウォッシャー液や冷却水(クーラント)が凍らないように濃度を調節するんだよ」とか、寒い土地ならではの常識があることを移住後に知りました。

実は移住直前に車を買い替えるとき、営業さんに「今度寒冷地に引っ越すんですけど、この車で大丈夫ですかね?」と聞いたら、「べつにどの車でも大丈夫ですよ!」とサラッと返されたんですよね……。横浜のディーラーだったので、営業さんに寒冷地の知識は必要なかったのでしょう。移住後の生活のことは、移住先の人たちに聞くべき、ということがよく分かった経験でした。

こんな風に、住んでみなきゃわからないことって色々あります。特に東京と長野は気候の違いが大きいので、「夏はどうなるんだろう」「冬はどうなるんだろう」とドキドキしながら過ごす1年でした。

でも、同じように移住してきた仲間や地元の人たちに教えてもらったり、インターネットで情報入手したりして乗り越えると、自分がちょっと成長した気がして嬉しかったりもして。これもまた、新しい環境に飛び込む醍醐味なのだと思います。

やつづかえり
コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立。2013年に組織人の新しい働き方、暮らし方を紹介するウェブマガジン『My Desk and Team』開始。『くらしと仕事』編集長(2016〜2018.3)。Yahoo!ニュース(個人)オーサー。各種Webメディアで働き方、組織、ICT、イノベーションなどをテーマとした記事を執筆中。著書に『本気で社員を幸せにする会社』(2019年、日本実業出版社)。

やつづかさんPH

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