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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.4

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2018年1月の記事一覧

もう一度あなたに勘違いできるだろうか

もう一度あなたに勘違いできるだろうか

恋は勘違いのようなもの。

こんな言葉を耳にしたことがあるのだけれど、一体どこで耳にしたのだったか、そもそも耳にしたのではなく目にしたのだったか、それは定かではない。定かではないのだけれど、確かにその言葉はわたしの中にある。

確かにそうなのだろうなあ、なんて思う。誰かを好きになるきっかけなんて、たいていほんのささいなことで、そこからのめり込むようにして想いを募らせていきました。

ひとりで(あー

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飲みこもうとするそいつに、わたしは全力で抵抗する

飲みこもうとするそいつに、わたしは全力で抵抗する

それはいつでもわたしの周りに漂っていて、気を緩めていると突然ふわりとわたしを包みこむ。

ぞわっとした寒気のような感覚のあと、襲ってくるのは強い吸引力。洞穴から風が吸いこむようにして、わたしのことを引き寄せようとする。

わたしはいつでもその風から逃げ出そうともがいて、必死に抗いつづけている。

……たとえるならば、こんなイメージ。

わたしのメンタルががくりと不安定に傾くときの印象です。

これ

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意味をなさない言葉が宙を舞い

意味をなさない言葉が宙を舞い

ノイズキャンセリングの隙間を抜けて風の音がボーボー流れ込んでくる。テクノロジーVSネイチャーの攻防を聞き分ける。ネイチャーの圧倒的勝利。そんな遊びをしてる間に204番のバスが到着する。

足の悪いおじいさんが、ゆっくり乗り込むのを待って温かい車内へ。いつもの通り満席満杯すし詰め状態である。おじいさんは無事に座れたようで何より。

バスの中は老人5割。外人4割。若者1割。
これが修学旅行シーズンとな

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ドラマチックとは何ぞや

「あの名刑事が、完全犯罪の謎に挑む!!」
みたいなドラマとか、
「東京都民全てが人質!! ラスト10分、驚愕のどんでん返しが!!」
なんて感じで宣伝されてる映画とか、「ハラハラドキドキ!」の作品も、もちろんドラマチックだと思います。

でも、「事件だ!」みたいな出来事が起きなくても、ドラマチックな作品、ドラマチックなシーンって、あると思うんですよね。

例えば私の好きな作品で言うと、山田太一さん脚

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【イベントレポート】自分のコアをつらぬく強さ #アンドミリュー

【イベントレポート】自分のコアをつらぬく強さ #アンドミリュー

「戦う女性」であり続けたのだな、と感じていた。
極限まで気を遣ってインターネットの海を強く強く泳ぎ続けている人なのだ、と。

朝日新聞と塩谷舞さんの事件的コラボセミナー「塩谷舞さんに聞く いま求められるwebコンテンツの作り方と届け方」に参加してきた。

わたしがWEB業界について学びはじめたとき、誰もが「しおたんさんは凄い」と口を揃えて言った。

しおたんさん。塩谷舞さんってどんな人なんだろう。

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はずかしい泣き虫

はずかしい泣き虫

たぶん昔から、人より少しだけ感じやすい子だった。……かもしれない。

よく泣く子だった。うれしかったり、悲しかったり、悔しかったり、びっくりしたり、不安だったり。感情がたかぶると自然に涙が出てきてしまって、自分でもよく困ったものだ。

小学校低学年だった頃、夏休みのプールが悪天候で中止になった。朝はみんなで集合して、小雨が降るなかで「プール、あるかなぁ」「でも、どうせ濡れるんだし、これくらい平気じ

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みなさんのおかげです。

少し前、いくつか取材をしてもらう機会があり、過去を振りかえりながら話す機会があった。取材では聞きたいことを事前に伝えられるケースもあるが回答は何も考えずにいく。特に過去のこととなると思い出すだけで時間がかかる。飲み屋の延長線上での会話に近いラフさで回答させてもらっている。

今、こんな自分にいろんなチャンスがあるのは、僕が努力し続けてきたってことでは全然なくて、出会ってきた人がよかった。その人たち

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ただ生きていい

先日テレビである若手起業家のドキュメンタリーが流れてきた。

22歳で起業して、25歳にして1000億円企業にまで成長させた有名な若手起業家。
ここ最近SNSなどにも頻繁に広告が流れてくるから、一度は見たことあるような人気コンテンツを生み出した若手のカリスマみたいな人。

番組中、少し年上のNYで活躍する先輩若手起業家に会いにいく場面。
若くして大きな成功をおさめて、さぞ楽しい時間が待っているのか

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フルボリュームで生きてくれ

フルボリュームで生きてくれ

人生で忘れられない人というのがいると思う。

自分に何かしらのかたちで影響を与えてくれて、その影響が今の自分を形づくる要素として明確な色で残っているような人。
そういう人が話した「言葉」っていうのもやはりいつまで経っても覚えている。
言葉はその人の人格そのものだ。
逆に人の色はその人の振る舞いで決まる。
どちらもその人そのもの。

大学生の時、卒業前最後の授業で学科長だった先生が言った言葉を今だに

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根明と根暗

根明と根暗

NHKの「SWITCHインタビュー 達人達」で写真家の長島有里枝さんとモデルの水原希子さんの対談がやっていた。

今まで順風満帆の人生を歩んできたと思っていた希子ちゃんが、実は結構挫折を何度も経験しながら進んできたことを始めて知る。
現在の彼女を見ているとそう感じさせないのは、彼女の根っからの性格の明るさとどこか吹っ切れたような思い切りのよさのせいなんだろう。

いつもキリっと背筋が伸びたあの佇ま

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猫かぶり

猫かぶり

「猫をかぶる」という言葉。

あれは字面そのまま真意を得ている。

猫は自分がかわいいことを知っている

愛される術も知っているからタチが悪い

平面状の愛

平面状の愛

平面状の世界が、自分の世界の中心になっている。
最近聞いた人の寂しい話。

知人の友人が結婚式をあげることになった。
新郎新婦は、事情もあったのかどうかは分からないがSNS上に自分たちの写真を共有してほしくなかったみたいで、参列者に式が始まる前にそのことをお願いした。
「写真はいくらでも撮ってもらってもいいが、SNSに公開しないでほしい。」

そしたらその日の参列者達は、いつもの結婚式では式の様子

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場のホスピタリティを担保するのは、“暇人”の存在。|がくげいラボvol.4「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」大谷悠さん|【イベントレポート】

場のホスピタリティを担保するのは、“暇人”の存在。|がくげいラボvol.4「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」大谷悠さん|【イベントレポート】

1月20日(土)に開催したがくげいラボvol.4。テーマは「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」。

学芸社屋改修レポート#2 でもちょろっと触れたのですが、10月の夏休みにオランダ・ドイツを巡ってきた岩切が、ドイツでお世話になった大谷悠さんをお呼びしました。

定員を超えるたくさんの皆さんにご参加いただきました。

現地で大谷さんが連れて行ってくれたのは、アムステ

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数に惑わされない目がほしい

数に惑わされない目がほしい

今は、とかく簡単に数で判断基準が示されてしまう。

Twitterでは、フォロワー数で大人気ないやりとりが発生しているところを見かけるし、実際にフォロワー数にこだわりを持っているアカウントを運営している人だっているでしょう。

リツイートが増えたら「バズった」と言われ、内容によっては時の人のようになることだってあります。

このnoteだって、フォロワー数はTwitterに比べて読み手側に与える印

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