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公務員が「泥船化」する原因と、今日からできる対処法

この記事は「このまま公務員を続けていいのか…」と不安を抱えている人向けに執筆したものです。

・自分に割り当てられる仕事が、周りと比べてやたら多く感じる
・自分より働いてない職員が、自分より多くの給料を受け取っているのはおかしい
・公務員は古くて非合理的な仕組みが多く、やりがいを感じられない

こんなふうに思ったことはありませんか?

もし思ったことがあるなら、公務員という職業はあなたに向いていません。

これはあなたの人格の問題ではなく、能力の問題です。具体的には

  • あなたが平均以上に優秀な職員なら、公務員に向いていません。いざというときに逃げ出せるよう、在職中に対策を講じておくことを強くおすすめします。

  • あなたが平均より無能な職員なら、公務員に向いています。そのまま定年まで勤務を続けましょう。

私は10年間公務員として働いてきました。決して周りより優秀な職員というわけではありませんでしたが、良くも悪くも真面目に業務に取り組んできたため、「組織から頼られるポジション」にいたという自覚があります。

その結果、冒頭のような不満を抱えるに至りました。理不尽な業務量を与えられ、周りからの助けも得られない状態でストレスはどんどん膨れ上がっていきました。

もちろん、この問題は単年度に限ったものではありません。「今年」理不尽な扱いを受けている私が、「3年後」「10年後」「20年後」理不尽な扱いを受けていない保証などないのです。むしろ理不尽な扱いをされている可能性のほうが高いでしょう。

「今後もずっとこんな扱いをされたら、精神的に耐えられない…」と思い、自分の心身を守るために行動を始めることにしました。

結果として、公務員を辞めた現在はフリーランスとして好きな時間に寝起きする気ままな生活を送っています。人間関係のストレスはゼロ。毎日が爆速で過ぎ去っていきます。

フリーランスになって3年目には、目標の一つであった「公務員時代の年収」を抜くこともできました。逆に言うと、1年目・2年目の年収は下がってしまったので、フリーランスとして稼ぐことの難しさも知っているつもりです。

この記事では、公務員時代の私と同じように職場の環境に不満を感じながらも思考停止で毎日を過ごしている、そんな人たちに向けて執筆しました。

本記事の構成(ざっくり)

この記事は大きく分けて以下の二部で構成されています。

  • 前半(第1章~第6章):公務員組織の現状と将来予測

  • 後半(第7章):在職中の公務員が今日から取るべき対策

特に後半部分では、公務員を退職しフリーランスになった私の体験談を交えつつ、「この泥船からどう逃げるか」について解説しています。

さて、まずは公務員の現状を知ることからです。現状を正しく把握しなければ正しい対策が打てませんからね。

対象読者

  • 20代・30代の職員

  • 平均以上に優秀な(組織から頼られることが多い)職員

私は20代で一度、30代で一度、公務員を退職した経験があります(一度目は公務員⇒公務員の転職)。その経験をもとに本記事を執筆しているため、基本的には20代・30代の方に向けた内容となっています。

40代後半~50代の方や(悪い言い方になってしまいますが)平均よりも仕事ができない方にとっては、記事の後半部分はあまり役に立たないかもしれません。精神的に限界を迎えているような場合を除き、たとえ公務員が泥船化するとしても、そのまま働き続けるのが合理的です。

一方、もしあなたが上記の「対象読者」に当てはまるなら、このまま思考停止で日々を送るのはおすすめできません。今後の労働環境の悪化(後述)により、あなたが精神的・肉体的に追い詰められてしまう可能性はどんどん高くなっていきます。

そんなとき「公務員にしがみつく」以外の選択肢が取れないと、心身の健康を損なってしまい人生が台無しになることも。

あなたの健康や人生を守ることができるように、今から対策を打つことでいざというときの選択肢を増やしておきませんか?

第1章 公務員が安定した職業ではない

非常に残念なことに、公務員は安定した職業ではありません。そして上述のとおり、平均以上の能力を持っているあなたに向いている仕事でもありません。

公務員を辞めるにしろ続けるにしろ「公務員という不安定かつ不向きな職業に就き続けるか」という、あなたの人生に深くかかわる問題と向き合う必要があるのです。

それを怠って思考停止で働き続けていると、気づいたときには心身が限界を迎えるなど取り返しのつかない事態に陥るかもしれません。私は10年間の公務員生活を通して、そんな人たちをたくさん見てきました。

公務員が安定だと勘違いされている理由

公務員の安定さの根拠しては

  • 毎月の給与が保障されている

  • 毎年昇給がある

  • 福利厚生がそこそこ充実している

  • 解雇されない(犯罪などを起こさない限りは)

このあたりが挙げられます(今後、上記4つをまとめて「給与等」とします)。もちろんこれらは事実ですが、それでもなお公務員は安定した職業ではありません。

なぜなら、給与等は組織からあなたに提供されるものであり、あくまでもコインの片面にすぎないからです。安定性を測るうえで重要なのは、コインの両面でバランスがとれているかどうか。

ではコインのもう片方の面とは何なのか。それはあなたが組織に提供している労働力です。あなたが組織から受け取っている給与等は、あくまでも提供した労働力の対価。

この労働力が「給与等に対して割に合っているかどうか」を判断することが必須なのです。

例えば、「おにぎり」の安定供給について考えてみましょう。どういった状態であれば、あなたは「おにぎりが安定供給されている」と感じますか?

いつコンビニに行っても、陳列棚におにぎりが並んでいる…そんな景色を想像した人が多いのではないでしょうか。たしかに一見「安定して供給されている」ように感じますね。

しかし、これは「ある先入観」に基づいた決めつけでしかありません。

それは「おにぎりの値段が変わらない」ということです。一つのおにぎりが100円や150円のままであれば、間違いなく安定供給でしょう。しかし、おにぎりの値段が上がっていたら?

「一つ100万円のおにぎり」なんて陳列棚にあろうがなかろうが同じですよね。どうせ買わないんですから。

「おにぎりが陳列棚に並んでいる」というだけでは、おにぎりが安定供給されているとは言い切れないのです。

公務員の給与等もこれと同じ。給与等という「おにぎり」は、あなたにとって適正な対価で供給されていますか?組織の都合で勝手に値上がりしたりしませんか?

給与等を手に入れるために、今にも過労死しそうほどの労働力が対価として求められるのであれば「公務員は安定だ」とはとても言えません。業務が原因で心身を病んでしまう人にとっても同様です。

ありていに言えば「定年退職するまでホワイトな労働環境であり続けること」が保障されてはじめて、公務員という職業があなたにとって安定したものになるのです。

「公務員は安定」なはずなのに、なぜか人生が台無しに

地方公務員における働き方改革に係る状況

総務省が地方公務員を対象に行った調査によれば、令和4年度におけるメンタルヘルス不調による休務者の数は43,688人にも及びます。

R3年度に加えて5千人以上増えている点も恐ろしいですね。

あなたの周りにも、メンタルを病んでしまった職員がいるのではないでしょうか。もしかしたらあなた自身もそのような経験があったり、現在休職中だったりするかもしれません。

一度壊されてしまったメンタルは、そう簡単には元に戻らないのがやっかいなポイントです。公務員という仕事を選んだせいで何十年間、場合によっては老後の生活にまで悪影響が及ぶ可能性があるのです。

私の公務員生活の中でも

  • 精神を病んで職場に来れなくなった

  • 激務で倒れ重い後遺症が残った

  • 仕事上の悩みが原因で自殺した

こんな先輩・後輩が身近に複数人います。彼らに向かって「公務員は安定だよね」などと、どの面下げて言えばいいのでしょうか。

彼らは例外なく、給料に対して割に合わないほどの労働力を搾取されてしまった人たちです。

あなたの公務員生活は、今後も安定していますか?

これは「あなたの労働環境は今後もホワイトですか?」「割に合わないほどの労働力を搾取されることはないと見込めますか?」という問いと同義です。

"公務員は安定した職業である"という思い込みのせいで、自身の将来についてあまり考えたことがない人も多いのではないでしょうか(在職中の私もそうでした)。

しかしこの問いは、今のあなたにとって非常に重要です。例えばあなたが30歳だとして、20年後に超ブラックな労働環境に追い込まれてしまったら…そのとき50歳のあなたが取れる選択肢はそう多くはありません。

"心身を壊すまで組織にしがみつき続ける"そんな選択しかとることができない可能性が高いでしょう。

だからこそ、あなたの人生で一番若い"今"のうちに考え、対策を打っておくことが重要なのです。

この記事では「公務員の労働環境は今後どうなるのか」という将来予測についても解説していきます。「自分はこれからも公務員として健康に働き続けられるだろうか?」そんなことを頭の片隅に置きつつお読みいただければ幸いです。

今現在「割に合っていない」「メンタルが限界…」という方はもちろん、「今のところホワイトな労働環境だから問題ないよ」という方も安心するのは時期尚早です。

今後、公務員の労働環境は悪化していく

今後、公務員のあなたをとりまく労働環境は悪化していきます。

正確には、労働環境の悪化はすでに始まっており、それが今後どんどん加速していきます。

その結果、あなたの身には

  • 過剰な業務量を押し付けられる

  • 無能な職員の尻ぬぐいばかりさせられる

  • 激務なポストにばかり配属される

こんなことが頻繁に起こるでしょう。

「今後、公務員の労働環境が超絶ブラックになるだろう」という予想は、私が公務員を退職した大きな理由の一つです。

そしてこの記事を書いている2024年現在、私の予想に対して「答え合わせ」とも言える事例がたくさん発生しています。

そのうちの一例をここで紹介すると、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が令和4年度に実施した調査で

地方公務員健康状況等の現況の概要

精神疾患により長期病休している地方公務員の人数(グラフ赤線)が10年前の約1.8倍・15年前の約2.1倍に激増しています。公務員の労働環境が悪化していることを示す根拠になるのではないでしょうか(ほかの事例については後述します)。

あなたが公務員として働き続けるにせよ退職を検討するにせよ、今後の公務員をとりまく状況の変化を知っておくことは必須です。それが"悪化"であればなおさら。

このままだらだらと働き続け、気づいたときには労働環境が悪化して精神的に追い詰められ、かといって辞めることもできず、心身の健康を損なってしまう。そんな悪夢があなたの身にも起こりかねないのです。

おそらく私も、あのまま公務員として働き続けていたら…健康ではいられなかったでしょう。今こんなにもストレスフリーな生活をしていられるのは、在職中に行動を始めたから。

あなたも、手遅れになる前にこの問題と向き合ってみてはいかがでしょうか。

あなたは、公務員という泥船に乗り続けますか?

次章以降では

  • あなたをとりまく労働環境がどんどん悪化してしまうのはなぜか?

  • あなた個人はどんな状況に追い込まれるのか?

  • 悪化していく労働環境の中、あなた自身を守るにはどうすればいいか?

これらについて、複数の公的資料や報道資料を引用しつつ解説していきます。「自分はこのまま公務員を続けていいんだろうか?でもほかに手段はないし…」というモヤモヤを解消したい方はお読みください。

「泥船」という例えのとおり、行動を起こすのも実際に逃げ出すのも早い者勝ちです。早期に行動を始めることで、半年後・一年後には思考停止で働き続けている周りの職員とは大きな差がついているでしょう。

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