山口尚

なぜ人生には意味がないのか――野矢茂樹「解説」(中島義道『人生に生きる価値はない』、新潮文庫、2009年所収)より

野矢茂樹は《人生には意味はない》と考える。とはいえーー重要な点であるがーー彼はこれを悩ましい命題だとは考えない。すなわち「人生には意味はない」というのは野矢にお…

哲学の問題が理解できない、とはどういう事態か?

私の心の存在は私にとって「直接的に」知られるが、他者の心はそうではない。加えて、私が見るものはすべて〈私にとって見えるもの〉であり、私が聞くものもすべて〈私にと…

私がひそかに「檜垣型」文章と呼んでいるもの

檜垣立哉が最も良い文章を書くときは彼が競馬について語っているときだ、と考えたりする。私は競馬のことをほとんど知らない(人間の乗った馬が競争し観客がそれでもって賭…

読書会で用いられる便利なフレーズ

読書会――おそらく私たちが何かを勉強するさいの最も効率のよいやり方のひとつである。そこでは、読んでいる本の内容だけでなく、他のひとが本へどのような仕方で反応する…

哲学者の幾人かが自由意志や責任や主体の存在を否定し切らない理由のひとつについて――小坂井敏晶の『責任という虚構』(ちくま…

小坂井敏晶の『責任という虚構』(ちくま学芸文庫、2020年)は、規範の存在を前提した探求姿勢である「規範論」と規範の存在を前提せず純粋の社会現象を記述する態度とを分…

妹尾武治『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。――心理学的決定論』(光文社新書、2021年)の中で提示される珍しい…

妹尾武治の『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。――心理学的決定論』(光文社新書、2021年)を読んだ。妹尾は心理学者であり、本の主張は「この世は全て事前…