自作脚本『普通の人が良かったなあ(仮題)』の冒頭ネタ


こんばんは、夢100の今回のイベントガチャで10連を引いたら激渋な結果になりました。この間の記事で世界観と登場人物設定を長々と書いた『普通の人が良かったなあ(仮題)』の冒頭くらいはちゃんと作るかと思いました。作りました。それではどうぞ↓



東京のとある場所。夜。人がまばらに歩いている。

塾帰りの男子高校生、富士野が歩いている。

??「すみません」

後ろから男性が声をかける。富士野は振り返る。

??「落としましたよ。」

富士野のスクール鞄についていたキーホルダーが落ちたらしく、男性が拾ってくれていた。

富士野「あっありがとうございます。」

男性の手ずからキーホルダーを渡される。そのまま男性は会釈して去る。富士野はキーホルダーを鞄の中に入れようと立ち止まる。

瞬間、車が歩道に突っ込む。

富士野は車にはねられ飛ばされる。さらに不幸にもガードレールごと足を押し潰され、地面に叩きつけられる。周りに血が広がる。車から人が出てきてパニック状態になりながらも富士野に近寄り声をかけ続ける。

黄色の生地に白でハロー!とカタカナで書かれたロングTシャツを着た人がすぐに救急車を呼んだ。

病室。個室。富士野の両親が、富士野が眠っているベッドの周りに座っている。

富士野が目を覚ます。

富士野母「……!起きた?大丈夫?今人呼ぶからね。」

富士野「……。」

富士野が起き上がる。

富士野母「動いちゃ駄目!」

富士野父「何で起き上がれるんだ?」

富士野「え?どういうこと?」

富士野、周囲や自分の状況を見る。

富士野「何、どうしたの?病院じゃん。えっ俺どこも悪くない……。」

事故がフラッシュバックする。

富士野「……何で元気なの?」

病室がノックされ、一人の女性が入ってくる。

井野「失礼します。ああ、こんにちは。目が覚めたようで何よりです。私は井野。ここの院長を務めております。富士野さん、何があったか、覚えていますか?」

富士野「事故に、急に車が突っ込んできて、多分、はねられたんですよね?」

井野「はい。あまり思い出したくないことを思い出させてしまい、申し訳ありません。」

富士野「いや、その、それより、あの時俺、すごいやばい状態ってか、重症?みたいになったと思ったんですけど」

井野「そうですね。あまり患者様にこう言うのは何ですが、まあ、患者ではないようなので。富士野さんは救急車が着たときには、すでに手遅れになっているはずでした。ですが貴方は外傷もなく、骨も内蔵も全て平常です。というよりも、怪我が全て治った、と言った方が良いでしょう。」

富士野「怪我が全て治った?」

井野「はい。そういう体質のようですね。」

富士野「どういう体質ですか。」

井野「傷がすぐに癒える体質、でしょう。」

富士野「いやいやいや、俺、怪我も骨折もしたことありますけど、そんなことないですよ。ありえないでしょ?」

井野「では最近持ったんでしょうね、加護を。」

富士野「かご?」

井野「人智を越えた能力、その中でも人に喜ばれるものは加護と呼ばれています。富士野さんは傷を負ってもすぐに回復する、言わば《超回復》の加護をお持ちです。」

富士野「はあ……。」

富士野母「あの、それは治るんでしょうか?その、体質は。」

井野「加護ですか?私共も研究を続けておりますが、今のところ加護を失くすことは出来ません。とはいえ、息子さんの加護は人に迷惑をかけるわけでも悪用するものでもないので、怪我さえ気を付ければ以前と変わりなく生活できますよ。」

富士野父「そういう問題じゃないでしょう?息子がおかしな体質になったんですよ?どういうことですか?」

井野「……一般に知られていないだけで、加護というものは存在します。偶然息子さんがその力を持った。むしろ持っていなかったら、あの事故で亡くなっていました。」

富士野「あの、俺のその加護って回復なんですよね?」

井野「はい。ただし痛みはちゃんとありますから、富士野さんは今回、事故の痛みで気絶しており、先程まで眠っていました。」

富士野「あー、じゃあ別に普通に生活すること出来ますよね?」

富士野父「何言ってるんだお前?」

井野「そうですね。加護の種類としては比較的目立たないので。」

富士野「はあ。じゃあ、まあ、うーん、分かりました。とりあえず、助かって良かったです。」

井野「そうですね。」

富士野母「どうしちゃったの?おかしなことに巻き込まれたのよ?ねえ何で笑ってられるの?」

富士野「いや、加護とかよく分かんないけど、そのおかげで生きてるから。」

井野「ご理解が早くて助かります。では、富士野さんには一度、近いうちにこちらにお越しいただきます。」

井野、封筒を差し出す。

井野「ここは加護といった、人智を越えた能力を研究したり、加護を持っている方を保護したりしています。富士野さんはここでご自身がカゴモチであることを登録していただきます。こちらとしても、どのような加護があるか、誰が持っているかを知っておきたいので、ご協力をお願いいたします。」

富士野「他にもいるんですか?」

井野「はい。」

富士野「先生は?」

井野「私は持っていません。普通の医者です。」

富士野「あー。」

井野「富士野さんは未成年なので、ご両親とよく話し合って、決めてください。あと、本日中に退院できますので、帰りの支度をお願いします。それでは失礼します。」

井野が去る。

病室に沈黙が流れる。富士野が封筒の中身を確認する。

富士野「今度行ってくるよ。」

富士野母「でも……。」

富士野父「うさんくさい。」

富士野「俺生きてるもん。加護のおかげで。でも、よく分からないから、分かるためにも行ってくる。」

場面転換。




冒頭はこれでおしまいです。ちなみに井野の人物紹介↓

井野……第2部隊隊長。一般人。かなり腕の良い医者で、大病院の院長を務める。丁寧な物腰だが、口が悪い。どういう口の悪さかと言うと、さらっと一言余計なことを言ったりさらっと他人の地雷を踏んだり、とにかく質が悪い。組織内でかなり恐れられている。どんなノロワレもカゴモチも怪我や病気をすれば、井野はただの患者として平等に扱う器量を持つ。そのため組織内で井野に感謝する者も多い。

まあなんか気が向いたときに思い付いた場面を書こうかなと思っています。


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