学ぶのは、知識を得るためでもなく職を得るためでもなく、己を磨くため。 https://…

学ぶのは、知識を得るためでもなく職を得るためでもなく、己を磨くため。 https://francais-method.com/

記事一覧

哲学と宗教の類似点、あるいは相違点

ゴールデンウィーク真っ只中ということで(もちろんこの時期レジャー業で働く人間に休暇はないのだけれど)、ちょっとした隙間時間を利用して本屋さんに立ち寄った。 最近…

あ
2年前

四月の総括

四月は本当によく働いた。自分で言うのもなんだけど、結構真面目に労働したと思う。 完全に休みという日は1日もなかったし、肉体的な面で随分酷使した。 そのおかげで(…

あ
2年前

自分の知識についての知識

わたしは、勉強することによって「知識」が欲しいのではない。 おそらく、現代において必要な「知識」は調べたら出てくるし、加えて、知識はつければつけるほど、どれだけ…

あ
2年前

近年の日本論と想像力

巷のニュースで、これからの日本はどうなるのか(どうしていくべきか)、というテーマを見かける機会が増えてきた。 もちろん、これはコロナウイルスの蔓延による影響は大…

あ
2年前

歴史修正主義と想像力

わたしがまだ大学生の頃、ヨーロッパ史の授業の最後にレポートを書いた。 テーマは、戦前のドイツ史に関することならなんでもよかったのだが、わたしははナチスドイツにお…

あ
2年前

戦争責任と日本人

ウクライナ政府アカウントによるTweetで、ナチスとムッソリーニに並んで、日本の昭和天皇がファシズムを扇動した人物として取り上げられていた。 のちに日本政府の抗議を…

あ
2年前
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ナショナリスト思考の仮説

前回の記事で、わたしはナショナリストに対する違和感を書いた。 それをざっくり簡単に言うと、彼らはアジアにおける日本の絶対的優位性を保持したいという気持ちがあるに…

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2年前

ナショナリストへの違和感

前回、「右翼的な思想を持つ人の背景」について、これから少しずつ考えていきたいと書いた。 なぜというとシンプルで、一般的に言う「右翼的な思想」をわたしが全くと言っ…

あ
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日本の天皇制について

わたしは最近、日本人の右翼的な思想を持つ人の背景に興味があるのだが、その中でもとりわけ天皇制については、自分自身が無知なので勉強したいことが多い。 実は今年の頭…

あ
2年前

これから考えていきたいこと

自分が理解できない価値観を持っている人の思想に、ものすごく興味がある。 そういった好奇心から、できるだけ一歩一歩の手順を踏みながら、可能な範囲で理解できない考え…

あ
2年前
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好きなことを見つけるということ

昔のYouTube広告にあった「好きなことで、生きていく」とか、「好きを仕事に」みたいな流れがここ最近ずっとあるが、一方でこの幻想によって「好きなことが分かりません」…

あ
2年前
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批判することと問題点を見つけること

あんまりこういうことについて書くのはどうかと思うけれど、有名牛丼チェーン店の吉野家で、不適切な発言があり炎上しているらしい。 「生娘シャブ漬け戦略」とかいうとん…

あ
2年前

オッサンを置いていく文学作品

純文学において、若い女性が主人公となる作品は多い。 これらは女性作家がデビューして最初の数作のうちにほぼ必ず書いている作品だと思うし、そこにはある程度の共通した…

あ
2年前
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待望の短歌特集

雑誌は月に一冊ぐらいのペースで買っているのだけれど、今月は二冊購入してしまった。 基本的に購入するのは五大文芸誌(『群像』『すばる』『文學界』『文藝』『新潮』)…

あ
2年前

混ぜるな危険

お掃除用ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)のパッケージってどれも似ているから、詰め替え用のものを補充するときはメーカーが同じかどうか、しっかりと注意をして見ないと…

あ
2年前

TRIPではなくJOURNEYを

いつからだろう。旅行といえば、新しい未知のものに遭遇し、偶発的な出会いや刺激的な体験を得られるというイメージをわたしは持っていた。 いつからかそれは、インターネ…

あ
2年前

哲学と宗教の類似点、あるいは相違点

ゴールデンウィーク真っ只中ということで(もちろんこの時期レジャー業で働く人間に休暇はないのだけれど)、ちょっとした隙間時間を利用して本屋さんに立ち寄った。 最近は電子書籍ばかり読んでいたので、偶発的な出会いを求めて久しぶりに大型書店に足を運んでみたのだが、少し驚いたことがある。 それは、ここ数年のうちに、いや、厳密には遥か前の「ここ数十年のうちに」なのだろうが、明らかに「哲学」コーナーと「宗教」コーナーの境界線が曖昧になってきている。 なんなら、そのコーナーにいわゆる「

四月の総括

四月は本当によく働いた。自分で言うのもなんだけど、結構真面目に労働したと思う。 完全に休みという日は1日もなかったし、肉体的な面で随分酷使した。 そのおかげで(寝る時間は遅くなる日もあったが)、起床時間はだいたい6時ごろで固定され、規則正しい生活を送れたと思う。 やはり、規則正しい生活は精神衛生上とっても良いことだ。 その肉体疲労の反動として、知的活動も隙間時間を無駄にすることなく十分楽しめたと思う。 これは去年からライフスタイルをミニマムにして、衣服を選ぶ時間をほ

自分の知識についての知識

わたしは、勉強することによって「知識」が欲しいのではない。 おそらく、現代において必要な「知識」は調べたら出てくるし、加えて、知識はつければつけるほど、どれだけ自分は知っているのかという点にフォーカスが当たるようになるからだ。 わたしは、「自分の知識」に関する知識が欲しい。 自分は何を知らなくて、何を知っていて、どんな知識を持つことにエネルギーが湧くのかを知りたい。 だからこそ、結果的には多くの知識が必要にはなるのだが、それは全部「自分が何を知らないか」を知るための構

近年の日本論と想像力

巷のニュースで、これからの日本はどうなるのか(どうしていくべきか)、というテーマを見かける機会が増えてきた。 もちろん、これはコロナウイルスの蔓延による影響は大きいと思う。 なぜならコロナ政策の舵取りは基本は政府であるし、その単位は国家になるから、日本という単位を意識する機会は必然的に増えたように思うからだ。 (ちなみに、わたしは国家とか国民国家という概念はうまく馴染めず理解できなし、自分が将来どこに住んでもどこで仕事しても何語を話しても別にいいし、幼少期から地元愛も母

歴史修正主義と想像力

わたしがまだ大学生の頃、ヨーロッパ史の授業の最後にレポートを書いた。 テーマは、戦前のドイツ史に関することならなんでもよかったのだが、わたしははナチスドイツにおける歴史修正主義に関する内容を選んだ。 ドイツでもネオナチが勃興し、日本でもインターネットの発達に伴い、いわゆる「ネトウヨ」という言葉が流行ってしばらく経っていたので、これについてなんとなく興味を持ったのだと思う。 わたしは、ホロコーストにせよ南京事件にせよ、特に「虐殺」に関しては、絶対的に正確な人数をわたしたち

戦争責任と日本人

ウクライナ政府アカウントによるTweetで、ナチスとムッソリーニに並んで、日本の昭和天皇がファシズムを扇動した人物として取り上げられていた。 のちに日本政府の抗議を受けて、これは削除されたらしい。 実はわたしが、この並びにおいて昭和天皇のことを見かけるのは初めてではない。 わたしがフランスにいた頃、ヨーロッパ各地の戦争に関する記念館でファシズムの扇動者として三人が並列された表記は、何度か目にしたことがあった。しかも、HIROHITOという聞きなれない形で。 (ここでは

ナショナリスト思考の仮説

前回の記事で、わたしはナショナリストに対する違和感を書いた。 それをざっくり簡単に言うと、彼らはアジアにおける日本の絶対的優位性を保持したいという気持ちがあるにもかかわらず、敗戦国であるアメリカに対しては非常に従属意識が大きい、という点に矛盾を感じるというものだった。 この矛盾に対する、わたしの仮説が固まってきたのでまとめておこうと思う。 . 豊臣秀吉が織田信長に使えていたころ、冬の日も信長の草履を懐に抱いて温め、気持ちよく使えるように気を利かしていたという話は有名で

ナショナリストへの違和感

前回、「右翼的な思想を持つ人の背景」について、これから少しずつ考えていきたいと書いた。 なぜというとシンプルで、一般的に言う「右翼的な思想」をわたしが全くと言っていいほど理解できていないからだ。 だからこそ、相手を批判したいとかそういう気持ちは一切なく、どうしてそのように考えるのかという背景に大変興味がある。 まずは、なぜ理解できないのかというわたしの違和感を挙げておきたい。 . それは大体の国において、ナショナリストは第二次世界大戦で敗戦した相手国に対して敗北感を

日本の天皇制について

わたしは最近、日本人の右翼的な思想を持つ人の背景に興味があるのだが、その中でもとりわけ天皇制については、自分自身が無知なので勉強したいことが多い。 実は今年の頭から少しずつ勉強し始めているのだが、その中で確実にわかったことがいくつかある。 それはわたしたちの現代の政治や思想など、多岐にわたって天皇制の影響を想像以上に大きく受けていること。そして、にもかかわらず日本国民は天皇制の仕組みを知らなさすぎること。最後に、天皇制については自分の意見を言うだけで時に怪しげな雰囲気を漂

これから考えていきたいこと

自分が理解できない価値観を持っている人の思想に、ものすごく興味がある。 そういった好奇心から、できるだけ一歩一歩の手順を踏みながら、可能な範囲で理解できない考えに歩み寄ってきたつもりではある。 例えば、キリスト教的な価値観や神を基にした近代の西洋思想、フェミニストの意見と日本独自の反フェミニズム思想の人たち、あとは最近でいうと、反ワクチンの思想とかウクライナ侵攻のロシア側の主張とか。 うまく理解できるものもあれば、結局全然わからなかったことも多い。 . ここ最近興味

好きなことを見つけるということ

昔のYouTube広告にあった「好きなことで、生きていく」とか、「好きを仕事に」みたいな流れがここ最近ずっとあるが、一方でこの幻想によって「好きなことが分かりません」という若者の大量発生を同時に引き起こしてしまっていると思う。 自分の好きなことはなんなんだろうと思案し続けた挙句、それっぽいものが見つかったとしても、自分よりもっと詳しかったりその楽しみを知っていたりする「本当に好きなこと」を見つけた人をSNSで見て、やっぱり自分はこれじゃないと思い直す。 そうやって自分の本

批判することと問題点を見つけること

あんまりこういうことについて書くのはどうかと思うけれど、有名牛丼チェーン店の吉野家で、不適切な発言があり炎上しているらしい。 「生娘シャブ漬け戦略」とかいうとんでもない失言だが、これの内実が問題なのは間違いないと思う。 近年のジェンダー観において不適切、とかそういう話ではなく、シンプルにいろいろやばすぎてどこから指摘したらいいのかわからないが、ひとまずこれはあってはならない発言だと思う。 . ところがこの内容を初めて目にした時、この発言をした人の言語感覚が、他の人より

オッサンを置いていく文学作品

純文学において、若い女性が主人公となる作品は多い。 これらは女性作家がデビューして最初の数作のうちにほぼ必ず書いている作品だと思うし、そこにはある程度の共通したテーマが流れているとわたしは思う。 要するに、女子同士の友人関係のもつれや月経などの身体的な重さ、母と子のしがらみや家族関係の問題を含む社会的役割の苦しさ。 最近現れた実力者でいうと宇佐見りんさんとか、有名どころは村田沙耶香さん、話題全盛期の綿矢りささんとか大御所の小川洋子さんとか。 このあたりの作品が、自分に

待望の短歌特集

雑誌は月に一冊ぐらいのペースで買っているのだけれど、今月は二冊購入してしまった。 基本的に購入するのは五大文芸誌(『群像』『すばる』『文學界』『文藝』『新潮』)と呼ばれるもので、たまにどうしても芥川賞が二作ダブル受賞してどちらも未読、かつ選評をじっくり読みたい場合のみ『文藝春秋』も買うことがある。 つまり文芸ジャンルにおいて、自分の関心はほとんど小説や評論の場合が多い。なので、俳句雑誌を買うのは少し精神的なハードルが高い。 そんなところ、今月の文學界から短歌特集が出たと

混ぜるな危険

お掃除用ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)のパッケージってどれも似ているから、詰め替え用のものを補充するときはメーカーが同じかどうか、しっかりと注意をして見ないといけない。 大体においてボディは黄緑が基調となっていて、赤かピンクのキャップがついている。 時々間違って混ぜてしまうととたんに発泡し始めて、有害な気体が発生するから困る。ついこの間も間違えてしまった。 . 映画や小説やアート作品も、ときどきこの「混ぜるな危険」に遭遇するときがある。 一つ一つを味わうだけでは何

TRIPではなくJOURNEYを

いつからだろう。旅行といえば、新しい未知のものに遭遇し、偶発的な出会いや刺激的な体験を得られるというイメージをわたしは持っていた。 いつからかそれは、インターネット上で検索してだれかがシェアしたものを、同じ方法で見に行くことが主流となり、誇張かもしれないがこれは「未知との遭遇」というより、「現場確認」という感になっていることを否めない。 得られるものは、困難な状況でもなんとかなるという自信というより、本当に行ったという証拠写真なのではないのか。 どちらが良くてどちらが悪