漫画のこと

漫画が好きです。大学のときには少女漫画について勉強していました。

漫画では尖った先がついた吹き出しとか、丸がいくつも連なった吹き出しにセリフが書いてあったりするけれど、前者は実際に口に出したことで、後者は心の声を表現しています。
で、少女漫画は心の声が多く、「モノローグ」を発明したと言われています。

モノローグは独白のことで、舞台で周りに他の登場人物がいるのに、観客に向けて語られる言葉のようなもの。
吹き出しとは別に四角で囲われていたり、ただ丸で囲われていたりします。
かつて少年漫画、例えば「タッチ」とかは心の声もほぼなくて、表情や景色で登場人物の気持ちを表現していました。
それに対して、少女漫画では萩尾望都の「トーマの心臓」は冒頭から扉絵まで最初、誰が思ったことなのかも、いつ思ったことなのかも(そもそも思ったことでもないかも、神様みたいなものの言葉なのかも)わからない、モノローグから始まっています。

最近、『鬼滅の刃』を読んだのですが、主人公・炭治郎の心の声、思考が多いのはもちろん、回想になると登場人物の心の声ばかりになるし、モノローグっぽいものも入っているなあと(鬼についての説明とか、事件についての説明とか、どの登場人物の言葉でもないナレーションっぽい第三者の言葉がある)。

また、先日羽海野チカの『3月のライオン』の15巻を読んだのだけど、心の声とモノローグの嵐で驚いた。たぶん、一冊を通じて実際の声に出しているセリフの方が少ないのでは?
同じページに心の声①と心の声②とモノローグと3種類くらいあることもあって情報が多い!
フォントもちがう、縦書きか横書きかもちがう……。すごい。

で、思い出したのがKAITOの『青のフラッグ』。ジャンプ+の連載なので少年漫画だけど心の声はもちろんものすごくモノローグも多い。
1話からモノローグで始まりモノローグで終わっている。
(もう無料公開期間は過ぎちゃったけれど、48話がすごくよかったです……。モノローグから始まり、その後は心の声は一切なしで、桃真の視点が定点になって動かない、けれどその後怒濤のようにモノローグ)。
フォントも変わったり、縦書き横書きを交互に使ったり、「3月のライオン」と共通したものを感じるのです。
ちなみに鬼滅もモノローグっぽいところとかではフォントがちがう。

逆に最近出た萩尾望都の「ポーの一族」の続編は心の声はあるけれどモノローグない……。

もう少年、少女漫画というくくり自体がナンセンスで、もはや心の声やモノローグが表現の手法のひとつに落とし込まれたということなんだろうなあ。
そのときに一番いい演出の方法を作者が選んでいる、という気がする。
なんというか、漫画ってキャスティングからロケーション、脚本に演出に監督まで、全部ひとりのひとが統一してできる表現方法な気がしているのです。
(もちろん複数人で組んでやっていらっしゃる方々もいるし、連載漫画なら出版社や担当さんの意向が入っているだろうとは思うわけですが)
その表現のためのひとつの方法がモノローグの使い方というか。

もし今研究するならいつ頃から少年漫画でもモノローグが使われているのかとか(鬼滅以前にもあるのかな)、フォントの使われ方とかやったら楽しそうだなあ……と思いました。

専門家ではないのでおかしなことを言ってたらすみません。

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