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実は難しくない!企業型DC(企業型確定拠出年金)の内容について解説

会社員だけが得られる独自の福利厚生制度として、企業型DCがどういった特長を持っているのかをまとめました。
福利厚生の施策で悩まれている企業経営者の方や、企業型DCという名前は聞いたことがある、自分も会社がやってるこの制度に加入しているけどどういう制度かイマイチよくわかっていない…という方におすすめの記事です。

1.会社のお金で従業員が資産形成できる

この制度の内容を一言で言えば、
「会社が出してくれたお金で、従業員が自分の好きな金融商品を選び、自分で資産形成できる制度」です。

▶企業が掛金を毎月従業員の年金口座に積み立て(拠出)してくれる

少し堅い言葉で言い換えると、企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し従業員(加入者)が自分で金融商品を選択して年金資産の運用を行う制度です。

企業型DCは
①従業員が自動的に加入する場合
②企業型DCに加入できるかどうかを選択できる場合(選択型企業DC)
の2パターンがあります。
大体は①のケースですが、勤め先が②のパターンで加入しない選択をすれば、掛金分を給料に上乗せして受け取れます。しかし、その上乗せ受け取り分からも税金や社会保険料が差し引かれますので、長期的な資産形成を見据えた場合は加入する方が有利に働くでしょう。

▶従業員自らが年金資産の運用を行う

従業員は掛金をもとに、金融商品の選択や資産配分の決定など、さまざまな運用を行います。

例えば毎月の掛金1万円を
・ローリスク・ローリターンの金融商品に掛金の40%
・ミドルリスク・ミドルリターンのものに40%
・ハイリスク・ハイリターンのものに20%
を配分するようにしよう!

といった具合です。
またすでに配分済みの掛金を別のものに変更することもできます。(一応調べる)
そして定年退職を迎える60歳以降に、積み立ててきた年金資産を
・一時金(退職金)形式
もしくは
・年金形式
で受け取ります。
ただし、積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。
また、運用商品もなんでも良いわけではなく、決めらたものから選択する必要があります。
掛金の額は会社での役職等に応じて決めるのが一般的です。ただし、制度上掛金の上限額は以下のとおり定められており、この上限額を超える掛金は拠出できません。

他の企業年金がある場合:月額27,500円
他の企業年金がない場合:月額55,000円

※他の企業年金とは、厚生年金基金、確定給付企業年金などです。

▶運用成績によって将来受け取れる退職金・年金が変動する

この制度で重要なのは、「掛金は企業が負担してくれるが、運用の結果はあくまで従業員の自己責任である」ということです。
運用成績によって将来受け取れる退職金・年金の額が変動します。
将来の老後資金を増やせるかどうかは、従業員の方の“運用手腕”にかかっているとも言えるわけです。
確実な運用を求めるなら、元本が減らない「元本確保型」
多少のリスクをとっても老後資金を大きくしたいなら「価格変動型」
を選ぶなど、個々人の価値観やリスク許容度に合わせた選択が可能な点が魅力と言えるでしょう。

2.企業の掛金に、従業員が掛金を上乗せする「マッチング拠出」

▶マッチング拠出の制度で、企業の掛金に、従業員が掛金を上乗せすることができる

「企業が拠出する掛金だけじゃ物足りない……。もっと掛金を増やして企業型DCで運用がしたい」という従業員の方もいるかもしれません。
そんな方は「マッチング拠出」という制度を利用するとよいでしょう。
マッチング拠出というのは、企業型DCにおいて、企業が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せするというものです。

ただ、マッチング拠出の掛金については上限があり、

(1)従業員が拠出する掛金の金額が企業が拠出する掛金の金額を超えないこと
(2)企業が拠出する掛金と従業員が拠出する掛金の合計額が掛金の拠出限度額を超えないこと

という2つの要件を満たす金額となっています。
※ただし先述の通り、原則60歳まで引き出すことはできないので、生活資金を確保した上での余裕資金の範囲内で拠出することを強くオススメします。

▶マッチング拠出を採用していない企業もあるので、担当部署に確認してみよう

ただし、企業型DCは導入しているものの、マッチング拠出の制度を採用していない企業もあります。
自分の企業ではマッチング拠出を利用できるのかどうか、一度企業の担当部署(総務・人事など)に確認してみましょう。

3.税制優遇措置3つのポイント

▶運用したときの運用益が非課税に

▶受け取るとき、退職所得控除、公的年金等控除の対象に

▶マッチング拠出による掛金に対しては、全額所得控除に

企業型DCには3つの税制優遇措置があります。

1つ目は、企業型DCの運用で得た利益は全額非課税となることです。
一般的な金融商品で運用するとその運用益に対しては約20%の税金がかかります。
しかし企業型DCの運用益については全額非課税となります。

2つ目は、積み立ててきた年金資産は60歳以降の受取時、一時金形式・年金形式どちらの形式でも税制優遇が受けられます。
一時金(まとめて受け取り)であれば「退職所得控除」、年金であれば「公的年金等控除」が受けられ、それぞれ税金を軽減することができます。

※ここが1つ目と2つ目のややこしいところですが、積み立てたお金を運用して得た利益に対しての課税は免除され、積立額+運用益の受取時に上記の控除が適用されたうえで課税されるということです。

3つ目は、マッチング拠出を利用した場合、従業員が拠出する分の掛金については、全額所得控除の対象となり、毎年の所得税・住民税が軽減されます。

このような税制上のメリットを受けられる企業型DC、活用しない手はないと思います。
加入されている方はこの機会に自身の加入状況がどうなっているのか、チェックしてみてはいかがでしょう?

・企業型DCについてもっと知りたい

・従業員の方向けに資産運用のセミナーをしたい

・社員教育として資産形成や投資に関するセミナーを実施してみたい

などといったご要望のある企業様向けにセミナーや制度導入に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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