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基礎編:アメリカの大麻業界を理解する上で欠かせない5つのキーワード

新年あけましておめでとうございます!

この度、アメリカ・カリフォルニア州の大麻事情を解説するノートを開設しました。
「大麻」と聞くと日本では麻薬、ドラッグ、危険、犯罪などのイメージを持っている方は非常に多いと思います。日本でこの悪名高いものがなぜアメリカや世界中で医療目的のみならず、嗜好品としても合法化されているのかを詳しく解説します。私自身、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコで大麻業界に携わっておりますので、最新の情報をお届けできればと思います。

まずはじめに、大麻というのは皆さんご存知の通り、自然に生えている植物です。覚醒剤、コカイン、ヘロインなどの合成・精製されたものではありません。日本では大麻取締法によって規制薬物に指定され、大麻の所持、栽培、譲渡等が禁止されています。しかし世界を見ると、(2019 年 1 月現在)アメリカの33州では医療目的、10州と首都ワシントンDCでは嗜好目的で合法化されています。ヨーロッパ各国も医療目的で合法化がされており、嗜好目的も非犯罪化されています。ウルグアイとカナダは国として嗜好目的を含め完全合法化しています。

大麻の呼び方は 外国では マリファナ、weed、ガンジャ、pot、bud、など様々ありますが、本ノートではアメリカの研究者・栽培者・支援団体・薬局・法案などで一般的に使用されているカンナビス(Cannabis)に統一します。(正式名称は「Cannabis Sativa Linnaeus」 になりますが、以下に述べるSativaとIndicaの区別がややこしくなってしまうのでカンナビスに統一します)カンナビス関連の呼び方の意味などはまたいつか別の機会でまとめます。

今回はカンナビス業界を理解する上で欠かせない5つのキーワードをご紹介します。これらのキーワードは非常によく使われており、今後このノートでも頻繁に出てくるのでチェックしてください。


今回紹介する5つのキーワードこちらです。

-THC
-CBD
-Sativa

-Indica
-Hemp

2つの代表的なカンナビノイド ー THC & CBD

カンナビスには少なくとも100種類以上のカンナビノイド(カンナビスに含まれる化学物質)と、 500種類以上の化学成分が発見されていますが、もっとも有名なカンナビノイドがキーワードにあげたTHCとCBDです。カンナビスが合法化されている州や地域では、これら 2つのカンナビノイドの含有量をそれぞれ明記することが義務付けられています。

【参照:NCBI(アメリカ国立生物工学情報センター)、BCC(カリフォルニア州カンナビス管理局)§40405. Primary Panel Labeling Requirements: All Products. (a) (4)条】

THC ー 正式名称:Tetrahydrocannabinol (テトラヒドロカンナビノール)
THCは発見された100種類以上のカンナビノイドの中で唯一陶酔作用があるものです。一般的に「ハイ」、「Stoned」と呼ばれる効果があるものです。THCはカンナビスを摂取する人にとっては知らない人がいないくらいとても有名です。お酒でいうアルコール度数と似たものだと考えても良いと思います。

CBD ー 正式名称:Cannabidiol (カンナビジオール)
CBD は大変多くの研究結果によってその有用性が確認されているカンナビノイドです。医療、スキンケア、健康食品など、様々な用途があります。 特に医療業界では CBD の比率が高いカンナビスが様々な疾患を患っている患者に大変効果があるとされており、医療大麻合法化が進む非常に大きな原動力になっています。

カンナビスの主な種類 ー Sativa & Indica

次のキーワード、SativaとIndicaはカンナビスの種類です。
人が摂取するカンナビスは主にこのSativaとIndicaの2種類に分けられており、非常によく使われる言葉です。(他にもRuderalisという種類もありますが、こちらは主に栽培者側がカンナビスの交配に使用したり、一部地域で医療目的で使われている程度なので一般の利用は非常に限定的です。)
Sativa、Indica、Ruderalisの見た目をそれぞれ分かりやすく示した図がHempを研究しているMinistry of Hempのサイトにあるのでご紹介します。

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次に、SativaとIndicaのそれぞれの効能や特徴の違いを非常にわかりやすく示した図がカンナビスを研究・栽培・販売する CRESCOlabs のサイトにあるのでご紹介します。英語で記載されているため下に日本語訳を載せました。

*カンナビスの効果は人それぞれ異なりますので、必ずしもこの図の通りになるとは限りませんが目安としてください。

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Sativa(サティバ)(左側の赤部分)
見た目
・全体的に高くスリムに育つ
・葉は細長い
効能
・頭から感じる「ハイ」
・警戒心促進
・高揚と幸福感を促す
・クリエイティブ思考促進
・エネルギー促進
おススメな使用時間帯
・日中に使うことが望ましい
Indica(インディカ) (右側の青部分)
見た目
・全体的に低くふさふさ育つ
・葉は広く短い
効能
・体から感じる「ハイ」
・リラックス効果促進
・食欲促進
・睡眠補助
・痛みの軽減
おススメな使用時間帯
・夜に使うことが望ましい

*ちなみにIndicaの効能はアメリカでは聞こえが似ている「In the couch」(カウチに座った状態)というふうに覚えられられております。摂取した後にまさに「カウチにずっと座ったままの状態になる」ということです。

人々が一般的に摂取するカンナビスはこの2種類のどちらかを含んでおり、多くの場合はこれらのHybrid(ハイブリッド、雑種)になります。カンナビスが合法化されている州や地域ではどの種類なのか(Sativa、Indica、Hybrid)を商品に明記することが推奨されています。
見た目はかなり違うので、ご参考までに私が南米バックパックの旅に出た時の写真をそれぞれ載せます。

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コロンビアのコーヒー農場で見つけたSativa系のカンナビス

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ウルグアイの滞在ホステルで発見したIndica系のカンナビス

Sativa の一種である Hemp

最後に、Sativaには「Hemp」と言う一種があります。日本語で言う「麻」に該当するものです。Hempは一般的にはこちらの図の位置づけになります。

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嗜好目的のカンナビスのTHC含有量は大体 5%~30% 程ですが、HempのTHC含有量は 0.3% 以下で、主に産業用に使われています。HempにもCBDは含まれており、茎や種を医療、繊維、衣類、食品、建材、車体、紙、スキンケア、コスメ、など様々な用途で使われておりその市場規模のポテンシャルは非常に大きいです。日本でも栃木県や北海道をはじめ、栽培者免許を持った人たちがHempを合法的に栽培しています。食用としては日本では七味唐辛子にも使用されております。アメリカではHemp seed(麻の種子)、Hemp oil(麻油)も一般のスーパーなどにも販売されており、健康商品としての地位を確立しつつあります。(Hempについてはまた改めてノートを書きたいと思います)

本日は以上の5つのキーワードをご紹介しました。

また次回のノートをお楽しみに!

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