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【認知症ケアnote】忘れたことを責めないで

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86歳、認知症ーーー。 突然の腰痛が引き金になり、半寝たきり、入院、転院、からの在宅療養。 足腰の筋力は低下、身の回りのことに見守りが必要となった、同居の義母。 介護を担う嫁の… もっと読む
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社会的弱者を抱える、すべての人に伝えたい

社会的弱者を抱える、すべての人に伝えたい

良心の呵責に苛まれることがある。
私は無力だ。
私は弱い。

ちっぽけで愚かな人間だ。
今の幸せが、平穏が、この手からすり抜けてしまうかもしれない…その事実に、心を大きく乱されている。

昨日、義母が入院している病院へ行ってきた。
新型コロナ対策のため、面会謝絶となって3週間あまり。
義母の容態は思わしくない。

というのも、もともとものすごく寂しがり屋な人なのだ。
毎日顔を見て、世間話をたんまり

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人のぬくもりを、愛す

人のぬくもりを、愛す

「おはよう」
「ただいま」
「ありがとう」

その言葉に、私達はどれだけ救われているのだろう。
普段、当たり前に感じている日常は、ある時失ってからその存在に気づくものだ。
日常とは、家族とは、何にも変えがたいものなのだと。

今日、私は市内にある総合病院を訪れた。
自宅から、電車では1時間。
車でも40分はかかる。

先月まで徒歩5分の総合病院に入院していた義母が、今月から転院になったのだ。

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終わりの日。いつか、訪れるその日。

終わりの日。いつか、訪れるその日。

始まりがあれば終わりがある。
出会いがあれば別れがある。
生あるものに等しく訪れる「死」。
生命の終焉について考える。

私は義母と同居している。
間もなく米寿を迎える義母は、足腰が弱く、外出は車椅子。
昨年は腰をひどく痛めて、入退院を繰り返した。
認知症持ちで、季節や時間の感覚が薄れつつある。
テレビと照明のリモコンは、ボタンが多くて、どこを押したらいいのかわからない。

幸い、よく食べて、よく

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老後の暮らしに見る、姉妹の運命

老後の暮らしに見る、姉妹の運命

我が家は5人家族だ。
主人と私と二人の子供。
そして、主人の母。

義母は御年87歳。
足腰が弱まり、認知症状もあるため一ヶ月に一週間程度はショートステイを利用する。
日中の見守りは欠かせず、外出は車椅子なので家族同伴が必須。
幸いにして食う・寝る・出す(排泄)については問題がないので、自宅で過ごす日々が続く。

とはいえ、認知症特有の「繰り返す会話」への行き詰まり。
日常動作をど忘れしてしまい、

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「大切だから苦しい」〜家族愛とダブルケア〜

「大切だから苦しい」〜家族愛とダブルケア〜

世の中、うまく行かないことだらけ。

(イラスト:くろさきあさこ さん)

育児と介護。
まったく違う、でもなんだか似ている、この2つ。
共通するのは、どちらも何かしらのケアが必要だということ。
保護監督する者が必要だということ。

この2つのケアを同時に担っている状態を「ダブルケア」と呼びます。

ダブルケア。
なかなか耳慣れない言葉ですが、おそらく今後は増えるでしょう。

晩婚による、出産の高

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心の安定を促す言葉

心の安定を促す言葉

家族で夕飯の食卓を囲み、そろそろ寝支度に入ろうかとしていたその時。

小3の長男が、私のもとにやってきた。
「おばあちゃん、目眩がするって」

それは、同居の義母からのSOSだった。
たまに出る、一時的な不調。
こう言ったら申し訳ないが、大概は安静にしていれば治まる。

非情に思えるかもしれないが、私は少しそっとしておくことにした。
義母は、ベッドに横になって頭を抑えてはいたが、他にどうということ

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大きく息を吸い込んで

大きく息を吸い込んで

我が家には、推定年齢50歳を越えようかという、ぬか床があります。
なんでも、主人のおばあちゃんの代から受け継がれている逸品とのこと。

主人のおばあちゃん、義母、そして私。
三代に渡って受け継がれ、家庭の味として長く愛されてきました。

ぬか床の主原料は、ぬか、にんにく、鷹の爪、塩。
ちなみに、ここ一年くらいは私が管理するようになりましたが、詳しい作り方はわかりません(笑)

我が家のぬか床は、電

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