hey_後編

(後編)プロダクトのように組織を開発する。1000人を目指すheyの仲間集め

この数年で、数多くのスタートアップが生まれ、資金調達や事業開発に関するノウハウの流通が盛んになりました。その一方で、創業期・成長期における仲間集めのリアルなストーリーは共有されていません。

「Founders」は、スタートアップのファウンダーの言葉によって、数多くのファウンダーの力になりたいと考えています。スタートアップの競争力に直結する「人」に焦点を当て、ファウンダーたちのインタビューをお届けしていきます。

初回は、ヘイ株式会社 代表取締役副社長兼コイニー株式会社 代表取締役の佐俣奈緒子さんにお話を伺っています。前編は、コイニー創業時の仲間集めのストーリーを伺いました。後編では、heyとなってからの仲間集めのストーリーを伺います。

ーー現在、hey全体で何名に?

全体で約190人ですね(2019年11月現在)。合併したときの合計人数が約50人だったので、約140人増えました。コイニーが30人だったときから会社の空気感はあまりかわりません。

ーーコイニーとheyは創業の仕方が異なるかと思います。heyはどのように始まっていったのでしょうか。

コイニーで組織づくりをやり直して順調に人数が増え、40人ほどの規模になったときにheyの話が始まりました。コイニーを創業した際とは環境も変わり、私もより大きなチャレンジをしたいと考えることが増えていたんです。そんなときにheyの経営陣とご飯を食べているときに「一緒に会社をやったら楽しそうだよね」という話になって。

ーーコイニーのときとは随分と違いますね。

コイニーのときは事業ありきでしたから、違いますね。コイニーの創業期とは違い、友人たちと創業したのがheyです。光本は「STORES.jp」がリリースされたときに「いいサービスだな」と思って問い合わせて会ってから友人ですし、佐藤とは学生時代から知り合いで定期的に相談していました。

ーーバンドを始めるようなノリで始まったんですね。

そうなんです。ある程度考えながらも最後はノリというか勢いで決めたようなもの。とはいえ、コイニーはすでに20億円以上を資金調達していて、株主への説明をしなければいけませんでした。上場が見えているにも関わらず違う会社を作ろうとするわ、別の役員を入れようとするわで、なかなかかんたんには理解されにくい意思決定だったかと思いますが、みなさん了承してくれました。

あくまでも大事なのはビジョンの実現です。コイニーを創業したときとは市場環境が変わり、当時とはビジョンの実現に向けた最適なアプローチが異なっていました。大きな挑戦をしようと考えたときに、まず解決する必要があったのが経営陣の少なさでした。私にとってheyの創業はコトに向かうための必要な一手だったんです。

ーー採用と同様にビジョンをしっかり共有できていたからこそ可能な意思決定だったんですね。

組織はプロダクト、採用はマーケティング

ーーheyではどのように採用に取り組んでるのでしょうか。

今は、経営陣で役割分担ができていて、私が組織全体と採用を見ています。これから、どうやってheyの規模を500人、1000人にしていくかが今の課題ですね。

私は、組織はプロダクトで、採用はマーケティングだと考えています。そもそも、プロダクトがよくないとどれだけ発信しても意味はないので、まずプロダクトである組織を良いものにするのが前提。

その上で、マーケティングである採用は、ポジショニングとメッセージがすべてだと考えています。heyが採用に力を入れようと考えていたタイミングでは、特にエンジニアの採用においてメルカリやAmazonといった企業と競合すると考えていました。

だから、「彼らがやっていないことをやろう」と考えたんです。

ーーメルカリやAmazonがやっていないこととは?

自分たちのアセットを活かしながら、デザインに力を入れて「なんだか楽しそう」という印象を持ってもらえるように発信をしていきました。heyが他社と明確に違った点は、デザイナー層が厚かったこと、経営陣が複数人いることがアセットでした。その強みを各媒体に合わせて切り口を考えていきました。

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ーー自分たちの強みを活かしつつ、抱いてもらいたい印象を決めて発信していったんですね。

そうです。当然ですが、heyは当時の採用市場において認知はありませんでした。だから、誰もheyが何をする会社なのかわかっていなかった、もしかしたら私たち自身もわかっていなかったかも(笑)

ーープロダクトのような組織づくりはどのように行っているのでしょうか。

組織づくりと採用はセット。heyでは自分が担当の役員として、採用と組織の両方見れているのが試行錯誤がやりやすいですね。採用は、いかに採用するかではなく、入社した人が活躍するまでがゴール。採用だけだと、入社後の活躍まで見られません。

ーー組織づくりまで見ることで可能になっていることは?

入社してくれた人がなんで入社したのか、期待はズレていないかなど、1ヶ月後、3ヶ月後、1年後と長期にわたって見届けることによって一気通貫して考えられることですね。。これはプロダクトにおいてユーザーにヒアリングを行って、プロダクトを改善するのと同様に、採用や組織づくりにおいてもフィードバックから改善まで一気通貫して行っています。

なので、heyではいろんな社内アンケートへの協力が求められます。アンケートに答えるエンゲージメントと、答えたらいいことがあると思ってもらえるように注意しています。もちろん、すべては改善できないこともありますが、そういうときはできないことを説明する。説明責任も含めて、意思決定者が負っています。

ーーheyはnoteでの発信も正直な経営陣の気持ちを発信している印象があります。そういった発信も経営陣への信頼につながっているのでしょうか。

今は、情報を隠せない時代です。良いことだけを伝えていても意味がない。同じ立場、イーブンに情報を出さないと心は動きません。社外に情報発信している内容も、社内ではQiitaで発信していて、一部外に出せる情報はnoteで発信しています。

事業と組織のバランスをとる

ーーそれだけ色々リードしようと思うと、たしかに経営陣で役割が分かれているほうがいいですね。

そう思います。コイニーの社長にも卜部が就任し、執行は任せている状態です。おかげで、私はhey全体の組織と採用を考えていられます。事業と採用の両方を見ようとすると、目標や計画などでハレーションが起きやすい。ポジションをとるためには両方を見るのではなく、どちらをやるのかが明確になっていたほうがいいと思います。

ーーやはり両立は難しいのでしょうか。

急激な拡大をしない限り両立はできると思います。ただ、heyのように1年で100人を採用したり、1000人規模の組織を目指そうとすると難しい。事業も組織もプロダクトです。基本的には2つのプロダクトオーナーは兼任できません。

組織のプロダクトオーナーは経営そのものです。人事の現場がコントロールするのは難しい。ただ、経営が担うべきではありながらもリソースは限られている。経営者がどこまでマインドシェアを割けるかが重要だと思います。

ーー経営者の中でバランスをとるのが重要に?

ただ、一人の経営者の中でこのバランスをとるのは難しいと思います。事業が伸びてない状況では、組織に力を入れるよりも事業をちゃんと伸ばすことを考えます。一方で、良い人を採用できれば、組織づくりをせずともワークするわけではないので。

ーーそうするとフェーズに応じて意識の切り替えやリソースの割り振りが必要になりそうですね。

そう思います。創業期は事業に意識が向きがちですが、組織は不可逆な面が強い。最初に形成された空気感が、後の組織の空気に影響します。人数が増えれば増えるほど、この空気を変えるためのコストが大きくなります。

そうならないように、初期の段階で組織のカルチャーを言語化しておくこと。この組織は何が良くて、何が悪いのか。これは初期の段階でコンセンサスを形成しておけるといいと思います。

ーーheyではどのようなコンセンサスを?

「こういう人は嫌だよね」って要素を共有しました。例えば、派遣やアルバイトに横柄な態度をとる、など。誰にでもフラットに接することができる人でないと、一緒に働いていて気持ちよくないですし、顧客にサービス提供する際の姿勢にも影響してきますから。

コイニーにはプロダクトの作り方をまとめたカルチャーコードがあって、数年前に作成した当時から大事なことはあまり変わっていないんです。そうすると、プロダクトとして一貫性が出しやすい。

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プロダクトと同様に、組織も何がかっこいいか、何がかっこ悪いかを言語化しておくこと。多くの会社ではプロダクトは言語化しますが、組織の言語化はあまりしません。自分たちがどんな組織でいたいのかという想いは必ずある。そこを言語化しておくと立ち返って考えることができます。

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組織がマーケットにフィットする瞬間

ーープロダクトに例えると今の時代に必要な組織づくりのあり方が見えてきますね。

プロダクトもマーケットにフィットするまでは試行錯誤するように組織も試行錯誤したらいいと思います。ふと自分たちの中で言語化されて、カチッとハマった感じが得られるはず。こうしたPDCAを回したり、プロダクト開発において必要なことをやる人は組織も作れるはずなんです。

ーー例えば、プロダクトマネージャーが人事を担当する?

向いていると思います。スタートアップにおいては競走が激しく、変化が早いので旧来型の人事だとワークするのが難しい。

スタートアップではプロダクトをつくるためにエンジニアが必要で、スタートアップで活躍できるエンジニアのレベルで考えると求人倍率は20倍くらい。そういう人たちから選ばれる組織を考え、作り続けないといいけません。

にもかかわらず、旧来型の人事のやり方ですとPDCAが遅い。制度を作ってから執行にかかる時間も、執行した制度の見直しも。制度を作ったのであれば、どれくらい初動で利用されて、継続率がどれくらいかを見たほうがいい。こうした作業はプロダクト開発に類似してます。

この先、自社の強みをはっきり言えないと選ばれません。プロダクトを作る能力に差がなかったとしても、組織をつくる能力には差が出てくるんじゃないでしょうか。

組織づくりをする人たちへのアドバイス

ーーこれから組織化を考える人たちへ何かアドバイスはありますか?

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自分たちがどれくらい大きい組織になりたいかで手戻りが少ない方法を選ぶのがいいでしょうね。とはいえ、一回目の起業はわからないことがたくさんあります。自分が見えていない課題を伝えてくれる人からアドバイスをもらいましょう。

ただ、組織づくりの最適解は流動的です。私が起業した2013年と、2020年の最適解も異なります。社会や価値観が変わり、働き方も変わるので、組織づくりは適切なunlearnが必要なんです。だから、今の時代で戦っていて、かつちょっと先を走っている人に話を聞くと学びが大きいんじゃないでしょうか。

ーーありがとうございます。heyは今後はどうなっていくんでしょうか。

創業から約1年半は周囲が期待で動いてくれます。2年が経過すると結果を出さないといけないフェーズに差し掛かります。heyは創業からもうすぐ2年が経過するので、そろそろ動きを変えようと考えています。

採用においては、もっとテクノロジードリブンな会社にしていきたいですね。今も社員の半分はエンジニアですが、さらにエンジニアに支持される組織にしていきたい。今、働いているエンジニアはサービスに共感してheyを選んでくれている状態。

もっと会社からテクノロジーの匂いをもっとさせたいなと考えています。これからも引き続き、どれくらいエンジニアが快適に過ごせるかを重要視して組織づくりをしていきます。

取材・編集: モリジュンヤ

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