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【創業者おたく邂逅記/Page.1】ニトリを創った男との出会い

2021年12月20日月曜日。朝の11:00ごろ。私の ”創業者オタク” としての人生が始まったのかもしれません。

京都駅直結のヨドバシカメラ4階に、デコホームというニトリが展開するインテリア雑貨に特化した店舗があります。当時、21歳だった私は、アルバイトとして勤めていました。週2日、主に月曜日と金曜日の番人(気持ち)を務めていました。

なぜニトリでバイトしていたのか。

私はバイトをする前から、ニトリ創業者・似鳥 昭雄(にとり あきお)さんに憧れていたからです。(憧れた理由を書き出すと、たちまち論文のような文量になりそうなので、またの機会に。)
ニトリイズムを肌で感じてみたくなったのです。2019年当時、親しくしてくれていた子が偶然ニトリでバイトをしていることを知りました。それを聞いた私は、近くで働けるニトリはないかと。そうして、憧れを追った私のバイト生活が幕を開けたのです。

ニトリでのバイトは、私にはピッタリでした。パートのお姐さんたちとのやり取りも、たまに夕方帯でシフトが被る同世代の学生バイトたちとの若干距離のある会話も、繁忙期の果てしない在庫処理も、とどまるところを知らない配送の依頼も、クレームを申しにご来店されたお客さんが笑顔になるまで話を交わした日も、楽しく刺激的な思い出です。私にはとても合っていました。

大学一年生の秋冬頃からニトリで働き始め、二年が経ったころ。12月。私は不思議な体験をしました。空は寒々とし、年末へと向かうある日、私は、道端で白いスズメを見ました。そして、日を経たずして、白い蛇の夢を見ました。極めつけは、パッと夜空を見上げた時、大きな流れ星(後に調べるとふたご座流星群でした)が空を駆けるのを偶然にも目の当たりにしたのです。奇跡が重なったそんな不思議な空気に包まれて、2021年12月20日を迎えます。

月曜日のシフト。私の勤務時間は、11:00~20:00、休憩1時間。その日は、寒い月曜日だったので、店内はがらんとした、ある意味落ち着いた様子でした。フロアには私だけだったかと思います。バックヤードにパートさん一名、バイトの女性もう一名。それぞれ朝の業務に就いていました。私ひとり、レジカウンターで黄昏れていました。

そんながらんとした店内に颯爽と現れた二人の男性。ニトリ創業者で代表取締役会長(2021年当時)の似鳥昭雄さんと秘書の方でした。

どうやら社内の人たちも京都ヨドバシ店に似鳥会長が来るとは把握していなかったようで、似鳥さん曰く、向かいのユニクロに立ち寄ったついでに、ニトリ京都ヨドバシ店があると気づき、顔を出したそうです。フロアには私しかいませんから、当然、私が先陣を切って、お声かけしました。
(ここから先の描写は、さらに細かく思い出せる部分と緊張で覚えていない部分があるので無難に書き進めていきます。)

似鳥さんは、とても気さくな方でした。ニコニコしていて、猛烈に緊張して自分でも見たことないくらい手が震えていた私に、丁寧に話をしてくれました。当時、私はすでに自分で事業を起こそうと動き始めていました。まさに今、憧れの人が目の前にいて、店内を軽く巡りながら、二人で話をしているのだから、自分からも話題を切り出そうと、自身も起業活動している旨を打ち明けました。

「まずはお客さん。目の前のお客さん。お金は後から自然とついてくる」

柔らかな笑みを浮かべた似鳥さんからの、計り知れない重みのある言葉でした。

『先客後利』

これは似鳥さんが掲げる言葉です。その意味を、完結に、柔らかく、話し言葉で、噛み砕いて私に届けてくれたのでした。全身に鳥肌が巡った感覚を今でも鮮明に覚えています。その他の話した内容は忘れました。

この一件に関する後日談も実は山ほどあったりします。その日、もらったサインと言葉、そして一緒に撮ってもらった写真。これは今もなお、私を突き動かすエネルギーになっているわけです。


それから私は、いろんな会社の創業者に目を向けてみることにしました。似鳥さんのひととなりに触れ、”創業者”とは、もっと奥が深く面白い生態なのかもしれないと強く思うようになりました。もっといろんな創業者に会って、話しを聞いて、知って、調べて、考えて、また会って。私はこれからも動き続けます。多様で無数の”非”あたりまえな生き様は、今を生き、これからを生きる多くの人々の力になるのでないかと希望を抱いて。

これが私の、”創業者オタク”としての1ページ目です。





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