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企業も地方自治体も大注目!? eスポーツの行方はどこ?|筧誠一郎・後編

取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真/荻原美津雄、取材・編集/鈴木隆文(FOUND編集部)

(前編はこちら
世界では約1000億円の市場があり、日本でも本格的にスポンサーの投資が始まったeスポーツ産業。

その実情は、まだまだ生まれたての赤ちゃんのような状態ですが、その分、今後の可能性はとても大きいと筧氏は解説します。日本では、一昨年頃からメディアが取り上げたことをきっかけに、eスポーツの認知が一気に進みました。

また、報道を見た各産業従事者たちは、eスポーツが持つ経済的な潜在効果を確信し始めていると言います。今後、日本のeスポーツはどのように発展していくのか。また、eスポーツが持つ可能性はどこまで広がるのでしょうか……

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eスポーツの市場が生まれた背景としては、サッカーと同じようなメカニズムがある。そして、それをメディアが無視できなくなった結果、日本でも市場が誕生することになったとインタビュー前編で筧氏は指摘しました。

すでに大きな需要が眠っていたところに、メディアの力で取り上げられることで“可視化”されたというのです。

「日本はゲーム大国でもあり、30~40代の大人の中にも、eスポーツ的な対戦ゲームに触れてきた人が多くいます。今では、ゲームをやったことがないという子供の方が少数派ではないでしょうか。

そういう、ゲームと一緒に育ったという人がすでにたくさんいるというシーンが露見したのが、ちょうど去年なのではないかと。

それまで、メディアも黙殺していたわけですが、VRなどの流行が一段落して、次のネタを探している時にeスポーツというネタを取り上げてみたところ熱狂的に支持された。そこで『市場があるんじゃないの?』と皆が気づいたわけですよ」

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eスポーツの潜在的な経済効果を推し量る例としては、「ゲーミングPC」の例があります。日本では、ゲームはコンシューマー機やスマートフォンでやるという認識が一般的ですが、昨今ではゲーム専用のPCでゲームをやりたいという若者が増えているそうです。

ゲーミングPCは高スペックで1台15万~20万もしますが、この3~4年で売り上げが右肩上がりに伸びていると筧氏は説明します。

「最近だと、ビックカメラの廉価版PCを売っていた売り場が、どんどんゲーミングPCに占拠されるようになっています。

そっちの方が売れるし利益率もいいから。また、ソフマップさんが改装時に、秋葉原の店舗にeスポーツの施設を入れますと公言すると、今度はソフマップさんがフューチャーされて、そこでやるイベントがどんどん拡散されていき、売り上げが上がるという現象が起きた。

そのような話が続くうちに、『eスポーツが産業的にもイケルんじゃないの?』という感覚が、企業のなかで確信に変わっていったのです」

2018年1月には、「EVO Japan」という海外発の格闘ゲームイベントが日本で開催されました。当初、運営関係者たちは3,000~5,000人の集客目標を立てていましたが、ふたを開けてみると、プレーヤーだけで7,000人、また観客も同じくらいの数が集まってしまったそうです。

運営側が慌てて会場をもうひとつ借りたというのは、業界では有名なエピソードとなっているようです。

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「当時、EVO Japanのスポンサーは日清さんだけでして、すごく得をされたと思います。2019年に博多で行われた際には、NTTドコモさんがメインスポンサーとなり、他にも日清さんやインディードさんがスポンサードするという形に発展しました」

筧氏は、それら反応を見ながら「あること」に気付いたと言います。それは、若者が多く集まるのがeスポーツであり、その特徴は地方創生や地方自治体の活力UPにも繋がるというものです。

「eスポーツに若者が多く集まるという動きを捉えた、茨城県の大井川和彦というドワンゴ出身の知事の方がいらっしゃいます。

彼は、2019年に行われる茨城国体で、eスポーツの大会を併設して行うと発表しています。いま、国体って若者が見ない。

しかし、そのような方針がヤフートップに掲載されて大騒ぎになり、若者の注目の的になってしまったんです。スポーツそのものが、そもそも若者を集めたり、人口流出を防ぎ地方創生を行うパワーを持ちますが、サッカーチームやバスケットチームを呼ぶと、ものすごくお金がかかります。

しかし、eスポーツはコストも高くない。そういう意味では、過疎化している地方などには取り入れやすいコンテンツだと思います」

実際、筧氏が代表を務めるeスポーツコミュニケーションズ合同会社には、自治体などからの問い合わせが非常に増えているそうです。

eスポーツは、低予算でもできるのが魅力。その気になれば、10万円以下でも開催が可能だそうです。もちろん、大規模になればなるほど大きなお金がかかりますが、他のスポーツのチームを集めるよりはコストはかかりません。

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「これまで若者の話をしましたが、スウェーデンには『シルバースナイパーズ』というチームがあります。メンバーは、おじいちゃん三人とおばあちゃん二人。

平均年齢は71歳。そのうちの、ひとりのおばあちゃんのプレイヤーネームがイカしていて、『ティーンスレイヤー』というんです(笑)。

まだまだ10代には負けないぞと。そういう、老若男女問わず、誰しもがeスポーツを楽しめる環境を日本でつくりたい。それが我々の最終目標です」

非常に大きな経済的な潜在力を秘めつつも、場所を問わず低コストで、しかもあらゆる人種、年齢、性別の人が一緒に楽しめるeスポーツ。その発展は、これから先も年々大きく移り変わっていきそうな気配を漂わせています。

筧さん、本日はお話ありがとうございました!!

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取材・文/河鐘基(ロボティア)、写真/荻原美津雄、取材・編集/鈴木隆文(FOUND編集部)

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