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連載|OPINION

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『連載|OPINION 社会のココを深く掘る。』は、社会にある様々なテーマにスポットライトを当てて、第一人者などに頭の中にある考えを聞きにいくインタビュー企画です。
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2019年9月の記事一覧

電池の未来について話しましょう |首都大学東京教授 金村聖志 後編

実現すれば様々な産業において飛躍的な利便性、効率性が生まれるとされる全固体電池。 今回は、未来の生活に富と幸せをもたらしてくれそうな「夢の電池」の日本における研究について、迫っていきたいと思います。 金村聖志(かなむら・きよし) 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 環境応用化学域教授。 1980年京都大学工学部工業化学科を卒業後、1987年京都大学工学博士を取得。1995年に京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻助教授に就任。2002年、東京都

全固体電池とは何か? |首都大学東京教授 金村聖志 中編

今、主流の電池の一つとなっているリチウムイオン電池から、全固体電池へと開発が進んでいるお話を前回聞きました。 今回は、固体電池の特徴について、最先端の研究を踏まえながらお話をお聞きしたいと思います。 前回と同様、全固体電池を研究している金村先生にお話をうかがいました。 金村聖志(かなむら・きよし) 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 環境応用化学域教授。 1980年京都大学工学部工業化学科を卒業後、1987年京都大学工学博士を取得。1995年に京都大

電池って何だか知ってますか? |首都大学東京教授 金村聖志 前編

私たちにとって電池は身近な存在です。 小型家電やスマートフォン、ノートパソコン、自動車まで、様々な製品に電池が組み込まれているからです。 しかし「全固体電池」となると、理解できる方はほとんどいないのではないでしょうか? 私たちの知っている電池とはどこがちがうのか? それがなぜ今、注目されているのか? 長年、電池の研究に携わっていらっしゃる、金村聖志先生に話をお聞きしました。 金村聖志(かなむら・きよし) 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 都市環境科学専攻 環境応

シェアリングエコノミー起業家・雲林院 奈央子 「お寺ステイ」でインバウンド観光市場に挑む・後編

(前編はこちら) 活用されていないお寺のスペースを、イベントや宿泊のための施設として活用するシェアリングビジネスに挑む、女性企業家の雲林院さん。 立ち上げた会社は、東京に5名、高山の宿泊施設に5名が集う規模に成長し、協力をしてくれるお寺のネットワークも広がりつつあるそうです。 前回はお寺とシェアリングエコノミーについて、おおまかなお話をお聞きしましたが、インタビューの後編では、海外旅行者にも人気というお寺ステイという試みについて、立ち上げ時の苦労や今後の展望について聞きま

シェアリングエコノミー起業家・雲林院 奈央子 「お寺ステイ」でインバウンド観光市場に挑む・前編

■ 話を聞いた人 雲林院 奈央子(うんりんいん なおこ) 岩手県盛岡市に生まれ、中東の国サウジアラビアで育つ。上智大学卒業後、アンダーウェアメーカーのワコールで新製品や新規事業の企画に取り組み、26歳の時に株式会社シルキースタイルを創業。ボディケアやアンダーウェアの企画やマーケティングを行う傍ら、メディアを通じた情報発信を行い、話題を集める。 自身が女性起業家であることから、働く女性をエンパワーメントする事業やコミュニティへの取り組みも積極的に行い、各国の大使館と日本で活

技術・規制・コストの制限を超えろ! ベテランオペレーターが見るドローンビジネスの世界・後編|十田一秀

前編では、ドローンオペレーターの十田氏に、点検や測量などの領域で、ドローンが着々と実用化され始めている実情についてご説明いただきました。ただ、ドローンビジネスのすべてが順調かと問われれば、そこには多くのクリアすべき課題があるとも言います。後編では、現場から見るドローンビジネスの今後について話を伺っていきたいと思います。 現場からみたドローンビジネスの課題とは何か。十田氏は大きくみっつにまとめて指摘します。まずひとつは「技術革新」、もうひとつは「法規制」、最後にそれらを理解し

技術・規制・コストの制限を超えろ! ベテランオペレーターが見るドローンビジネスの世界・前編|十田一秀

■ 話を聞いた人 十田一秀(じゅうた・かずひで)氏 ドローン測量・空撮をてがける企業・KELEK代表。鹿児島県姶良市出身。30年ほど前ラジコンヘリコプターを使用した空撮測量会社を興した父のもとで空撮測量技術の修業に励み2011年に独立。無人航空機による空撮歴は15年以上。年間現場数約200件と現場経験豊富なベテランオペレーター。ドローンの実用化・商用化を進めるべく、地方自治体をはじめ、建設、物流、インフラ関連大手企業との複数プロジェクトに携わる。 空撮や測量、点検、農薬

ディープラーニングが革新するロボット産業・後編|早稲田大学教授  尾形哲也

ロボットの能力向上のために応用が始まりつつあるディープラーニング。特に今まさに始まった「産業用ロボット×ディープラーニング」というテーマは、テクノロジーの動向を語る上で、最もホットなトピックとなるでしょう。 前編では、人間により近い「視覚」、「触覚」、「力覚」などの能力を産業用ロボットに持たせるための研究が全盛を迎えつつあること、また「ロボット × AI」を取り巻くアカデミアの世界で地殻変動が起きているという事実について尾形氏にお伺いしました。 後編では、尾形氏が進めてい

ディープラーニングが革新するロボット産業・前編|早稲田大学教授  尾形哲也

■ 話を聞いた人 尾形哲也(おがた・てつや)氏 1993年に早稲田大学理工学部機械工学科を卒業。現在、早稲田大学基幹理工学部表現工学科にて教授を務める。2013年に日本ロボット学会理事、2016年に人工知能学会理事にそれぞれ就任。2017年より産業技術総合研究所人工知能研究センター特定フェロー、2018年より早稲田大学研究推進部副部長。ロボットと人工知能の両分野に精通する日本屈指の専門家として、企業との共同研究なども旺盛に行う。 画像・音声認識や自然言語処理(人間が使用す

5Gは世界でどう使われているか ファーウェイジャパン CTO 赤田正雄・後編

前編では、現在、通信技術が4Gから5Gに移行する過渡期であること、また今年から世界各地で本格的にサービスが開始されることなどをお伺いしました。 また、韓国ではいち早くサービスが展開されており、その競争を支える要因のひとつとなっているのが、小型軽量で高性能な基地局だというお話についても説明を受けました。赤田氏は、韓国以外の国でも、各国各様の5Gのユースケースが確立されはじめていると言います。後編では、世界の動きをさらに深く追ってみましょう。 5Gの競争が激化、つまり利用者数

5Gは世界でどう使われているか ファーウェイ・ジャパンCTO 赤田正雄・前編

■話を聞いた人 赤田正雄(あかた・まさお)氏 ファーウェイ・ジャパン・キャリアネットワークビジネス事業本部最高技術責任者(CTO)。1983年に東大工学部情報工学(修士)終了後、NEC入社。その後、モトローラ社でAll-IP、WiMAX、LTE等次世代モバイルインフラの事業開発、マーケティング、開発プロジェクトに従事。サムスンなど外資系大手企業で要職に就き、現在、ファーウェイ社で活躍中。 日本でも「第5世代移動通信規格」(以下、5G)の商用化が迫っています。前回の記事では

日本はインドと、どう付き合うべきか?|拓殖大学国際学部准教授 椎野幸平  第3回

インド経済の今とこれからに迫る連載も、いよいよ最終回となりました。3回目の今回は、これからのインドと、日本とインドの関係性についてお聞きしたいと思います。 椎野幸平(しいの・こうへい) 拓殖大学国際学部准教授。青山学院大学国際政治経済学部修士課程修了(国際経済学修士)。1994年ジェトロ入会、国際開発センター(IDCJ)開発エコノミストコース修了、ジェトロ・ニューデリー、海外調査部国際経済課課長代理、ジェトロ・シンガポール次長(調査担当)、海外調査部国際経済課長を経て、20

シリコンバレーを超える日は来るのか?|拓殖大学国際学部准教授 椎野幸平   第2回

全3回にわたる、インド経済の実態に迫る連載の2回目の今回は、まずインドの貧困問題について迫っていきたいと思います。 お話を伺うのは、昨日と同じくインド経済の専門家、椎野先生です。 椎野幸平(しいの・こうへい) 拓殖大学国際学部准教授。青山学院大学国際政治経済学部修士課程修了(国際経済学修士)。1994年ジェトロ入会、国際開発センター(IDCJ)開発エコノミストコース修了、ジェトロ・ニューデリー、海外調査部国際経済課課長代理、ジェトロ・シンガポール次長(調査担当)、海外調査

急成長インド経済の土台にあるもの|拓殖大学国際学部准教授 椎野幸平  第1回

「インド」という国の名前から、みなさんは何を連想するでしょうか? おそらく多くの日本人は「カレー」「ガンジー」「0の概念が生まれた国」「牛」「ガンジス川」「ヒンドゥー教」などが頭に浮かぶでしょう。 今回の連載は、そんな「インド」の経済的な側面にフォーカスを当てた、全3回の連載です。 今インドは急激な経済成長の真っ只中にいます。優秀な人材が数々のベンチャー企業を立ち上げ、中には世界を席巻するようなビジネスを展開している会社も少なくありません。 そんなインド経済は、今どう