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SFAが使われていない!解約寸前の状態から入力定着〜業務への組み込みまで浸透させた話

営業支援システムの評判は?

大阪府において既存顧客をメインにBtoBの営業活動をされているA社では
既存顧客とのリレーション強化と営業の分析を目的に、2年前にSFAが導入されていました。

SFA導入当初は、大阪府内で支店が5つありましたが
2年間で京都と奈良に1店舗ずつ増え社員も新たに採用をされ、業績も順調に右肩上がりでした。

A社とは社長含め経営陣とは関係性も良好で、社内の事情をよく教えていただけるのですが
ある時M取締役から「SFAを解約しようと思っているんだよね」と教えていただきました。

私は新卒で入社した会社がSFAベンダーでしたので、理由を深堀りしました。
M取締役曰く「現場からの評判が良くない」とのことでした。

これに加え、経理の担当役員であるK取締役から
「使ってもいないのに請求されている」と話を聞いたので
解約を検討しているようになっている、ということも分かりました。

まだ解約は最終決定ではなく、次の更新まで約8ヶ月の期間があったので
私から状況を確認させていただくことを了承いただき、現場へ向かいました。

各支店から浮き彫りになる活用できていない実態

これまで私は本部にのみ接点をとっていたので、各支店に行くことは初めてでした。

まずは一番大きな売上を作っているB支店に訪問します。
使っている機能や分からないことを聞き出そうと会話を切り出したのですが

私「○○の機能についてなのですが…」

B支店「○○って何?」

という会話がほとんどで
導入して2年経過しているにも関わらず基本機能さえ理解されていない状況でした。

他の支店も訪問しましたが、同じような状況です。

使い方について説明の場はあったか?
定期的なフォローはあるか?

各支店に確認しましたが
SFAを使い始める一番最初に説明を受けただけであり
導入した代理店からのフォローはないとのことでした。

また2年前から社員の入れ替わりも行われているので
全ての機能を確実に理解できている社員は恐らくいないという実態でした。

改めて状況を本部の経営陣に報告します。
M取締役曰く「使いこなせていないとは思っていたが、ここまでとは…」と表情を曇らせます。

またSFAの代理店のフォローがないことについてもお聞きすると
各支店に訪問しフォローすることはアフターサービスに含んでおらず
追加料金が発生すると言われたため取り組みをしていない、とのことでした。

オンボーディングに向けて。しかし…


課題は山積みですが、まずは現場にはSFAを使い方をマスターしていただかないことには前に進みません。
タイムリミットがある中でこれを遂行するには、各支店との接点量を増やすしかないと思いました。

M取締役に各支店の推進担当を設けていただき、私が支援させていただくことを了承いただきます。

1ヶ月間で7支店を2回ずつ訪問し勉強会を実施、
3日に1回は推進担当に使えていない機能や間違った使い方をしている点など、電話で会話します。

このような取り組みを1ヶ月行った後、M取締役から一本の電話が入ります。

「色々頑張ってもらってはいるが、活用が進んでいるとは思えないと社長が言っている」
「○日に状況を報告しにきてほしい」

確かに理解は進んでいるかもしれませんが、
入力数を計測しても前月と比較してほぼ変わっていない結果でした。

報告の当日を迎えます。部長以上のほぼ全員が出席されていました。

社長から開口一番。
「SFA活用のために奔走してくれているのは感謝するが、営業のお客様対応の時間を使っているのも事実だ」
「結果が変わらないのであれば、この取り組みは中止せざるをえない」

私からはお詫びと
「この1ヶ月間、とにかく皆様にお会いさせていただく、もしくはお電話でフォローさせていただきました。」
とお伝えし取り組み内容を報告します。

1ヶ月間でA社に対して50回以上の接点を確保し
勉強会の実施内容や会話させていただいた内容、電話の内容を細かく記録した資料をお渡しさせていただきました。

印刷した資料はA3用紙が3枚みっちり書き込まれた量になっていました。
出席者はゆっくり全体に目を通し始めます。

資料を読み込まれている間無言が続きましたが、社長が発言されます。

「ここまで真摯にやってくれていたと思わなかった」
「これを見るとうち側にも大いに問題もある。私から社員にも再度伝えるようにするよ」

また同時に、今後のスケジュールやフォロー内容を作成した資料をお渡しし
活用できている状態まで伴走させていただくこと、定期的に状況を報告することをお約束しました。

SFAを軌道に乗せるために


ここからは新たな取り組みです。

まずは先日の報告の会議から翌週の全社朝礼で、社長からSFAの改めての目的と利用を促進する旨を号令いただきました。

導入当初の目的のひとつは、既存顧客とのリレーション強化です。
これができているか?を人事評価に加えていただくようにし、計測の手段としてSFAを利用することにしました。

具体的に言うと、営業の評価の100%のうち、まずは5%をSFAの入力数により評価するという指標です。

ただし、入力を強制させるという意図ではなく、あくまで既存顧客と定期的な接点をとっているか?
それを会社の資産として記録しているか?
という観点で発信いただきました。

継続して勉強会も行います。
平均年齢が高く、理解が早くない点を踏まえ、勉強会の内容の内訳を
7割は前回の復習と少し追加した内容、残り3割は全く新しい内容という組み立てをしました。

勉強会の内容はビデオで撮影し、動画にして全支店に共有します。
復習や欠席者が確認しやすいように工夫しました。

そうすると少しずつ各支店の推進担当で質問をいただく機会が増えていきました。

勉強会で出てきた質問事項や電話でお問い合わせいただいた質問内容はQAとして取りまとめ
週次で全社にメールで発信します。

その場で質問できない社員や、全員が私に電話で問い合わせできるわけではなかったので
このような社員の不明点を解消する目的
と、
運用上誤った理解をされている社員がいらっしゃる可能性があるので
認識の齟齬をなくすため
にこの取り組みを行いました。

また活用度合が高い社員に対しては個別にインタビューをさせていただき
利用の際に便利に感じている点、習得までに苦労した点、入力に工夫した点、などを教えていただき
その内容をメルマガ形式で全社員に発信しました。

支店を越えてナレッジを共有することと
SFAの活用に向けて全社的な一体感を醸成させる事が目的でした。

取り組みの成果と今後について


これらの取り組みが功を奏し、ログインすら毎日されていない状況から
入力の定着に関しては予定より2ヶ月ほど前倒しで完了することができ
当初解約予定だったSFAは次の更新は行われるというご報告をいただきました。

今後は入力されたデータをどう営業戦略に活用していくか?というステージです。
もう一つの導入目的であった営業の分析に着手できる状態になりつつあります。

継続してSFAを利用して良かったとなるように引き続き支援をさせていただきます。


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