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【社員インタビュー】「志」を胸に、バリューの体現者であれ。プリンシパル岡本麻以が捉える、ヒューマンキャピタリストの本質

営業戦略ディビジョンのシニアマネージャーを務める、プリンシパルの岡本 麻以。分社化前から在籍し、入社9年目。IPO前後の変化も肌で感じてきた、まさにフォースタートアップスの“生き証人”の一人です。社内の文化形成やカルチャー浸透にも重要な役割を果たす彼女は、個人と企業、そして日本の未来を「繋ぐ」仕事に邁進しています。

組織の「志」を形にする取り組みを主導する岡本に、ヒューマンキャピタリストという仕事の魅力やフォースタートアップスならではの成長環境について聞きました。


150名分の「週報」を読み、最適な企業担当者を導き出す

いまは主にどんな仕事を担当していますか?

「営業戦略ディビジョン」の業務は、新規取引に関する判断から契約後の支援体制のモニタリング、既存取引企業の支援状況のチェック、起業家や経営陣による勉強会の運営、ベンチャーキャピタルとの連携など多岐に渡ります。その中でもヒューマンキャピタリストが担当する企業のアサインには、特にこだわりを持っています。タレントエージェンシー本部の全体最適を考えつつ、スタートアップの事業内容やフェーズ、起業家や経営陣のタイプ、募集ポジションを踏まえて、どのヒューマンキャピタリストが担当すると双方にとって最適なマッチングとなるのかを考えています。

また、独自の社員エンゲージメント指標「Kokorozashi指数」の設計から運用、社内にバリューを浸透させるためのイベント「バリューキャンプ」の企画運営、バリューに基づいたヒューマンキャピタリストグレードの策定、毎月のマネージャー合宿の企画運営など、組織開発にも携わっています。それに加えて私自身も、ヒューマンキャピタリストとして活動を続けているため、それぞれの仕事を、割合で言えば20〜50%の範囲で調整しながらスケジューリングしているイメージです。

「営業戦略ディビジョン」ではクライアント企業に加えて、それぞれのヒューマンキャピタリストについても理解を深めなければいけません。どのように取り組んでいますか?

現在は、約150名いるヒューマンキャピタリストの特性や志を理解するために「週報」※を活用しています。メンバー全員が、その週の出来事や感じたこと、嬉しかったこと、悔しかったことなどを赤裸々に書いてくれています。私はできる限り、タレントエージェンシー本部のメンバー全員の週報を読むようにしています。150名いれば個々人のコミュニケーション特性、得意不得意といった違いが見えるとともに、一人一人のヒューマンキャピタリストにとって、今週がどのような週だったのかを把握できたり、ヒューマンキャピタリストという仕事に対する心境が、どのように変化しているのかを定点観測することができます。

ただ、これだけでは十分ではありません。私一人で全員のキャップを決めてしまっては本末転倒なので、ヒューマンキャピタリストが所属するディビジョンのシニアマネージャーとも毎週話し合うことで、ヒューマンキャピタリストの志の状態や変化を把握し、どのような機会を渡すと良いのかを考えています。

担当企業を決める際に、特に大事にしていることや気をつけていることはありますか?

まずは「意味付け」を大切に、アサインの理由や意義を言語化し、伝えること。その人のパーソナリティに合っているからかもしれませんし、成長のために難易度の高い仕事を渡しても良さそうだと判断したからかもしれない。様々な要素を考慮して決めているので、必ずこのプロセスを踏むようにしています。伝えるまでが仕事の一環だ、と捉えているんです。

もう一つ大切にしているのは、できる限りメンバーの「やりたい」という気持ちを尊重することです。「天才は努力する者に勝てず、努力する者は楽しむ者に勝てない」という孔子の格言がありますが、やはり自分で「やりたい」と意思表示したならば、ヒューマンキャピタリスト自身も、より覚悟を持って取り組むことができるからです。

気をつけているのは、前職の経験に囚われすぎないようにすることです。あえて経歴とは異なる分野の企業を担当してもらうこともあります。それは、その人の可能性を広げ、新しい視点を得る機会を作るためです。私自身が経験に縛られないアサインから成長を実感したことが大きく、そういった環境を作れるようにしたいんです。

フォースタートアップスらしい「志」とは何か?

組織開発の仕事でも特徴的な「Kokorozashi指数」について教えてください。

当社では2024年より人的資本開示の文脈から、社員が「志を持って挑戦しているか」を示す独自のエンゲージメント指標として「Kokorozashi指数」を計測し、IR資料で発表しています。この指標の策定、アンケートの実施や集計、そして最終的なアウトプットの方法まで、プロジェクトチームの一員として取り組みました。

社外取締役で、グロービス経営大学院の副学長を務められている田久保 善彦 氏と共に、2年ほど前からディスカッションを重ねました。田久保氏は「志」の研究を長年されており、当社においても人事ポリシー※と紐づいた形で考えるべき「志」を策定し、それを指標策定のアンケート項目へ落とし込みました。

フォースタートアップスらしい「志」の定義はどのようなものですか?

「全力を注いで心から実現したいと思えること」と定義しています。この定義に基づいて、過去1年間にフォースタートアップスに入社した方々が、どの程度の「志」を持って働いているかを、アンケートの項目を通じて測定しています。今後もこの「志」に基づいた人事施策を展開していく予定です。

実際に実施してみて、どのような成果がありましたか?

予想以上に良い結果が得られました。「志」に対してポジティブな回答をした方の割合が想像よりも高かったのです。もっとも、これは半ば狙い通りの結果でもあります。

2024年3月期通期決算説明資料にて「Kokorozashi指数」の集計結果を公表

なぜなら、タレントエージェンシー本部の採用プロセスでは、直接的に「志」という言葉こそ使わないものの、「どのような価値を世の中に発揮したいのか」「何を成し遂げたくてフォースタートアップスの門を叩いたのか」といったことを丁寧に聞いています。知らず知らずのうちに、面接官は「志」を重視していたのだと思います。

また、入社後も「バリューキャンプ」や起業家の生き様に触れる「勉強会」など、人の「志」に接する機会が他社と比べて多いと思います。そのため、入社時も、そして入社後も、「自分はここで何を成したいのか」を考える機会が多く、このような環境が「志」に対するポジティブな回答につながったのではないかと考えています。

超えたくなる壁となり、「倒されがいのある人」に

フォースタートアップスで仕事を続けて、自身にどういった変化を感じますか。

気づけば8年経っていた、というのが正直なところです(笑)。

個人的な感覚としてはIPOのタイミングあたりで、リーダーとしてメンバーを持つ機会を得たことは大きな変化でした。営業戦略の仕事は2018年頃から継続してきましたが、2020年に「営業戦略室」ができ、2024年には「営業戦略ディビジョン」に。自分の仕事に明確な名前が付いたことは案外大事で、業務内容は大きく変わらずとも意識が変わりますね。

シニアマネージャーという立場も、名前が付くことで役割に対する責任が生まれますし、自分自身も「ふさわしい人間になろう」と強く意識するようになりました。直属の部下ではなくても、各部のマネージャーにどのように影響力を持ち、どのように振る舞うべきかを考え始めました。

シニアマネージャーとして、ロールモデルや目標とする人物像はありますか。また、どのようにしてその像を作り上げていったのでしょうか?

印象に残っている経験が一つあります。以前、あるスタートアップのCxOの転職支援をさせていただいた時のことです。その方は多くの企業から引く手あまたでしたが、役職に関係なく新たな挑戦をしたいと考えられる姿勢に、私は強く心を打たれました。

面接プロセスの中で興味深かったのは、その方の立ち振る舞いです。スタートアップ側から「見極めたいポイントがある」と言われた時も、「受けて立ちます」という姿勢を取られたんです。私は企業側との仲介者でもあるため、「ぜひ建設的な議論を……」と和らげて提案したのですが(笑)、その方はあえてファイティングポーズを取る理由を説明してくれました。

「超えたくなる壁になることが大事だ」と言うのです。若者に道を譲るのが年配者の役目かもしれませんが、それでも「若い者には負けないぞ」と最後まで戦い続ける姿勢を見せることが重要だと。だからこそ、面接であっても「自分は何ができるのか」を伝えることに意味がある。面接は見極められる場でもあり、見極める場でもあると言うのです。

さらに、その方は「去り際」の設定についても興味深い話をされました。「最高潮の時に去るのがかっこいいと思う人もいるけれど、そうすると若者はずっとその人の影を追い続けることになる。それよりも、ちゃんと負けたタイミングで退く方が、後世に残る若者のためになる」とおっしゃっていました。

この考え方に強く共感し、私も真似したいと思ったんです。自分が絶好調かつ最高潮のタイミングで去るのではなく、歳を重ねても戦い続け、若手に負けて最後に去る。そんな去り方をしたいと思うようになりました。つまり、自分の限界まで頑張り、いつかは若者に倒される日が来ても、それを楽しめるような人間になりたいですね。

一人のビジネスパーソンとして、「倒されがいのある人」や「倒しがいのある人」になりたいというのが、私の目指す姿です。自分の成長のためだけではなく、若者は壁を乗り越えた経験を積めて、相手の人生にもポジティブな影響を与えることができる。これは私にとって大きな学びでした。

「女性は駆け上がれるうちに階段を上っておこう」

岡本さんがプリンシパルを務めるように、フォースタートアップスは女性社員がリーダー職などで広く活動しています。「女性活躍」の観点から、お考えを聞かせてください。

10年ほど前、私が参加した女性活躍に関する会で、当時ネットジンザイバンク事業部長であった当社代表の志水が印象的なアドバイスをしていました。「女性はライフステージの変化で職場を離れなければならないタイミングが来るかもしれない。その時に離れても戻ってこられるように、駆け上がれるうちに階段を上っておきなさい」というものでした。

フォースタートアップスは、このアドバイスに近い環境を提供していると思います。性別に関係なく成長機会があり、出産など様々な理由で職場を離れる必要が生じた時も、本人のそれまでの頑張りがある上で、戻ってこられるための環境を設ける。本人が望むのであれば、そのためのキャリアパスを設計できる準備があります。

これが可能である理由の一つとして、副社長である恒田の存在が大きいと考えています。恒田は8年前に一般社員として入社し、マネージャー、執行役員、常務取締役、取締役副社長とキャリアを築いています。当時、私と恒田含めて女性は3名しかいない環境の中で、女性である恒田がこのように地位を確立していく姿を見ることは、私にとっても大きな学びとなりました。

彼女の活躍が女性社員のロールモデルとなり、マネージャーやシニアマネージャーの女性比率が高くなっているのは事実です。女性と男性ではマネジメントの仕方にも微妙な違いがあるかもしれません。その違いを見極めていく力が、恒田を筆頭に当社には備わっていると感じています。

さらに、フォースタートアップスには多様なヒューマンキャピタリストがおり、関わる起業家の方々も様々なタイプの方がいらっしゃいます。「この人のようになりたい」と思えるロールモデルは、必ず見つけられるでしょう。

ヒューマンキャピタリストはバリューの体現者であれ

岡本さんにとって、ヒューマンキャピタリストとは?

私が考えるヒューマンキャピタリストとは、企業と個人、そして日本の未来を繋げられる人です。もちろん、企業と個人を繋げることも重要ですが、その大前提として日本の未来を考え、それに紐づけて行動することが、ヒューマンキャピタリストの本質だと捉えています。

ヒューマンキャピタリストという言葉自体、まだ一般的ではありません。「ヒューマン・キャピタル・マネジメント」について書かれた本も存在しますが、こちらは主に人事制度や組織に関する内容で、私たちが考える像とは異なります。ただ、この本にも興味深い指摘がありました。それは、ヒューマン・リソース・マネジメントとヒューマン・キャピタル・マネジメントの違いについてです。その本には、「消費可能な枯渇が進むもの」がリソースであると記されていたのに対して、キャピタルとは「高い価値が認められ、開発されるべきアセット」であると記されていました。この考え方は、私自身のリソースとキャピタルの違いの理解として非常に明確で面白いと感じたのです。まさに、ヒューマンキャピタリストという仕事は、人と企業を繋げることで、総量として価値が増えていくものです。量的にも質的にも成長し、さらには自分自身のキャピタルも増加していくという考え方です。

そのうえで考えてみると、ヒューマンキャピタリストとは、フォースタートアップスのバリュー※に即した行動を取る人だ、と考えています。私自身、このバリューとの紐付けを強く意識しているのもありますが、結局はバリューの体現者だと言っていいでしょう。

また、この仕事の良さは可変性や拡張性が高いことです。スタートアップ市場も、私が入社した8年前から大きく変わっています。あえて職域を定義せず限定しないことで、枠に囚われない活動ができています。

さらに、ヒューマンキャピタリストの仕事には翻訳者や編集者の要素も多分にあります。スタートアップ企業の情報を正しく捉え、世の中に正しく伝えることが求められるんです。単に伝えるだけでなく、時に情報を加工し、分かりやすく伝えていくことも大切です。ヒューマンキャピタリストという役割は多面的で、常に進化し続ける存在だと思います。

共に働く「未来の仲間」へ、ぜひメッセージをください。

ある企業の方から中国の古典『大学』にある「修身斉家治国平天下(しゅうしんせいかちこくへいてんか)」という言葉についてお伺いしたのですが、これは私たちヒューマンキャピタリストにとっても重要な考え方だと感じています。

この言葉は、国を治め天下を平定するためには、まず自分自身を修め、その上で家を整えることが重要だという意味です。フォースタートアップスには、”日本を成長させたい”という思いに共感して入社いただく方も多いです。そして入社後は起業家やVC、転職候補者など多くの挑戦者と対峙することになります。彼らと向き合うためには自己修養が大切であり、それが組織や社会全体にも影響を与えると感じます。

ヒューマンキャピタリストという仕事や、フォースタートアップスという会社を考えると、非常に挑戦する人たちに溢れています。そういった環境だからこそ、より高い目標を設定し、期待を超えようとする中で、自分自身にとことん向き合わざるを得ませんし、向き合える環境でもあります。その過程で、ポジティブなことだけでなく、ネガティブなことにも多く直面します。そんな時、同じ志を持つ仲間の存在に助けられ、自分すらも出会えなかった自分に出会えると思います。そういった経験をしたい方と、ぜひ一緒に仕事をしたいですね。

(取材・文:長谷川賢人)

文中注釈

※週報
当週の活動を振り返るとともに、自身の思いや考えを発信している。

※人事ポリシー
フォースタートアップスの人・制度に対する基本的な考え方を示したもの。

※バリュー
Startups First、 Be a Talent、 The Team の3つがフォースタートアップスのバリュー。

会社概要

フォースタートアップス株式会社は、スタートアップ企業の人材支援を中核に、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」の運営、官庁・地方公共団体のスタートアップ関連事業の支援など、産・官・学連携による成長産業支援事業を展開しております。

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