未来をメタファーする
未来の意味
企業では中期経営計画や、マーケティング戦略といった、未来のいつの時点までに、どうなっていたいかを言葉にしようとする。
"未来"という漢字がこのブログのように平面に書かれていると、「はい、未来ね」と自動操縦のごとくその意味(情報として)を受け取れるが、そもそも私たちはその"未来"についてどれだけ思考キャパシティを持っているだろうか。
ある日
この夏、森を目の前にして長い時間座っていたら、「未来って森みたいだな」と脳内で文節が湧いた。
どうしてそう思ったかは、さまざまな知的刺激を先生や知人から受けたためだと思われるが、まだ読んでいない『レトリックと人生』が課題図書として認識しているためが大きいだろう。
森の要素
その後、森を目の前にしながら、"未来"を"森"に例えながら、メタファーの要素を観察&思考していった。
森(未来)は:ー
1、視界からはみ出るくらい大きな空間である
2、手前の木々は、親しみがあるが、奥にいけばいくほど暗く、あまりフレンドリーではない心情になる
3、想像がつく以上の生き物や昆虫がいると予測できる
4、たまに、木々と空の境目に鳥が飛び立ち、吉兆か、サインか、森が人間とは関係のない所で息づいていることを知る
5、自分の後ろにも森が広がっており、過去とは、同じように森を進んできたのが分かる
6、森は幅広く、進む道は選択である
メタファーすることで
森の前に座っていたのは30分ほど。文字を使わず、ただ森をじろじろ見たり、周りの空間を感じてみた。
メタファーを、言葉や空想ではなく、物理的な"森"を使ってやってみたら、それまでの自分の中にあった"未来"よりも、格段と違う"未来"を捉えることになった。
バージョンアップされた未来は:ー
・ 未来は3次元であり、大きな容器
・ 入っていく事に、人は畏れがあるかもしれない
・ しかし、今までも同じように未来のフロントをかき分けながら進んできてる
・ 自分が楽しくなるサインを見つけること
・ 何が潜んでいるかをできるだけ想定しておき、共有した方がよい
組織とメタファー
"未来"を森を見ながらメタファーしてみて気がついたことが二つある。
一つ目は、組織の戦略や中計がなかなか浸透しないのは、実現したい未来のうち、"未来"という意味さえも、捉え方が人さまざまだからではないか。
立体的に考える人もいれば、直線で考える人、文字の意味としてのみ捉え、物事が起こる時点として自分と地続きで考えられていない人もいるだろう。
二つ目は、メタファーとは、思考キャパシティをあげるのに役に立つということ。特に、物理的に身を置ける、触れることは、そこにある意外な要素が発見の鍵になり、自由に考えの幅を広げることができる。
研修としてのアイディア
例えば、企業ビジョンを策定する研修を企画する。
ケース1:今までの歩みや会社の歴史を映像にして社員に見せて、そこから何かを感じ取ってもらい、ビジョンを考えてもらう。
そこで提示される映像は、具体性が100%。それは、見る者に、誰かの"意味"を押し付けることになり、出来事を現代の文脈に置き換える余白や、個々人のアイディアを広げづらい。
ケース2:海や川、森で社員研修を行い、自然をメタファーとして、もしくは、レゴシリアスプレイも併用して、過去のヒット商品や、企業風土、未来での価値、などを思考してもらう。
メタファーの効用
1、メタファーを使うと、一人一人の思考キャパシティを簡易的に広げることができる。
2、メタファーを用いると、その解釈を共有するため、その場のメンバーとの共通言語が生まれる。
3、メタファーは自由度が大きいため、それぞれのアイディアが否定されず、正解も断定されない。
メタファーを活用することで、大きな容器の中の無数の選択肢から自分たちの未来への道が選びたくのではないだろうか。
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