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「価値を提供する主体」として「個人」にもロゴを。foriioクリエイターが形にした思考と言葉【foriio制作事例インタビュー】

内閣府発表ではフリーランス人口が341万人を超え(19年発表)、また複業やプロジェクト参画など「個人」がそのスキルや志向を活かして活躍できる場も増えてきている現在。クリエイターへの依頼は企業からだけではありません。
今回は、フリーランスとして独立し自身のプロジェクトを立ち上げるタイミングでforiioにロゴデザインの依頼を頂いた萬里小路(までのこうじ)忠昭さんと、そのデザインを手がけたデザイナー・荒木大地さんに対談形式でお話をお聞きしました。

■「価値を提供する主体」として、個人がロゴを持つこと

ーよろしくお願いします。簡単に自己紹介をお願いできればと思います。

萬里小路さん(以下、まで):キャリア10年は企業に勤めていました。新卒はスポーツ小売企業で販促・PRを担当し、その後デジタルハリウッド大学院でDCM修士を取得し転職しました。前職は企業向けにコンテンツマーケティングの戦略・企画立案をしていました。現在は独立し、マーケティング戦略のアドバイザーやリーダーシップ研修の講師をしながら、自身で立ち上げたThinking Design Labの思考設計士として、人の思いや考えを研究する活動やキャリア支援をしています。

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荒木さん(以下、荒木):筑波大学の大学院人間総合科学研究科で博士号を取得した後、東京大学大学院医学系研究科で特任助教として機械学習を用いた動作予測の研究などをしていました。その傍らでデザインを学んで2018年に独立。モノジャーナル合同会社というデザイン事務所を立ち上げて経営とデザインの両軸をてがけています。

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ーフリーランスの方のロゴ作成をforiioでサポートしたのは初めてになります。まだまだ個人の方で自身のロゴを持つ方は多くはないかと思いますが、今回依頼しようと考えた理由は何でしょう?


まで:そもそも、「企業」と「個人」との間に垣根は無いと思っています。そもそもビジネスの場において、「価値を提供する主体」という意味では本質的には変わらないですからね。違うとしたら、「規模」と「規則」。企業は人を雇い、集団でビジネスを大きくしていきますし、集団でビジネスをしていくためにはルールが必要になる。そういった部分では個人とは異なりますが、「提供したい価値がある」「提供したいお客様がいる」ことがビジネスの根幹なので、分けて考える必要は無いと思っています。

荒木:僕もフリーランスの方のサービス・ブランドのロゴというのは初めてでしたが、確かにそうかもしれませんね。
現在はクラウドソーシングなどで制作を依頼することもできるので、もう少し費用も時間もかけて制作しよう、ロゴに投資してみようと考えるには、「なんとなくロゴがあった方がいいかも」から一歩進んで、より一層ビジネス的な視点でその価値を考える必要があるのかもしれません。
また、「企業」とは世間へ見せる「箱」のようなもので、代表一人企業だとしてもその人自身を見せているわけではありません。でもフリーランスの方だと、その人らしさを前面に出していく必要があるので、デザインの作り方や考え方も少し異なりますね。

まで:僕はもともとデザインに興味を持っていましたし、その力を借りたいと思っての依頼でしたが、「表面的なデザイン」には興味がありませんでした。それはあくまで個人の好き嫌いの話で、主観的なものでしかありません。それよりも「本質的なデザイン」が大事。言葉や過程を重視していました。「なぜこのデザインになったのか」をロジカルに言葉で表現してほしいとお願いさせていただきましたが、それをしっかり提案頂けたのがとても良かったです。

荒木:僕にとっても、言葉で説明するのは特別なことではありませんでした。クライアントの方が普段接している表現で説明しないと伝わらないのは当然なので、そこに言葉を添えることはスタンダードなことでしたね。

■ロゴはビジネスのフェーズを進める解決策

ー今回は、私(foriioスタッフ長島)が、萬里小路さんの大切にしていることを思い浮かべながらforiioのクリエイターさんのポートフォリオから探している中で、荒木さんを見つけてオファーをして始まりました。荒木さんのポートフォリオも、いろいろと工夫されていますよね。

荒木:
メインで使っている紙製のポートフォリオとは違い、foriioはオンラインに常にある状態。営業の際に持っていってその場で見せるのとは少し用途が異なるので、たまたまでも見て頂いた時に印象に残るように工夫しています。まずは立ち止まってもらい、クリックする等その次のアクションを起こしてもらえるように心がけていますね。foriioは基本のUIや機能がシンプルなので、作品に集中してもらえるというメリットがあります。なので、例えば同じロゴであっても「こういう見え方もありますよ」という提示をするなど、様々な角度から見てもらえるように情報を多めに出したりしています。その場で対面で、という時には紙の方が印象を持ってもらいやすいですが、間口が広く持てるforiioはその違いを考えながら作っています

※荒木さんのforiioはこちら↓


ー荒木さんはロゴの実績も多数お持ちですが、ロゴの役割をどのように考えていますか?

荒木
:ロゴは、変えたからといってすぐに売り上げが上がるようなものではなく、あくまでそれぞれの企業や人がブランドを作りあげていく手段の一つだと捉えています。そもそも僕たちデザイナーは「売上を伸ばす」というよりも、クライアントの抱えている課題をデザインで解決する、「課題解決」という側面が強い。また対外的にロゴが果たす役割以外にも、企業が自らのシンボルとして掲げ、そこで働く社員のモチベーションを上げるという効果・役割もあると思っています。対内的にも影響を及ぼすものなんですよね。

まで:先ほどお話した「提供したい価値があれば、それはビジネスなる」という考えに基づいていうと、ビジネスを展開するには3つのフェーズがあると思っています。フェーズ1は「自分(たち)を認識してもらうこと」、フェーズ2は「自分(たち)の価値を理解してもらうこと」、そしてフェーズ3が「信用してもらうこと」。ロゴは、ビジネスにおける3つのフェーズをクリアするためのシンボルであり、解決策の一つではないでしょうか。

ー主体をしっかりと反映したロゴがあれば、それらフェーズの各段階を飛び超えていく助けになりますよね。荒木さんは、そうした課題感などをいつもどのようにヒアリングしていますか?

荒木:企業であれば、代表一人ではなく会社に関わる様々な関係者の方の想いを聞くようにしていて、それらを総合してロゴを作るようにしています。発注の窓口になる方や代表の方だけでなく、現場の様々な方の意見や声も包括した上で共通理解を持つことが重要なんです。誰か一人に依存したロゴを作っても、最終的に社員の皆さんに想い入れを持ってもらうことが難しくなってしまいます。皆さんの声を聞いて、整理し、様々な方の意見をまとめて、形にする。リサーチや意見のとりまとめ、そしてすり合わせなどのディレクションの工程が非常に重要になりますね。

■形のない「思考・言葉」を形にするまで

ー制作工程についても聞いていきますね。今回はお2人と私との3人で初回の顔合わせを行いました。その時に萬里小路さんの大切にしていることや人柄、荒木さんの制作実績などについてざっくばらんにお話し、それをうけて2-3週間後ぐらいに荒木さんからラフのご提案を頂きましたが、そこまでまずはどのように制作を進めましたか?

荒木:顔合わせの時にお聞きした内容から、ロゴを作るための重要なキーワードをまずは言葉でまとめました。そこからラフ作りに入っていって、それらの言葉から連想される形をどんどん並べて描き進めていきました。その中に形と言葉とがフィットするようなものがぽつぽつ出来てくるので、それを今度はデジタル上に描き起こしていくという流れでしたね。

まで:初回のラフは3案頂きましたよね。その中から最終案の原型となるものを選んでブラッシュアップすることにしたわけですが、この案は最初どうやって作りだしたんですか?

荒木:今回はなかなか形にするのが難しいテーマでした。心や思考、言葉など「形がないもの」をどう表現しているかというモチーフの事例をいくつもインプットし、それらと照らし合わせてフィットするものを探すといった要素が強かったと思っています。言葉と形とのフィット、言葉の中の要素をロゴの図形の中で表現できるか、などを大切にしました。

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※完成した「Thinking Design Lab」ロゴ


まで
:図形はロジカルでシンプルなデザインで僕の好きなデザインの方向だったのですが、そこに添えられていた言葉からこの方向に決めたんです。正直グラフィックに関しては知識がないので、良い・悪いがあまりわかりません。でも、その形を編み出した過程やそこで思考されたこと、それらが言葉でしっかりと説明されていたので、「どんな視点で、どの要素を、この形にまとめて表現したのか」が分かり、それが決めるポイントになりましたね。

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※初回提案時の資料

荒木:細かな調整として、デザイン理論との照らし合わせをしていきました。デザイン理論にフィットしているか、シンボルとして機能しているか。また、視認性を保てているか、モチーフとして伝わるかなど、ロゴとしての機能を最低限満たしているかなどもチェックしてチューニングしていく必要があります。これは経験からくる部分でもあるので、日々のインプットや、例えば既に世の中に存在するロゴを沢山見て、トレースして学んだりといったことで鍛え続ける必要があります。最初はしっくりこないことも多いので、トレースしてみてその違和感を捉えることで学ぶことも多いですね。ただ、最終的には普段クライアントさんが接している人たちに伝わらなければ意味がないので、そこも大切にしています。

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※ブラッシュアップの過程

■共に作り上げるために、自己開示から始めよう

ー今回、このロゴが完成したあとに萬里小路さんが行うYouTubeの番組配信へ私と荒木さんとで出演させていただくなど、「クライアントとクリエイター」という関係を超えた良いプロジェクトになったのではないかと思っています。こうしたクリエイティブ制作における関係性も変わってきているかもしれませんね。

まで:
ロゴに限らず、自分たちが使うもののデザイン作りに真摯に関わらないのは、自分たちの命を放棄していることと同じです。まずは、クライアントが自らをディレクションすること。個人にしろ、企業にしろ、自己を理解すること、自己を開示することが第一歩だと思います。クリエイターさんがポートフォリオでこれまでの実績を開示するのと同様に、クライアント側も、どういったお客さまに、どういった価値を提供しているかを開示する必要があると考えています。その上で、クリエイターさんはクライアントの想いをグラフィックにすることで課題解決してくれているんです。
デザイン制作はデザイナーだけでは完結出来ない作業。こうしたお互いのプロセスを理解し、リスペクトしあうことがとても重要ですよね。ビジネスサイドがデザインのプロセスを、デザイナーさんはビジネスのことを理解することが大切だと思います。誰に価値を届けるかという本質は一緒で、それをマネタイズするのがビジネスサイド、形にするのがデザイナーだと思います

荒木:まさに、「一緒に作っていく」という意識をもってもらえたらいいなと思っています。「お任せします」は嬉しい気持ちもある反面、結局それでは「僕のロゴ」になってしまって、クライアントさんのロゴにならないんですよね。僕はデザイナーとして、クライアントさんの抱えている想いをグラフィックとして形にして課題解決することが役割。僕たちデザイナーは、アーティストではありません。デザインは設計であり、プロセス。一つのものを作りあげる工程を協同しているパートナーだと思ってもらえると嬉しいですね。

ーありがとうございます。最後に、こうしたクリエイティブ制作・デザイン制作において、クライアントとクリエイターとが良い形で出会うためには、お互いどのようなことが必要か、お二人の意見を聞かせてください。

荒木:マッチングの中の「選んでもらった時に、良い相性を発揮できるか」という観点でいうと、そもそも自分の人間性も含めて形にして表現しておくことが重要だと思います。foriioでポートフォリオにまとめたり、SNSで発信したり、ブログを書いたり、最終的には人と人とで作り上げていくものなので、自分がどう考えてどう作っているのかをとにかく出しておくことが必要なのではないでしょうか。

まで
:ビジネスは「人対人」です。その人が持っている機能や技術より、最後は人柄への共感です。冒頭でロゴが果たす役割として話した「認識→理解→信用」という3つのフェーズを進んでいくことが、まさに共感が生まれる過程です。理解は基本的に頭でしますが、信用は人の感情を動かすことで得ることができます。そうなると、やはり本質的に人としての内面的な部分、想いやビジョン、こだわり、価値観などに共感できるかが重要なんですよね。foriioの中でも「#私はこんな仕事がしたい」といった機能がありますが、もっともっとサービスとしてクリエイターさんの想いや価値観を表現していって欲しいし、クリエイターの方々もそれらを使いこなして、オンラインでも人柄を伝えることが重要になるのではないかと思います。

※制作したロゴも使用されている萬里小路さんのYouTube配信はこちら↓

Interview&Text:Shiho Nagashima


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foriioお問い合わせ先:sales@foriio.com

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