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【#私はこんな仕事がしたい展】トークセッションレポートvol.3:「デザイナーが仕掛けるコミュニティ型店舗」

2019年11月29日(金)より3日間に渡って開催された「#私はこんな仕事がしたい展」。その中で行われた8つのトークセッションの模様をひとつずつお届けする不定期連載、今回はその第3弾です。

■YOPPYさん×Tsumomahさん「デザイナーが仕掛けるコミュニティ型店舗」

トークセッション第3弾は、今話題のコミュニティ型店舗に関わるお二人がゲスト。デザイナーやアートディレクターとしての視点・キャリアを活かしながら、どのようにコミュニティや体験をデザインしているのか、そのリアルなお話をお聞きしました。

■登壇者のご紹介

YOPPYさん
千葉大学在籍中に、デザイナー兼イラストレーターとして活動し、クリエイティブユニット「ナマケモノ」を結成。大学卒業後、株式会社MTI、面白法人カヤックを経て、株式会社イキモノを設立。
2015年よりNEWPEACEの立ち上げに参画。ロゴ・WEB・グラフィック・空間と、領域に囚われないブランディングに携わる。その後「かわいい」の表現を学ぶべく㈱れもんらいふと1年兼業。現在は、6curryのブランドデザイナーとして、物の形をつくるデザインだけでなく、コミュニケーション・行動・感情など、人が関わるすべてのコトをデザインしている。

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Tsumoahさん
医療や製薬の業界で普段は正社員として働きつつ、ブランドとプロモーションの受託の仕事をこなす二足のわらじ。
個人プロジェクトとして「デザイナーのためのコミュニティバーFLAT」のオーナー兼プランナーと「完全オンラインデザイナースクールPLAY THE DESIGNER」のブランドとサービスを作るパラレルワーカー。現在転職サービス立ち上げ中。

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■6curryとFLAT、それぞれの店舗について

まずはお二人が関わっているプロジェクトについておさらいしましょう。

YOPPYさん(以下、YOPPY)「6curry」

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❶コンセプトは「EXPERIENCE THE MIX」
・カレーを通じて新しいコミュニケーションを生み出すブランド。
・お店を持たないUber Eatsだけのゴーストレストランとして「カップカレー」のみの取り扱いでスタート。その後長い構想期間を経て2018年10月にコミュニティ「6curryKITCHEN」を立ちあげ。現在は企業とコラボしたプロデュースイベント、企業のチームビルディングのためのワークショップ等も展開。
住所非公開会員制のコミュニティ「6curryKITCHEN」
・現在は恵比寿と、2019年10月にオープンしたばかりの渋谷の2店舗。
・人間関係が固定化してしまう大人にとって、今まで出会ったことの無い人と友達になれたり、ビジネスの生まれる場所。もともとはカレーを囲む団欒の場、第二の家族をイメージしていたが、新しい価値が生まれつつある。
・コルク考案のコミュニティマップ図を活用。

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・大切にしているのは「共創」。スタッフはもちろん、会員と一緒に6curryというブランドを創っていくこと。それによってACCEPTORからより中のCOMMITTERに近づけていくことで、熱狂度が上がる。
❸ロゴデザインのコンセプト
・当初のロゴカラーは水色。「カレーで革命を起こす」ことを狙いインパクトを重視。水色は、カレーのイメージである黄色やオレンジへのアンチテーゼ。
・店舗を構えるタイミングで、「カレー屋」ではなくもっと「混ざりあって、人と出会えて楽しい」というコンセプトを推していこうと決まり、現在のマークに変更。
・使用している6色は、1日の空の色、朝昼夜…をイメージ。一日のうちに変化する空のように、お店の空気もいる人によって変わり、カレーも入れる具材によって味が変わる。変化していくものにしたいという想いを込めた。

Tsumomahさん(以下、Tsumomah)「FLAT」

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❶自身が欲しかった場所を形にした「デザイナーのためのコミュニティ」
・フリーランス時代にコミュニケーションが不得意になり、自身の問題・悩みを集めてデザイナーの生態をリサーチ。そこから、デザイナーの人生に負荷をかけない程度に「場所」を作ろうと思いFLATを立ち上げ。
・基本デザイナー以外は入れないが、知っている人なら誰でもウェルカム。ただし、ターゲットである「デザイナーと話したい、繋がりたい人」にとって時間の無駄になってしまうため、場の純度を保つために観光客などはお断りをしている。経験や制作過程の思考など、誰かに話して残していく文化を作ることを意識している。

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❷「FLAT」という名前に込めた意味、デザインのコンセプト
・「ふらっと遊びに来れる」「人と人との壁がない」ことを意識。つまり「どんなにいけてるデザイナーも、どんなに初心者でも、同じ目線で対等にコミュニケーションがとれる場所」。
・今のロゴは三代目。耐久性を考慮し、何百年続いてもいいように制作。
・デザイナーがお客さんなためハイセンスなビジュアルでプロモーションを統一。
❸今後の展開
・一旦店舗としてのFLATはやめて、第2章がスタート予定。元々「デザイナーの街を作る」をテーマに第6章まで決めて始めたもの。現在既にオンラインスクール「PLAY THE DESIGNER」を展開中で、これに転職サービスを加えた3つを合わせて第2章として構想中。
・第1章ではデザイナーに「こういう場所があるんだ」と発見してもらったが、今後はより「デザイナーが今後生きていくためにどうしていったらいいか」のサポート体制作りにフォーカスしていく。ストラテジー、バー、企画プランニングなどチームを組んで推進中。

■コミュニティの熱量を高める仕掛け

それぞれのプロジェクトの狙いや現状が分かった所で、お二人がお互いに気になっていたことについて、それぞれ質問してもらいました。

Tsumomah:皆の「行ってみたい!」という気持ち、どうやって作っているんですか?
YOPPY:Twitterで「行きたいけど知り合いがいない!」という投稿があったり、6curryというワードが呟かれるとSlackに通知が来るように設定しているのですが、それを私たちがリツートすると、見かけた会員さんが「じゃあ一緒に行きましょう」と声をかけてくれたりします。6curryの会員になるためには、会員に招待してもらうか非会員でもいけるワークショップに参加するかの2種類しかないので、「行きたい」という声を可視化することと、行きたいと思ってもすぐ行けないということが重要だと思っています。
デザイナーとしては、即興でこういうチラシを作っています。

一千花ドリンク

麻婆豆腐キーマ

カレーの仕込みが終わるのが営業開始の30分前。事前に作っておくことができないので、営業開始30分前、ひどい時だと営業開始10分前などに盛り付けをしてもらい、出来上がったものをiPhoneで撮り、それをすぐ取り込んでチラシを作成しています。さらにそれをtwitterやInstagramにアップする。「美味しそうだと思っても行けない」という点も重要なので、時間がなくてもデザインには拘っています。

YOPPY:集客ってどうしていますか?盛り上がった企画はなんですか?
Tsumomah:お店も広くないので、今はあまりプロモーションしなくても満席になっています。ただ、お客さんが来始めたのは1年目の終わり頃で、その前は1日5人ぐらいで僕の友達しかいなかったんですよ。お客さんが増えたきっかけは、Twitterでちゃんと発信し始めてから。PhotoshopやIllustratorを使って画像をあげたり、エモーショナルな文章をnoteに書いたり、ラジオをやったり、YouTubeをやったりもしました。それでマインドの部分で共感してくれて、そこから繋がっているというのが大きいと思っています。
本当はイベントは一切やらないつもりで、取材や登壇も一切受けないスタンスだったんです。FLAT1年目に結構取材依頼が来たんですが、なんだかビジネス臭がして。そこから流れてくるお客さんが来た時に、中のお客さんが変わってしまうのが嫌だなと思っていました。デザインはお金を生み出す手段ではありますが、あまり“ビジネス”ぽくなってしまうのは違うのかなと。どちらかというと「デザイナーとして生きること」を考えてほしいし、FLATはそういう場所にしたいと思ったので、同じ方向を向いている人で声をかけてくれた人のイベントには参加するけど、そうでないところはやんわり断っています。

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■お客さんとの関係性の築き方

今でさえどちらも満席なことが多い2店舗。「行けない」という声をどう扱うか、限りある店舗の中でどういった方に来て欲しいのか…といった、今後のお客さんとの関わり方をどう考えているのでしょうか?

YOPPY:そもそも6curryのターゲットは決めていません。強いていうなら「スラッシャー」つまり肩書きを何個も持っている人。例えば私は「デザイナー/アートディレクター」で、Tsumomahさんも本業とデザインとFLATをやられていたり、そういう人が増えてきていますよね。複業をしていたり、新しい価値観に出会ってそれを自分に活かして行くのが好きな人をスラッシャーと読んでいて、そういった人達に来てほしいと思っています。
なので、そういう人たちが境界線を跨ぎやすいイベントをやったり、混ざるきっかけをデザインで作ることにチャレンジしています。例えば、6人の会員さんにサインをもらうとおかずが一皿タダになる「メンバーサインラリー」。顔なじみではあっても話したことがない、名前がわからないという人が多かったので、これを使って知り合い以外に声をかけようという企画で、とても反響が大きかったです。

Tsumomah:優しく「大丈夫だよ」と対応しすぎると甘やかしすぎになってしまう。「頑張れるよ、もうちょっとできるよ」というのをお手伝いするスタンスでいます。悩んでいる、どうしよう苦しい、週3日徹夜している…みたいな事の全てを救うわけではない。でもその中で行動したり、考えたりする時って、検索したり調べたりしますよね。そこで、例えば知り合いが行ったことがある、記事や投稿など発信しているものをみて気になっていたなどのきっかけでFLATを知ったらアクションに繋がるという仮説を持っていて、新規の人もほぼその流れが多いかなと思っています。

■“ブランド”はどのようにして作られるのか

アプローチの仕方を工夫することで構築してきた力強いコミュニティも魅力の6curryとFLAT。ではそのブランドをどうやって作ってきたのでしょうか?

YOPPY:ブランドって「ブランド作りました!」と言えば誰でも作れます。でも、それをコミュニティにして、さらに継続していくのは難しいと思っています。継続していくためには熱狂が大きくないといけない。6curryでも、会員になっても一定期間でやめる人もいます。忙しくてなかなか来れないので元が取れないからという理由もあると思いますが、この場で出会って、この場が楽しくて、この時間が好きで本当にいいと思ってくれる、「EXPERIENCE THE MIX」に共感してくれている人だけが残ってくれたらいいと思っています。そうすると熱狂の純度が高まるのでCOMMITTERが広がっていくし、COMMITTERの友達には巻き込まれる。私は熱狂が高いと勝手にブランドになっていくと思ってます。
最近、会員数が増えすぎて「混ざる」という行為がちゃんと出来ていない時もあったんです。それを会員さんから指摘されて。UXのコンセプトが「EXPERIENCE THE MIX」なのに、それが出来ていないということはコミュニティとしては失格。じゃあ、より混ざれるようになるにはどうしたらいいかとすぐに話し合い、水曜日を会員限定デーにしました。人が増えすぎるとコントロールが難しくなるので、ルールを新たに設定したりしています。
そもそも「6curryKITCHEN」は、カレーを食べて帰るだけの場所ではなく、ここへきて誰かと混ざることが大事なコミュニティ。なのでカウンターの中へ誰でも入れるようにしているし、ポップアップショップ等で毎日違う店長に立ってもらったりもしています。気になっている人たちに新しいミックスをしてもらったり、会員さんにも新しいミックスが生まれたり、そういうことは期間限定でこれからもやっていきたいなと思っています。

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■お客さんから、共創するチームへ

共感してコミュニティに集まってきたお客さんとの絆は、いつしか「スタッフとお客さん」から形を変えていき、共創するチームへと変わっていきます。

Tsumomah:一人を除いてバースタッフは全員デザイナーです(2020年1月時点で全員デザイナーになりました)。もともとその人たちも全員FLATのお客さんだったんですよ。以前スタッフを募集してみたら、いいなと思う人たちとマッチして。デザイナーの集まるバーなので、何かあったときにバーテンダー兼デザイナーが悩みを聞いてくれたり、それが友達だという環境はとてもいいなと思っています。半数くらいが一人で来る新規のお客さんなので、バースタッフが最初に声をかけてコミュニケーションをとります。ただ僕の中で「奇数のお客さんに声をかける」というルールがあって、1人/3人/5人のお客さんには積極的に声をかけ、偶数のお客さんには触れないということをスタッフにも言っています。奇数だと2人が話しこんで1人があぶれる可能性があるので、そこをスタッフが拾っていくんです。

■店舗運営・経営として大切にしていること

コミュニティとはいえ、事業として経営していくという側面は必ずついてまわります。エリアの選び方、店舗毎の差別化などどのようにしているのでしょうか?

YOPPY:恵比寿と渋谷で店長がいます。恵比寿はあやちゃん、渋谷は一平ちゃん。まず渋谷は、オープンしてすぐの時期は食をテーマにイベントを企画していて、「世界と繋がる」をコンセプトにエジプト料理のカレー企画もやりました。カレーの提供内容も違いますし、イベントの内容も変えています。空間的には、恵比寿は半分オフィスなので色んな意味で飲食店ぽさがなく、カーブのカウンターが特徴。渋谷は恵比寿より1.5倍くらい広く、カウンターも横長い。入口と出口のドアが違ったり、生ビールとハイボールが飲めるMIX STANDがあったりなど、恵比寿と渋谷で空間の使い方が全然違うので、おのずと雰囲気が変わります。
実は、会員の権利も状況に応じて徐々に変化しています。最初は「カレー一杯無料」は恵比寿か渋谷どちらかの所属している店舗だけにしていたんですが、「気になるイベントがあってもなかなか足を運べないので、どちらにも共通で行けるようにしてほしい」と会員さんからの声があり、「どっちの店舗に行ってもOK!」という形に変えました。その時の状況によって変わり続けていくのではないでしょうか。

Tsumomah:今後も今の形態で店舗が増える予定です。今京都でテストをしていて、それは僕はノータッチ。FLATのブランドやルールを伝えて、好きにやっていいよという形です。FLATというよりは、FLATみたいなバーを作るからどうしたらいいかという感じですね。FLATの第2章も、店舗を持たずに今のように間借りでやろうと思っています。東京だと上野と渋谷、三軒茶屋など、埼玉だと大宮、千葉だと柏など、関東を転々とする感じで。もともとは渋谷辺りに作りたかったし、その方が儲かるとは思いますが、今はそうではなく、本当にFLATを好きだと思ってくれる人と話したいというモチベーションを信じて、東側に行ったという感じですね。

■お二人の「#私はこんな仕事がしたい」

最後はこちら。このイベントのテーマ「#私はこんな仕事がしたい」についてお聞きしました!

YOPPY:これはずっと前からの自分のモットーなんですが、ワクワクする仕事しかしないと決めています。自分がワクワクする仕事じゃないと熱量を持って仕事ができないし、デザインの仕事で作ったもので誰かをワクワクさせたいんです。ワクワクをたくさんの人に届けられる仕事をしたいと思っています。
今ちょうどやっているのが6curryでプロデュースしているグッズの部分。1月末に色々と情報解禁を控えているので、みなさんの反応が楽しみです。

Tsumomah:僕の仕事のモットーは「愛と情熱とユーモア」。ちゃんと愛が生まれるか、ちゃんとこの人とリスペクトしあえて助け合えるか。そういう人たちとやれるんだったら、色々なことをアイディアを出し合って突き詰めていけるんじゃないかなという情熱。愛と情熱があればいろんな制限があってもそれを飛び越えられると思っていて、そういうモットーでお客さんもパートナーさんも選んでいます。
あとは、今すごくタクシードライバーをやりたいなと思っていて(笑)。タクシードライバーをやって色々な人の悩みを1000人分ぐらい聞いて、悩み事TOP1が200人ぐらい共通していたらそのサービスを作ろうかなと思っています。

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「#私はこんな仕事がしたい展」で行った8つのトークセッションについては、順次不定期にレポートを更新していきます。残りの5つのセッションもお楽しみに!

Text:Shiho Nagashima

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