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「劇場版おっさんずラブ」の地上波初放送を終えた今、熱烈なファンがおっさんずラブの今後について考えてみました。

先日『劇場版おっさんずラブ』が地上波で初放送されました。そしてその視聴率が4.5%だったことに、私は少々驚きました。しかしこれでこのコンテンツについて少しわかったことがありますので、今後について自分なりに考えたことをnoteにまとめてみました。これは先にTwitterのフセッターにて発表していたものに加筆修正したものです。また、こちらは『劇場版おっさんずラブ』の続編についての展開を念頭に置いての文章となっておりますので、天空不動産好きの方向けとなっております。


2020年8月2日、『劇場版おっさんずラブ』が地上波で初放送されました。地上波初放送、実に楽しかったです。お祭り気分で楽しむことができました。しかし大人気の『半沢直樹』と同時刻からの放送で、『半沢直樹』がどんなに強いと言っても『劇場版おっさんずラブ』(以下、『劇場版』と略します)の視聴率が4.5%というのはちょっと予想外に低く、少々いや大分がっかりしました。

視聴率が伸びなかった理由について考えると、同性同士の恋愛というテーマが多くの人に受け入れてもらいにくい、という前提以前にもしかしたら連ドラからの視聴者以外にはあまり広がらなかったという結果なのではないかと感じました。ちなみに今回の視聴率4.5%は2018年のドラマ視聴率(平均4.0%)とほぼ同じとなります。

ここで補足説明として2018年おっさんずラブドラマの視聴率と視聴熱(2020年3月31日廃止)をまとめたグラフを添付します。当時おっさんずラブは視聴熱の指標が抜群に高いことでも注目されました。視聴率は低いけれども視聴者の熱は猛烈に高いということがこのグラフから読み取れます。

視聴熱(しちょうねつ)は、『ザテレビジョン』がSNSや独自調査を集計し、今熱い番組・人物・コトバからテレビの流行に迫る新指標。2016年12月からスタートし、デイリー、ウィークリー、リアルタイムとポイント数でランキングを紹介している。(Wikipediaより)

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今回地上波で初公開された劇場版は興行収入が26億を超えた昨年のヒット映画(下記リンク参照)であり、もう少し多くの視聴者が見てくれることを期待しましたが、映画はドラマの続編であり、本編のドラマを見ず、いきなり映画版を見るのはなかなかハードルが髙いと思いましたので、この視聴率は当然なのかもしれません。


ちなみに視聴率4.5%といういのは低い数字だとは思いますが、4.5%の視聴率での視聴推定人数を下記の参考情報を元に計算すると、4.5 × 118万人= 531万人 となります。ざっくりと兵庫県の人口547万人と同じくらい。
もちろん異論の多い家庭ですが、このように仮定すると、それだけ多くの人が見てくれたことに、私は意義がある気がしてきました。

<参考>
1%あたりの推定人数を掲載していたのはNHK放送文化研究所による「テレビ・ラジオ番組個人視聴率調査」のみ。平成18年6月調査では、1%あたり、全国7歳以上の国民約118万人とある。また『現代用語の基礎知識 2006』のNHK全国視聴率調査の項には「1%は7歳以上の国民110万人とある。

2 ただし、藤原芳紀『視聴率の謎にせまる』によると「1%は110万人」を人数換算して○○万人が視たとは言えない、とされている。

さて、話をもどします。
劇場版の視聴率が4.5%だったということで、このコンテンツは一部の熱狂的な信者(私ですね(-_-;))向けであり、あまり一般視聴者にはうけていないのでは、という風に感じている人が多いのではないかと思います。
私もそのように思っていました。しかしながら、調べてみるとそうでもないのではと思えてきました。


私がずっと気になっているのは、26.5億の興業収入を支えたのは一体誰なのか、ということです。

そこで、異論はあると思いますが、興業収入の内訳をざっくり勝手に計算してみました。

<前提条件>

①コアなファン数= 8.7万
2019年9月26日の公式のツイート(春田と牧が空に指輪をかざす写真のツイート)に対して反応したイイネの数からコアなファンを87,000人と仮定。

②チケット平均価格 =1,360円

下記のテレビ朝日社長会見で示された数字より算出しました。
2,604,820,000円 ÷ 1,914,671人 = 1,360.45円
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テレビ朝日社長会見(11月26日)「11月25日までの動員数191万4,671人、興行収入26億482万」

③コアなファンの平均鑑賞回数= 5回と仮定

以前Twitter上でおっさんずラブファンを対象に非公式アンケートを実施された方がおりました。そのアンケートによると、参加した方の平均鑑賞回数は7.5回以上になるようでしたが、アンケート回答数(約2,500)と①で前提といているファン数87,000人に大きな違いがあるため、それ以下の5回としました。同じ映画を2回見に行けばコアなファンである気もしますが、中には50回以上劇場に通う方もいらっしゃいましたので5回としました。根拠に出来る数字がなく、申し訳ありません。

ということで①と②と③を掛けてみます。

まずはコアなファンが生み出した興行収入を計算します。
87,000人 × 1,360円 × 5回 = 591,600,000 円。  約5億9千万でした。

次にこの前提に基づいた場合のコアなファンによる動員数を見てみましょう。
87,000人 × 5回 = 435,000人 となります。

この数字を元に考えると、全体の興行収入・動員人数の中でコアなファンが貢献している部分は22%となります。

劇場版おっさんずラブ観客について

そうすると残りの78%(金額で言えば約20億、動員数でいうと150万人)はコアではない人達が見に行ってくれた数字なのだと推測できます。

この人たちはコアではないけれどもおっさんずラブ2018年のファンの方やその周囲の方々だと思います。
そんなコアではないファンが100万人以上いる(私の仮定であれば150万人いる)ということは、やはりおっさんずラブはコアなファンだけでなく、多くの人の心を掴んだのだと言えると思うのです。


私は劇場版を30回以上見に行っているコアなファンになります。
私が求めているものは春田と牧の穏やかな生活を描いてくれるような作品です。私がTwitter上で見ていると、コアなファンの多くは私と同じように春田と牧の二人が送る日常や周囲の方々との交流など二人を中心とした世界の物語を見たいと思っている方が多いように感じました。

しかし、そう希望しているコアなファンはおっさんずラブファンの中ではマジョリティではないのかもしれません。なぜなら劇場版を見に行ったのは多くの方は一般のおっさんずラブファンだったからです。
このような数字を出してしまうと、『劇場版おっさんずラブ』に対して『私たち熱烈(コア)なファンが支えた私たちの映画』という位置づけができなくなってしまいます。そのことに対しては内心残念な気持ちもあります。

しかし、私が予想したよりも多くの人が、100万人以上の普通のおっさんずラブファンの人たちがこの『劇場版おっさんずラブ』を見てくれた、ということは、それはそれで本当に嬉しいことだと心から思うようになりました。『私たちの映画』ではないけれども『みんなの映画”おっさんずラブ”』だったのです。

そして『おっさんずラブ』を愛する多くの人たち(普通のファン)は、春田と牧の日常生活やふうふとしての歩みの部分と同時におっさんずラブが最初から示している“秀逸なコメディ”の部分も求めていると思うのです。

劇場版を映画館で見ると、一番笑いが起きるのはサウナのシーンやうどん屋での部長からジャスへの突っ込み、春田を助ける前の部長と牧との小競り合いなどコメディパートでした。劇場版を見に来ていたご夫婦、友人同士やカップルの皆さんはたいていサウナやうどん屋のシーンで大爆笑していました。
コアなファンが好きなシーンとは違うのです。
劇場版でどこが好きかと聞かれればサウナのシーンを上げる人は多いと思います。劇場版のこのコメディ部分を楽しみに映画館に足を運んだ人も多いと思うのです。

したがって、制作陣が劇場版おっさんずラブで目指したコメディとラブの融合路線は間違いではなかったのだと言えると思います。
また、今後もその路線を取ることで広く多くの視聴者に楽しんでもらえることとなるのだと思います。

その路線は私のようなコアなファンが望むものとはちょっと違うかもしれない。
しかし、そもそも多くの視聴者がつかなければ、今の4.5%の視聴者をキープしつつ新しい視聴者を獲得ていかなければ、続編の制作は難しくなるのだと思います。
したがって私はもし続編が制作される際は、コメディパートを含むべきだと思います。

ただしコメディパートの部分には注意が必要です。時代はどんどん変わっています。出演者をやりたい放題にさせたり、内輪受けのような笑いを求めたりするのではなく、コンプライアンスに配慮した秀逸なコメディを目指して欲しいと思います。製作陣にはそれができると信じています。

そして、それと同時に制作される方には全体から見れば少数かもしれないけれども“極めてコアな視聴者”への目配りを怠ってほしくないと思います。
この“極めてコアな視聴者”がコンテンツのもう一つの柱である物販などへの購入、熱心な宣伝を支えているからです。
ちなみにこの極めてコアな視聴者ですが、劇場版を視聴した全体数から見たら少数かもしれませんが、一般的に考えれば実はびっくりするほど多い人数なのです。

2018年オリコン年間ランキングでドラマDVD / BD年間ランキング1位を取った『おっさんずラブ』のDVD / BDボックス販売数は合計で4.5万枚です。ここで示している極めてコアな視聴者が仮に87,000人だとすると、一人1枚ずつ購入した数字よりも少ない枚数でオリコンの年間1位なのです。

他のコンテンツではこれほど多くの“極めてコアな視聴者”を得ることは難しいと考えます。しかもコアな視聴者はドラマから2年たった今でもまだ多くが残っているのです。

話は少しずれますが、劇場版の地上波初放送の時もこの“極めてコアな視聴者”が放送を見ながら熱心にツイートをすることで放送を盛り上げました。コアなファンはそれぞれが私設応援団となることで、視聴率で5倍程度差がある『半沢直樹』の倍のツイートを発する結果を残しています。

したがって、この“極めてコアな視聴者”への目配りを十分にすることで、おっさんずラブはますます有益なコンテンツとなるのです。

“極めてコアな視聴者“である私の希望としては、今後作成されるであろう(信じています)続編では、コメディとラブの配分について十分に配慮して欲しいと願います。一般のファンが望むコメディパートをたっぷり取ることと同時に、春田と牧がその後ふうふとして成長していく姿をじっくり描くことに真摯に慎重に取り組んで欲しいと強く希望します。もちろんその際は専門家の監修も受けて欲しいと思います。このコンテンツの持つ影響力を考えれば、慎重になってなりすぎることはないと思います。これは私見になりますが、劇場版では爆発やアクション、コメディの部分が多く、ラブの部分(春田と牧のふうふとしての日常を描いた部分)が少なかったように思います。ラブの部分をしっかりと描いてくれることでコアなファンの気持ちもつかむことができると思います。

ここで気づきましたが、コアなファンである私が希望し一般のファンの多くも満足する内容、というのはおっさんずラブ2018ドラマと同じようなラブとコメディの配分、内容になる可能性が高いのかもしれません。そうすると、ここまで書いてきた内容はなんだったのだろう、と徒労にも襲われますが…(-_-;) 

とにもかくにもおっさんずラブというコンテンツはまだまだ終わっていません。
既にものすごい数の熱い、強い、固定ファンを持っているコンテンツです。そして100万人以上のファンがわざわざ映画館に足を運んでみようと思うほどのコンテンツです。今後もすでに得ているファンに加え、新しい視聴者を増やしていくことで、制作側も十分利益を得られると思いますし、テーマが持つ重要性から社会に与える影響も大きい作品です。このまま終わらせるのはもったいないと思います。
コアなファンとしては、何年でも待ちますので天空不動産メンバー全員の続投、なおかつ難しいテーマに愛とコメディを持って正面からぶつかるような続編を制作してくれることを心から願っております。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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