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29歳-29 地球発、地球行

 この写真はパートナーの撮ったもの。冬の中に春が忍び込んでいて、フィルムカメラで撮ると、その光はとても柔らかい。今回の投稿が今日の分。ヤノマミの本を読んでいて、森の理という表現が出てきた。ヤノマミの男性は死んだら白アリになるとされているようだ。そしてヤノマミの女性たちは、子どもを産んだ後に精霊として森に戻すか、人間として育てるか決める。その際に、胎盤、あるいは胎児すらも白アリに食べさせる。白アリはまた、雨季に巣が水に浸かってしまうこともある。森を食べ、森に食べられる存在と書かれていた。
 人間もそうだ。地球を食べ、地球に食べられる。エントロピーは増大していって、いつか個体でなくなり、そうすると分子に戻っていく。それこそが地球である。だから死はないとは思わないけど、恐れることではなく、地球から生まれたのだから地球に戻らなくてはならないんだ、とそういうことなんだと思った。
 また同じ話だけど、戻る時に、どれだけ思い出を作っていられるか、生と死という巨大なシステムの中にはいるけれど、それ以外のシステムからいかに冒険に出られるか、創造主体であり続けられるか、ということになるのかな。沢木耕太郎がルポライターを辞めて旅に出たのも、やっぱりシステムの外に出た創造主体であり続けたかったからなんだろうと、いま思った。

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