#390【他社本研究】『佐久間宣行のずるい仕事術』(佐久間宣行・著)
このnoteは2022年5月10日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
人気プロデューサー・佐久間宣行さんの企画術は勉強になる
今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、今井佐和です。本日は「他社本研究」ということで、『佐久間宣行のずるい仕事術』をテーマにお送りしたいと思います。本日は編集部の森上さん、寺崎さんにお越しいただいています。よろしくお願いいたします。
森上・寺崎:よろしくお願いします。
今井:本日はAmazonランキングでも1位になっていて、とても売れているという『佐久間宣行のずるい仕事術』がテーマなんですけれども、こちらを選んだきっかけなどはありますか?
森上:そうですね。私のほうで選ばせていただいたんですけども、元々佐久間さんのファンで、テレビ東京プロデューサーだったのが独立されて、今はフリーでやられています。私は佐久間さんのラジオ番組「オールナイトニッポン」の二部(毎週水曜深夜3時~)のリスナーで、彼の番組も観たりとかしていたのでとても興味がありました。
今回、ビジネス書が出されたので、さっそく読んでみました。正直、ビジネス書をつくっている人間からしたら、もう少し個人的エピソードやノウハウを盛り込んでほしかったなっていうのはあるんですけどね。概念論が結構多かったのが、ちょっと個人的には物足りなかった印象です。ただこれ、めちゃくちゃ売れているんですよね。発売されたのが(2022年)4月6日ぐらいで、今(2022年5月10日)、8万部ぐらい売れているっていうので。もうすぐに10万部くらいの勢いです。
今井:「発売5日で8万部突破! 完売店続出!」という口コミが。
森上:著者のアナウンス力とかもすごいと思うんだけど、それだけじゃないものがあるんだろうなと。で、この中で1番おもしろかったのは第5章かな。
寺崎:企画術編?
森上:そう、企画術編。これがやっぱり1番おもしろい。実際に企画書を公開しているのよ。
寺崎:これはおもしろいね、企画書公開。「泣いて、カリフォルニア」。
今井:「泣いて、カリフォルニア」(笑)。
森上:それが『ナミダメ』っていう番組になったっていう企画書なんだけど。我々も企画書をつくって企画を立てる身なので、発想法とかはすごく参考になりましたね。この企画術、いろいろあるんですが、我々と同じような発想をしているところもあれば、テレビならではのものもあって、そこはすごく参考になりました。
今井:ちなみに、どんなところが出版とは違う企画の考え方だなぁって思われましたか?
森上:出版とは明らかに違うなと思ったのが、社内的な話にもなるかもしれないけど、社内で企画を通すために「自分のキャラを利用しろ」って(笑)。テレビ業界って、意外と企画者のキャラって大事なんだなっていうのがわかりました。出版の世界は、そういうのって関係ないじゃないですか。
寺崎:そこまではないよね。
森上:うん。組織で企画を通すためには、自分のキャラっていうのを確立しないと。
寺崎:“社内で”っていうことね?
森上:そういうこと、そういうこと。そこは明らかに違うなと思った。
今井:エンターテインメント業界ならでは、って感じがしますね。
森上:そうなんですよね。だから、この方でいえば、「=バラエティ」みたいなところで、仕切りがうまいとか、そういうキャラが社内でちゃんと作られているらしいですね。だから、そういう企画に関しては、彼に任せようみたいな、そういう方向に持って行く。もちろん彼自身のキャラづくりもそうだし。企画書の内容プラスαっていうのが相当あるのかなと。でも、出版でもあるのか。こういう案件だったら、この人みたいな……。そのジャンルや案件で、いくつか結果を出していれば、その人の企画は信用され、通しやすくなる。
寺崎:ちょっと色が付いちゃう部分はあるよね。企画者の属性が。
森上:そこは多少あるか。
寺崎:多少あるよね。それに関係するなと思って、ちょっと気になったのが、この「ダラダラ負け続けない」っていう。
森上:はい、はい。
寺崎:「失敗を恐れすぎてはいけないが、失敗に鈍感になるのは企画者として致命的だ」と。「薄くダラダラと失敗を続ける人は損切りができない人」だって(笑)。
森上:(笑)。
寺崎:耳が痛いところですね。
森上:この第5章の企画術は本当に面白いよね。「企画を立てるためにインプットし続ける」とか、その辺りは共通するものがあるし、「企画書はラブレター」とかね。この「企画書はラブレター」は、ラジオ番組コーナーで実際にやっている企画です。「ターゲットをどう設定するか」とか、そのあたりはすごくおもしろかったですね。おもしろかったというか、共感できることとか、参考にできることがたくさんありましたね。
寺崎:そうだね。この5章は俺も気になるな。「企画書は出すものではなく、通すもの。その企画書を誰が読むのかを意識する」
森上:だから、ここは社内っていうのが相当ハードルというか、ちょっとテレビと出版で違うなと思ったね。うちとの違いなのかもしれないけど。
寺崎:テレビ番組の企画を通すって出版よりも結構大変かもしれないね。
森上:投資額が違うからね。
今井:しかも、スポンサーとかもかかわってくるから、状況も違ったりしますよね。
寺崎:確かに。
なぜ「ずるい」なのか?
森上:そうですね。あと、これ、なんでタイトルが「ずるい」なのかと言うと……。
寺崎:俺もそれ気になった。
森上:そう。俺が読む限り、この方は22年間テレビ東京にいて、その組織の中で、「自分らしく生き抜いていくための術」っていうのを結構書かれているんですよね。
寺崎:“クレバーな”っていう意味なのかな? ずるいっていうのは。
森上:そうだね。そこでちゃんと自分のキャラとか、立ち位置とか、やりたい事を通すために確立していく。だから、普通の一般の会社の中で、どういうふうなポジションを取るかとか、そういったところには参考になるんじゃないかなと思うんですよね。ただ僕は最初に言ったけど、批判しているわけではないんだけど、あまりにも概念論が多すぎると言うか。具体的な佐久間さんならではのエピソードをもっとバンバン入れてほしかった。それを知りたかったなっていうのが結構ある。
寺崎:それを企画したら? 佐久間さんが著者で。
森上:それはそれで、ちょっとあれだけど(苦笑)。そこはちょっと気になった。エピソードがあるのか、ないのかはわからないけどね。もう少しエピソードが欲しかったなっていう。あと、佐和ちゃん、これね、普通の紙の本で終わってなくて、新しい試みを今回はされているんですよ。
今井:そうなんですか?
森上:そうなんですよ。これは実際に僕もまだ入手できていないんですけど、トーハンさんとメディアドゥさんとダイヤモンド社の3社でやっているものなんだけど、「NFTデジタル特典付き特装版」っていうのを出しているんですよ。
寺崎:NFTを?
森上:NFT。NFTって、今はアートでいろいろと売り買いしているじゃない? そのNFTを使ったデジタル特典。そのデジタル特典で興味があるのが、デジタル生企画書。
寺崎:興味あるね。
森上:これ、ちょっと興味あるじゃん。佐久間さんファンにとっては、貴重だと思うんだけど。あと、なぜかお宝写真っていうね。著者フォト。
寺崎:(笑)。
森上:ちょっと入手してみないとわからないけど、NFTなのかっていう。定価は決まっているんだよ、これ。通常版の僕が読んだ単行本は1500円で、税込みだと1650円なんですよ。で、NFT特装版は1980円で、別のISBNを使って売っているのね。
寺崎:NFT版はどこのマーケットプレイスで買えるんですか?
森上:「FanTop」っていうところで使って、マーケットプレイスでやっているらしい。
寺崎:そこは円で買えるんだ。
森上:円で買えるんだと思う。
寺崎:なるほど。
森上:円で表示されているから。でも、本来のNFTとはちょっと違うよね?
寺崎:ただの電子特典なのかなっていう。
森上:そうだよね。だから、グラビア写真集のオフショットを販売している感覚と同じだよね? 集英社とかが。本来のNFTとはまた違うような感じがするんだけど、こういうちょっと新しい取り組みをしているんですよ。
今井:NFTっておもしろいですね。
森上:そうなんですよ。NFTを使ったデジタル特典。ただこれはアマゾンでも買えるみたい。アマゾンでもう1つの単行本という形で……。でも、値段はいつも変わっているな。今朝見たら3900円だったけど、今は2677円……。
寺崎:じゃあ、それがマーケットプレイスになっているんだ。
森上:マーケットプレイスで売られているのか。そういうことか。まあ、そんな感じですかね。そんな本です。ちょっとおもしろい取り組みをしているなということで、注目して買いました。ダイヤモンド社さんの『佐久間宣行のずるい仕事術』でした。
今井:ありがとうございます。URLを貼っておきますので、ぜひリスナーの皆さんもお手にとっていただけたらと思います。本日は森上さん、寺崎さんにお越しいただきました。どうもありがとうございました。
森上・寺崎:ありがとうございました。
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