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場を共有することの大切さ

私は、フットスタイリストとして仕事をしていますが、その一つがシューズクリエーター=オーダー靴を作ること。

カウンセリングをして、その人の好みやライフスタイルを言葉のキャッチボールの中で情報を集め、それから、採寸して、木型を用意し、デザイン、パーターン、革の裁断、縫製、釣り込み(木型に革を被せ形作る)、底付、仕上げを行います。

細かいことを言えば、一度サンプルシューズを作り、デザインとフィット性を実際に履いてご確認いただいてから、再度、本番の靴を作るので、2度(時によっては3度)本番が仕上がるまでに作ります。

全て手作業ですし、より履き心地の良い靴を作るために、実際作業に取り掛かる前に、あ~でもないこ~でもないと、考えますので(足の状態によっては、夢の中でも考えている)、想像以上に時間がかかります。カウンセリングとフィッティング、お渡しの時の最終フィッティング以外は、ずっと一人で黙々と作業をしています。

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そして、靴作りにおいて、私のもう一つ楽しみにしている仕事があります。それは、靴作り体験ワークショップの開催。自分の手で靴を作ることが出来ることを知っていただくために、年に2度ほど行っています。

自分の服やルームシューズを作ったことのある方は多いと思いますが、外に履いていく靴を作ったことのある方はほとんどいらっしゃらないと思います。開催しているワークショップは、自分で靴が短時間で作ることが出来るとあって、おかげさまで大変人気があり、毎回、申し込み受付スタート後、数時間で満席になります。

雑巾が縫える程度の作業が出来る人であれば、誰でも出来るように用意をしておき、当日は、皆さんにおしゃべりしながら楽しみましょう!とお声をかけるのですが。それでも、実際始めると、最初はおしゃべりが途切れることのなかった皆さんが、いつの間にか無口になり、作業に集中し、時間が経つのを忘れてしまうのです。たとえ、名店のお菓子やお茶を用意していても、目もくれず・・・。

時には失敗もあります。しかし、その失敗が、仕上がった時には、味のある作品に変化します。これが、手作りの良いところ。最後に中敷きに自分のネームや思い、イラスト等を焼き入れて、世界に一つの靴の出来上がり!

参加者みんなで、各自が作った靴を履いて、一緒にポーズをして写真を撮ったりしながら喜びを分かち合い、労う・・・この瞬間が一番素晴らしい時間なのです。

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今の時代に遅れているのでは?と思われるかもしれませんが

今現在、緊急事態宣言が発令され、開催予定をしてたGWの靴作りワークショップは延期にしました。作ることを楽しみにして下さっていた方々のために、キットを作って、希望者に送り、オンラインレッスンすることも可能です。しかし、ワークショップの良さとは、時間と場所を共有し、それぞれが集中して情熱を傾けて作り、苦労と喜びを共有するというところにあると私は思っているので、今のところzoomなどを利用した靴作り講座は考えていません。

あ・・・でも、友達とのzoom飲み会は企画したりしているのですよ。決して嫌いというわけではありません。

早く、この事態が終息して、真剣さと喜びをその場で感じられるワークショップが開催できること。これが、私にとって一番の楽しみであり、幸福な時間なのかもしれません。今は、この待ち遠しいという気持ちを大切に stay home してオーダー靴作りをコツコツと。



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