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日系大手食品メーカーは、フードテックの世界でどのように戦っているのか?

今回は食品のビジネス的なお話です。
皆さま、フードテックという言葉をご存知でしょうか?Food とTechnologyを掛け合わせた造語で、スマート調理家電、eコマース(電子商取引)、3D調理プリンタ、培養肉などがフードッテックの領域だと言われています。

昨今では起業コストが低下している等の要因から、スタートアップが急増、日本でもフードテック・ベンチャー企業が革新的なビジネスを展開しております。

これらの記事を見て、こんな事思った方いるのではないでしょうか?

「おいおい、大手食品メーカー大丈夫か??」

私も思ってます(笑)
今回はわかりづらい「フードテック」と言われる分野に対して、日系大手食品メーカーがどのような対応を行なっているのか、という事を、私の知識の範囲内で書いてみようかと思います。

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さて、野村総研によれば、フードテックのサービスは以下の5つに分けることができます。

① 業務効率化・業務代替(AI、IoT、ロボットなど)
② パーソナライズ化(AIによる嗜好性分析など)
③ 流通プラットフォーム(Uber Eats, Amazon.comなど)
④ 生産・製造革新(3Dフードプリントなど)
⑤ 次世代食品(代替肉、培養肉、完全栄養食品など)

出典:野村総研

大手食品メーカーが得意とするのは、1、3の分野です。なぜなら他と比較して期待収益が計算しやすく投資案が通りやすい、大規模経営との相性が良い、外注しやすい等の理由があるからです。故に、上記の業務効率化・流通プラットフォームという分野にいたっては、大手企業も結構な割合でフードテックを活用していると言えるでしょう(多くの人が想像するフードテックとは少し異なると思いますが・・・)。

ちなみに、のIoTの例はこちら。

生産計画、購買、在庫管理、品質管理、検品などが全工場一元管理・可視化されるシステムのようです。食品メーカーって、大手でも各部署でデータを属人的にエクセル管理していたり、管理システムがあっても購買はコレ、生産計画はコレみたいに細かく分かれちゃってたりするんですよね。

これらを一元管理する事で、業務効率化やミスの予防に繋がり、作業者が家に帰った後「やば、作業ミスしてたかも・・・」みたいな心理的ストレスも緩和されるようですね。

僕も翌日納期の開発品を忘れて帰ってしまった事があり、夜中に家で絶望した経験があるのでぜひR&Dにもこのシステム導入して欲しいですね・・・泣

さて、の流通プラットフォームに関しては言うまでもないですね。Amazon.comの流通網の凄さは誰もがご存知だと思います。日系企業だと三菱商事とNTTが「産業DXプラットフォーム構築」で業務提携を発表、食品流通においてもAIによる需要予測、流通プロセスの最適化により食品ロスを大幅に減らすことが期待できます。同様に、三菱食品も下記のようなデジタル戦略を発表しております。

多くの皆さんがフードテックとしてイメージしやすいのは、2、4、5の分野ではないでしょうか?食のパーソナライズ化、3Dフードプリント、培養肉など、胸熱なワードばかりです。この分野に大手食品メーカーはどのように取り組んでいるのか?

答えを言ってしまうと、2、4に関しては日系大手食品メーカーは現状ほとんど自らの手は動かしていないと思います。3Dフードプリンターに関しては、一部投資している企業はあるかも知れませんが、日系食品メーカーが自ら開発しているという話は知りません・・・アプリなどを利用した食のパーソナライズ化に関しては大手でも可能な分野だと思いますが、実際に利用している大手食品メーカーが思い当たらない・・・。でも我々が利用するクレカやポイントアプリのデータなんかも、意味合いは変わるけどパーソナライズ化に紐づく情報だよな、とも思います。

さて、最後にの次世代食品はある意味食品開発の延長みたいなものなので、日系大手食品メーカーも活発に行っております。

私見ですが、多くの大手食品メーカーは、初期投資や開発はベンチャー企業にやらせて、市場が温まってきたタイミングで買収、もしくは市場参入して顧客を奪えば良いので焦る必要は無いよね〜、という考えが多いように感じます(勿論、事業分野によりますが)。

また、最近流行っているのがCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)などを介して早期からベンチャーに投資を行い、事業に参画するパターン

大手企業は利害関係者が多くスピード感のある意思決定が苦手です。事業黎明期の、ひたすら量をこなしトライアンドエラー、というのは身軽なベンチャー企業の方が得意です。代わりに大手はベンチャー企業にとって最も困難である「資金調達」を援助してくれるので、win-winの関係になりますね。

ただし、これはあくまでお互い利用しあっている「ビジネスの関係」です。ベンチャーマインドと大手の事業拡大・利益追及型マインドは基本的には相入れません。

以上、長くなってしまいましたが、本日は日系大手食品メーカーはフードテック業界で、どのように戦っているのか?というテーマで書いてみました。


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