料理人の本懐
まず料理人とは
私たち料理人は様々なカテゴリーに分かれている複雑な業界に身を置く職人です。
もちろん三ツ星レストランから街の居酒屋まで技術の高低はあるかもしれませんが、みんながみんな卓越した技術を身に着けようとする「職人」の世界だと思っています。
私はフランス料理を専門に仕事を行っています。
フランス料理は調理工程や取り扱う食材の相性から料理の中でも極めて難しいジャンルだと言われますが、実際に和食も中華も極めるためにはとても難しいし、1番を決める基準は昔の人のエゴだったと思っています。
そうやって日々食材と向き合いその調理工程を毎回疑い見直し、その日ごとに工夫をしている職業が「料理人」です。
なぜ料理人になったの?
その人が料理人になった理由は実に様々です。
・美味しいものを食べるのが好きだから
・病気になって食に対する考え方が変わったから
・親が料理人だったから
・昔見た料理人のドラマがかっこよかったから
などなど、、、
人にはいろんな理由があり、大体の人が専門学校に入って調理技術の基礎の基礎を学び、卵として私たちの世界に足を踏み入れます。
将来的には「グランメゾン東京」を見て!!という料理人も出てくるかもしれないですね。
出てきてほしい!!
ではこの料理人という職業、ほかの視点から見てみませんか?
なぜ料理人という職業がうまれたの?
正直詳しい理由はわかりませんが、それでも少し歴史の話を個人的な想像も踏まえて話します。
昔、料理人という職業がなかったころでも「おふくろの味」は存在していましたし、みんな日々生きるために食事はとっていました。
おそらく料理人という職業が出来る前に「立場」が出来たのだと思います。
高い身分、低い身分ということです。
高い身分の人のところへはお金が集まるシステムが構築され、それが王や殿など各国で様々な呼び名で呼ばれる人間が誕生しました。
その少し後に、料理人は誕生したと考えます。支配する人の飯炊き係として誕生した料理人は日々生きるか死ぬかの瀬戸際で上に気に入られる食事を作っていたと思います。
作らされている、自発的に作っているの差は人ごとにあったかもしれませんが、自分ではなく人のために料理をしていたのは考えるまでもありません。
さてさて料理人の本懐とは
これから導き出されるのは、料理人は本来、自分のために料理をしていたわけではないということです。
料理人は元来誰かのことを想って(立場上強制されていたかもしれないが)料理を作っていました。
その人がどんなものを求めているのか、どんな味が好みなのか、どういったものが苦手なのか
そこに注意を向けて、同じ食材でも調理工低や味付けに工夫を加え一品一品大切に作っていたと思います。
それはグランメゾン東京でも取り上げられていましたね
あの回は感動しました。
今の料理人とこれからの料理人像
私の職場に限っての話です。
もしかしたら他のレストランなどにも当てはまることがあるかもしれません。
私の働いている結婚式場はお客様の顔が見れません。
料理自体は大変手が込んでいて、レストランみたいなことをしています。
結婚式場は簡単な作業工程や冷凍ものを使っているイメージでしたが私の職場はフォン(出汁)やジュ(ソースのベースになるもの)は骨から引きますし、デミグラスもっソースエスパニョールからしっかり作っています。
古典料理もやるし、逆に既製品はトマト缶くらいという大企業ではかなり珍しい手づくりの現場です。
でもそんな調理工程にこだわっている現場でもお客さんの顔が見れないとその工程はただの「作業」に変わる可能性も大きく、心理的にはかなり不安定です。
もともとはお客さんありきの業界
それはお客さんがお金を落としていってくれるからではなく、おいしいって言ってもらえる表情が料理人の「明日も頑張ろう」っていう心の給料になるからです。
私たち料理人は「職人」の世界に身を置くものです。
どうしても職人は「完成品のレベルの高さ」や「自身の納得のいく作品」に目線がいってしまします。
陶芸作家や芸術家などとは料理人は少し違い、日々食べに来てくれるお客さんがいるからこそ成り立つ「職人」の世界です。
お客さんのことを第一に考えて、、、
などという偽善ぶった話はしませんが、お客さんと向き合うからこそ、料理人の「本懐」が理解できると思っています。
自分のカラに閉じこもらず、決しておごらず、誰のためにそこに立っているのかを考えると日々の仕事も少しづつ変わっていくと思います。
私たち料理人は「勘違いしやすい生き物」でもありますので
これからも勘違いしないように包丁を握っていくという意思を込めてここに記します。
これを見ている料理人な方々が
実ほど首を垂れる稲穂かな
な料理人でありますように。
2019/12/27
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。