見出し画像

3人のレンガ職人の"嘘"と働く目的は何かを考えてみた。

どうも飲食店の問題解決YouTuberのタルイです。

今回は飲食店以外の方にも読んでほしいです。転職前の何かのヒントや考えるキッカケになったら嬉しいです。

その前に良かったら動画も観てください。


ここからは動画内容を元にテキストで解説します。



■内閣府の国民アンケートに秘められた謎⁉

まずは図を御覧ください。

内閣府が毎年「国民生活に関する世論調査」として

約6000人近い国民にアンケートしている内容です。

画像1

内閣府の発表によると

・都市規模別に見ると、「社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた者の割合は大都市で高くなる傾向があるそうです。

・性別に見ると、「社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた者の割合は男性が高い傾向。

・「生きがいをみつけるために働く」と答えた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。

・年齢別にみてみると「お金を得るために働く」と答えた方の割合は18~29歳から50歳代で、社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた者の割合は50歳代で、「生きがいをみつけるために働く」と答えた者の割合は60歳代、70歳以上で、それぞれ高くなっている。


注目してほしいのは70歳のところ。

「わからない」が急激に増えています。

私はここに違和感を感じました。

なぜ、70歳を超えると急激に「わからない」が増えちゃうのか?

気になって前年度のアンケートを調べたところ、

前年の同アンケートでも70歳を超えると「わからない」が増えています。

画像2

さらに「わからない」過去15年で比較してみたときに、

最近では10%を下回らないのですね。

画像3


■なぜ70歳になると突然「わからない」が増えてしまうのか?

私は、この謎を解く一つの仮説を立てました。

このアンケートに答えた70歳以降の方は、

現役で働いているときは、

仕事に対して何かしらの目的、

つまり「意味付け」がなされていた。

だが仕事から離れて、

仕事を振り返ったときにその「意味付け」が間違っていることに気づき、

働く目的がわからなくなってしまったのではないだろうか?

と考えました。

つまり...

「働く目的は〇〇だ」と信じていたが70歳も超えて働かなくなったら本当にそうだったのかわからなくなってしまった症候群ではないのか?

長いので短くまとめると働く目的喪失症候群と名付けてみます。


■そもそも働く目的が4つしかないのは...なぜ?


この働く目的喪失症候群が生まれるの謎検証するのに、

どうしても前提条件としてアンケート項目には疑問点があります。

そもそも「働く目的」「お金のため〜」「社会の一員として〜」「自分の能力や才能〜」「生きがい〜」のこの4つしかないことはおかしくはないでしょうか?

政府も働き方の多様性を認めているはずなのにです。

そこでこのアンケートを作った方は何をもってこの4つを定義したのか?

と考えが巡ったところで

「イソップの3人のレンガ職人」の話を思い出しました。

自己啓発セミナー等で語られることが多いので、

ご存知の方も多いと思いますが、

三人のレンガ職人とはこんなあらすじです。



完成までに百年かかる教会を三人のレンガ職人が作っていました。 

●一人目のレンガ職人

画像4

旅人が、一人目のレンガ職人に「あなたは何をしているのですか」とたずねると 

画像5

「見りゃわかるだろ レンガを積んでんだよ」と不機嫌そうに答えました。


●二人目のレンガ職人

画像6

二人目のレンガ職人に同じように質問すると…   

画像7

「レンガを積んで壁を作っています、この仕事は大変ですが賃金が良いからやっています」と答えました。


●三人目のレンガ職人

画像8

三人目のレンガ職人に同じ質問をすると… 


画像9

「教会を作るためにレンガを積んでいます、この教会は多くの信者の心のよりどころとなり完成したら多くの人が喜ぶでしょう!私はこの仕事に就けてたいへん幸福です」と答えたそうです。


めでたし、めでたし。


ちなみに三人のレンガ職人には続編があるそうで、

10年後バージョンのあらすじはこちらです。

10年後、一人目の職人は、相変わらず愚痴をこぼしながらレンガを積んでいました。 
二人目の職人は、もっと賃金のいい仕事があったと言って、賃金は良いけれども危険な教会の屋根の上の仕事に就いていました 。
三人目の職人は、知識や技術を積み、信頼されていたので現場監督として施工を任され、多くの職人を育て教える立場になっていました。
同じレンガを積んでいた三人の違いは、仕事に対する姿勢です。 
考え方がそれぞれ違っていたのが、最初は小さな違いでしたが、10年後大きな差となってしまったというお話です。

これは仕事には取り組む目的と姿勢が大事であり、

仕事とは「やらされ感」でやるのではなく

「やりがい」を持ってすることが大事といっているビジネス寓話ですね。


そしてここからが私が伝えたいところ。


なぜ、このレンガ職人の話が内閣府のアンケートに関連するかというと

もう一度内閣府アンケートの項目を思い出してください。

画像10

似てませんかね?

内閣府アンケートの項目と、

旅人が三人のレンガ職人への質問項目

もしもだが、このアンケートの項目を三人のレンガ職人を参考として作成しているとするならばちょっととんでもないことが頭によぎりました。


アンケートの『お金のために働く』は三人のレンガ職人的にはアウトだっということじゃん!


お金のために働くのはダメなのか?

つまり、「イソップの三人のレンガ職人」的に考えると

内閣府のアンケートで

「お金のために働く」と答えた人は

ダメな人ということになっちゃいます!

これは非道く乱暴な寓話なのです!

みんながみんな「生きがいをみつけるために働く」のであれば、

働き方の多様性を認め働き方改革しようという政府の方針と矛盾しちゃいますね。

ちょっとイソップはなぜにこんな寓話を作ったのかと、

今度はイソップの三人のレンガ職人について調べてみたら...

もっととんでもない事実がわかりました!


■三人のレンガ職人はイソップの創作ではなかった!


衝撃です!私は「三人のレンガ職人」はイソップが作ったものだとばかり信じてました。

たしかいろんなセミナー等での引用でもイソップの名前が使われていたはずでず!


イソップじゃないとしたら誰の創作なんだ?

さらに調べました。


グリム童話に3人の見習い職人という話がありましたが、

ですがこちらは悪魔が登場してくるまったく別の話です。


もう一つは広島県福山市立城北中学校の校長先生が生徒指導の為に創作した説です。


ですがこちらは原本が確認できませんでした。


最有力はピーター・ドラッカー「マネジメント」(management) からの引用です。

しかしドラッカーの本のなかでは「三人のレンガ職人」ではなく、

「三人の石切り工」とされています。

内容も似ています。

一人目は生活のために石を切る
二人目は国中で一番の石切り職人になるために石を切る
三人目は大聖堂を建てるために石を切る

ですが、ドラッカーが指摘しているのは、

三人目の働き方が素晴らしいということではなく、

問題は二人目の石切職人であるという。

二人目の石切職人は自分の技術の誇示のために働いている。

組織としての目標をきちんと提示しないとダメだよと。

というのがドラッカーの指摘したポイントらしいです。

MBO(目標管理)を見えるようにして組織化しないさいは

ドラッカーの「マネジメント」の基本ですね。


以上の結果から、

「三人のレンガ職人」はイソップの創作ではなく、

後世の誰かがつくった創作である可能性が高いですが、

誰の創作なのかはわかりません。


誰が創作したかはわかりませんでしたが、

なぜ三人のレンガ職人を創作された目的は何だったのかを考えてみました。


■そもそも三人のレンガ職人の話は矛盾だらけ

これは私の見解ですが、

よくよく考えてみると、

三人のレンガ職人は矛盾と心理学でいうところのダブル・バインドを含んだトンデモ話です。

もしも会社の社長や上司が「三人のレンガ職人」を語りだしたら注意が必要です。

ダブルバインドとは、日本語訳で「二重拘束」という意味です。
二つの矛盾した命令をすることで、相手の精神にストレスがかかるコミュニケーションの状態です。
モラルハラスメントやパワーハラスメントを招きやすく、注意が必要です。


●一人目のレンガ職人のケース

愚痴ってばかりいないで自発的に働きなさいはごもっともですが、

指示・命令で動くのではなく自分から進んで動けと言いつつも、

好き勝手にやられたら困るわけなので、

会社主導で指示・命令を出しているケースがほとんどですよね。

パワハラ上司の常套句ですが、

自発的行動⇔指示命令の無限ループ。
まさにダブルバインド(二重拘束)です。
仕事できない上司の必殺技とも言えます。


●二人のレンガ職人のケース

「仕事はお金ではない」といいつつも、

多くの会社には人事考課制度とか成果主義とかインセンティブとかを用意してます。

「お金のために働くのは気持ち的にどうかと思うが、

でも頑張ったらお金はあげるよ」って説明として矛盾してませんか?


●三人目のレンガ職人のケース

理念を持つことは素晴らしいが、

これで低賃金で働いていたら「やりがい搾取」の可能性も考えられないでしょうか?

洗脳されてると言ってもいいですね。

やりがい搾取(やりがいさくしゅ)とは、経営者が金銭による報酬の代わりに労働者に「やりがい」を強く意識させることにより、その労働力を不当に安く利用する行為をいう。
東京大学教授で教育社会学者の本田由紀により名付けられた。


そもそも論ですが、

私がもし旅人なら職業柄「この作業は機械化できないのか?」とか

「一時間あたりレンガはいくつ積めるのか?」など

生産性が気になります。

いまどき手積みでレンガってブラック企業の匂いしかしませんからね。

まあ、寓話にツッコミ入れるのも大人げないので、これくらいにしておきます。


もし今後、三人のレンガ職人の話を自己啓発セミナーとか、ちょっとパワハラ気味の上司が語っていたとか聞いたら失笑してしまうかもしれません。


■[まとめ] 誰かの言った「働く目的」に意味あるのか?

当初の目的は

「なぜ70歳を超えると『わからない』が増えちゃうのか?」を検証することでしたが…

だいぶ脇道にそれて「三人のレンガ職人は誰が創作したのか?」の

ミステリーになっちゃいましたが、現時点のまとめです。

画像11

わたしのまとめです。


誰かが言った「働く目的」に意味があるのか?

目的の意味付けがないとダメなのか?

誰かが言った働く目的に意味なんてないことに70歳以上の約10%の人はそこに気づいたのではないのでしょうか?

「働く目的は●●でなくてはならない!」という意味付けって要りますか?

もちろん自分の中で目的を持って働くことは尊いことだと考えますが、

それが誰かからの強要や刷り込みであってはいけないことだと考えます。

そもそも自分の働く目的を誰かに聞いても

正解の答えを持っているはずなどありません。

働く理由に、明確に決まった正しい答えがあるわけではない。

その意味においては「働く目的に意味はない」のです。


●自分で自分に「働く意味」を与えること。

むしろ、自分で自分の仕事に意味を見出し、

もっと柔軟な心で生きたっていいということ。

もちろん、これは48歳の時点の私の妄想です。

真実はわかりません。

私が70歳を超えたときには自分の答えを見つけてみたいですね。

ただ私は他人の言動や出来事に自分の感情が振り回されるのだけは嫌なのです。


最後まで私の妄想話にお付き合いいただきありがとうございます。

よかったnoteのコメント欄に感想をいただけると嬉しいです。もちろんスキだけでも、書き続けるモチベーションになるので嬉しいです。





記事がお役に立てたら100円サポート願います。 noteで頂いたサポートとAmazonアフィリエイトは児童養護施設を退所する子どもたちの就労支援団体ブリジッフォースマイルさんに毎月寄付させていただきます。https://www.b4s.jp/action/contribution