見出し画像

日本人が抱く『生きづらさ』の正体は同調圧力!|【読書日記】ドイツではそんなに働かない

なぜ、ドイツでは労働時間が
日本より年300時間も短いのに
生産性が1.4倍もあるのか?

どうも
安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタントの
タルイです。

週イチでnote更新してます。


早速ですが本題に入ります。

 ▼ここに「ドイツ」と「日本」を
 数字で比べた図があります。

ドイツと日本


ここの数字に現れていない真実をお話します。

年間総実労働時間において
日本とドイツで年間317時間の差ですが

ここには日本特有の
サービス残業時間は含まれておりません
実際にはもっと差があることでしょう。

さらにGDPにおいて
日本は世界3位でドイツは4位ですが
一人当たりだとドイツは世界10位で
日本は24位と順位が逆転します。




明らかに日本よりドイツのほうが
働き方の質が高いです。


さて、
あなたはドイツ人の働き方を
ご存知でしょうか?


・休日は年に5〜6週分は取る
・日々の残業は限定的、早く帰る人がいても
 「あの人はずるい」とはならない
・毎日、やるべき仕事を終わらせるとすぐに帰宅し、
 夕飯を家族で囲む
・週休3日の女性でもチームリーダーになれる


ドイツは実に働き方が多様でした。


▼こちらの本で知りました


私が本書を読んで感じたのが

日本とドイツは

そもそもの労働観がぜんぜん違う
ということ

日本人の生きづらさのヒントが
ここにあるかもしれないと思えたのです!


詳しく書いてみます。



◆著者の隅田 貫さんはどんな人?


画像3
大学卒業後、三菱東京UFJ銀行(旧東京銀行)に入行。フランクフルト勤務を経て独プライベートバンク、メッツラー・グループで日系機関投資家を対象とした投資顧問業務を担当。20年以上におよぶドイツでの勤務経験を活かし、日独産業協会の特別顧問としても活躍中。

隅田さんは、
1985年から通算20年にわたり
ドイツで暮らし、
ドイツ人と共に働いてきました。


そして
2005年には
ドイツ老舗プライベートバンクである
メッツラー・グループの
フランクフルト本社に

初めての日本人社員として
入社されました。

その経験と知識が本書には
凝縮されてます。


【目次】
序 章 生産性、日本とドイツで差がつく理由
第1章 「自立・独立の考え方」が生産性に直結【意識】
第2章 報・連・相、会議……「それ本当に必要?」【コミュニケーション】
第3章 退社時刻を決める、優先順位を考える【時間管理】
第4章 フラットな組織は「スピード」が速い【チーム】
第5章 まず「休む」、その後に「仕事」がある【生き方】
第6章 リモートワークでも「日×独」式の働き方を

【個人の意識の持ち方】
【コミュニケーションの取り方】
【時間管理】
【チーム・組織の考え方】
【多様な生き方】
【コロナ時代の働き方】

以上6つの項目で
ドイツと日本の違いが書かれてます。


さて、ここからは

『日本とドイツの労働観の違い』

本書の重要なキーワードである

『同調圧力』『アサインメント』

について書いていきます。


◆そもそも日本とドイツは『労働観』がぜんぜん違う


まず前提として、
日本とドイツは似ているところもあります。

●国土面積はほぼ同じ
●GDPは3位と4位
●ドイツも日本も敗戦国
●日本もドイツも産業立国(ものづくりの国)
●ビール好き



ビール好きは私の主観ですので
違うかもしれません。


ですが働き方に関しては
おおげさではなく180度も違いました。


ドイツ日本研究所の
ヴァンデンベルガー博士は

日本とドイツの違いについて
次のように語ってます。

画像2
「ドイツと日本は、国民をどう捉えるかの考え方が違います。ドイツは国民をどちらかと言えば労働者と捉えて、労働者の権利に重きを置いてきました。日本は消費者だと捉え、消費者の権利を重視してると思います。」


つまり...


ドイツは労働者ファースト
日本はお客様ファースト


なのです。



ドイツでは
労働者の権利を重視するために
休日を充実させ

一日に働く時間も厳格に決めて
徹底的に働きやすい国
作り上げました。


日本では「お客様が神様」信仰が
いまだにあり。

いいモノ・サービスを
安く提供するのが「当たり前」

反面、
これがストレスの要因にも
なっています。


日本では月〜金曜日を「平日」とし
「週休2日」といいますね。

これは、
日本では働く日が普通
休日が特別という意味にも取れます。

ドイツでは「週休2日」とは言いません。
あえていうなら 『Fünf Tage Woche』
日本語のニュアンスだと「週5日労働」です。


これは、日本とは違い
働くことがある意味『特別』だと考えて

週の中にどれだけ特別な日があるかに
注目する考え方の表れなんだそうです🤔



ドイツには『閉店法』という
ユニークな法律もありました。

なんと!
日曜と祝日はスーパーやデパートも
営業してはいけないのです。 

この法律は段階的に改正され
今では24時まで営業している
スーパーはもあるにはあるそうです。

ですが24時をまたいで営業する店は
存在しません。


私は知らなかったのですが
25時とか26時という時間表現は
日本だけだそうで
海外の方には通じないそうです😅



ドイツでは
労働効率』を大切に考えてます。

非常に合理的な発想をします。

例えば
日本人は上司の命令で
夕方に緊急の作業が入った場合

当初予定していた10の仕事にプラスして
残業してでも緊急の作業に対応します。

ドイツ人は
自分のプライベートを犠牲にしません。

優先順位の低い仕事は、
堂々と翌日に先送りします。

ドイツ人の発想は
そもそも夕方になって

緊急の仕事が発生することのほうが
問題と考えます。


「しない仕組みづくり」を考えて
徹底的に労働効率を考えるのです。



私はこのくだりで

行動経済学でノーベル賞を受賞した
リチャード・セイラー博士の座右の銘

「明日に延ばせることを今日するな!」

を思い出しました。


リチャード・セイラー博士は
すきっ歯でだらしない人でなく

非常に合理的発想の
持ち主だったのですね💧


また
労働効率を上げるために
ドイツには画期的な法律があります。

「労働時間貯蓄制度」です。

この制度は残業した時間を
労働時間貯蓄口座に貯めておき

ある程度貯まったら
有給休暇などに使える制度です。

なかには育児や介護のために
まとめて使う人もいるそうです。

企業としては残業はなるべく支払いたくない

労働者側は残業代がもらえないなら
さっさと帰りたい。

両者のニーズが合致した結果
定時に帰るために自然と
生産性が高くなります。

素晴らしい制度です😊


●「ワークライフバランス」ではなく「ライフワークバランス」  


この働き方の考え方の違いを
一言で表すと


日本は「ワーク・ライフ・バランス」

仕事があって人生とのバランスを考える。


ですが
ドイツでは著者の言葉を借りると

「ライフ・ワーク・バランス」 

なのです。


このドイツにおける「ライフ」とは

生き方のことでなく、
家庭とイコールなのです。

家族やパートナーの時間を
何よりも大事にします。


前回の記事でまとめましたが

幸福の順番は
「健康→つながり→お金」でした。


お金を得るために仕事して
健康を損ねたり、
家族と不仲になっては意味がないです。

画像4


あらためて考えますと
この図の本質を理解するためには

「ライフ・ワーク・バランス」

で考えることが
重要だと私は考えました。



●日本とドイツでは「目標管理」も違う

ドイツにも、いわゆる「ノルマ」というか
計数管理はやってました。

しかしドイツでは、
日本でよく見られるような
「叱咤激励」が飛ぶことはないようです。


ある時、墨田さんは
このことについて
尊敬するドイツ人の上司に
思い切って質問をぶつけました。

「目標管理がすこし緩いのではありませんか。
もっと定期的に進捗をチェックしていかないと、
目標必達は難しいのではありませんか?」


そのときの上司の答えは...

私はそのような圧力をかけたり
管理をしたりは決してしません。
なぜなら、たちまち『できない理由』が
数えきれないほど上がってくるだけだからです。
私が知りたいのは、どのように前に進むかであって、
前に進めない理由ではありません。
そのような圧力では社員の士気は上がりません」


私もビックリ!
なんてかっこいい上司なんでしょう!

「圧力」をかけない上司って
まさに心理的安全性を担保してくれる
これからの日本に必要な上司像ですね。



◆ドイツでは『忖度』で報連相をしない


またある時、墨田さんは、
部下だったドイツ人女性から
彼女のミスでトラブルが起きていると
報告を受けました。

墨田さん:「なんでそんなことをしたの?」


この時の彼女の返答が凄いです。

「ミスター・スミタ、あなたの仕事は
『なぜ?』と聞き返すことではない。
事後処理にベストを尽くすのが、あなたの仕事だ」


上司に、言い返したっ❗❗❗

さらに...

「ミスター・スミタ、もう一つ言わせてもらうけど、
私が今報告しなかったら、
私がルール違反をしたことはわからなかったはず。
私に対して、『報告してくれてありがとう』と感謝すべきだ」

...ドイツ人、強えぇ❗❗❗


隅田さんは、
この時に良い学びを得たと
振り返ります。

誰かが失敗しても、
個人を避難したり犯人探しをするよりも

失敗したら
「次はどうしたらいいか」
が重要です。

しかし
日本は往々にして
上司は部下にいま必要な対処法を 
考えるより先に

出来ない理由失敗の理由
探ろうとします。


本書で知りました。

英語にもドイツ語にも
「反省」に近いニュアンスの言葉は 
無いそうです。 


失敗したら反省するのではなく

「次はどうしたらいいか?」

実に合理的な考え方ですね。



◆生産性のために自分のアサインメント(割り当て)を理解し、実行する


またまたある日、

隅田さんが会社のポストに届いていた
郵便物をオフィスまで持って上がって

「これ、届いていたよ」
と秘書のデスクに置きました。

すると秘書は怒りました💢

「これは私の仕事であって、
あなたの仕事ではないでしょう」


...えっ!秘書さん
そこは「ありがとう」じゃないの


これがドイツ人が認識している
アサイメント(業務割り当て)です。


秘書にとっては郵便物を持ってきて
みんなに配るという業務が
アサインメントに含まれてます。


それを他の人が
本人の断りもなくやってしまったら
越権行為になってしまうのです。


逆に日本では
「誰が行うか明確に決まっていない仕事」

いわゆる
「みんなの仕事」が多すぎます。

一つの作業をみんなで担当することで
結果、一人当たりの仕事を増やすことになり
全体効率が悪くなっています。


また、
個々のアサインメントが
しっかりしている会社は
そのために必要な権限が与えられます。


これが生産性をあげる要因に
なっています。


日本では毎度おなじみの 

「上司に相談してみます」


権限委譲がしっかりとなされる
ドイツではありえないセリフです。


担当者が即断即決できない理由で
他社に仕事を取られてしまうことなど
無いのです。



◆まとめ 日本が生きづらいのは「同調圧力」の国だから


最後に、本書では触れていなかった日本とドイツの違いを
私からあなたに伝えます。


自殺者の数です。


画像6


特に日本は
39歳までの若い世代の方の自殺が
圧倒的に多いです。


なぜ日本はこんなにも
「生きづらい」国なのか

私は本書から学べました。


生きづらさの正体は

『同調圧力』です。


▼ドイツ在住フリーライター雨宮 紫苑さんが書かれたコラムです。

このコラム内でも同調圧力に触れています。

自分は多数派に所属するごくふつうの人間だから、自分の価値観は正しい。そう信じて疑わず、平気な顔で他人に「こうすべき」と言ってくる人が多すぎる!



じつに多くの日本人が、
「同調圧力」に屈してしまうのです。


「人は人、他人は他人」です。



もちろん傾聴力は必要です。

ですが
他人の意見のままに生きることは、
他人の人生を生きるということです。


そもそも
他人は周りの空気によって
「言うこと」がまったく変わるものです。


さらに厄介なことに
他人は何一つ、
あなたの人生の「責任」を取りません。


そして職場で生きづらさを
生み出す原因は

アサインメントが

はっきりしていないことです。


最近では日本の若手社員が

「それって僕の仕事ですか?」と

権利ばかりを主張すると言われてます。


「権利」を主張する前に
「責任」を果たせ!

と考える方もいらっしゃるでしょう。


ではその責任とはなんですか?


責任とは「同調」することになってませんか?


空気を読んで忖度することが
責任なのでしょうか?


私はこう考えます。


責任とは

「アサインメントを遂行する」

ことです。


日本のアサインメントが

はっきりしない働き方が
おかしいのです。


アサインメントを
はっきりさせることは
悪いことではないのです。

アサインメントを決めることが、
本当のマネジメントでしょう。


「みんなの仕事は誰の仕事でもない」


個人の「責任」と「アサインメント」が
しっかりとリンクすれば

アサイメントをまっとうすることが
個人に求められる責任と徹底できます。


本書では「同調圧力」と
「アサインメント」に関して

まだまだ沢山の事例が紹介されてます。


これからの日本の働き方の
ヒントがたくさん事例として
書かれています。 

ご興味のある方は
是非お手に取ってみてください。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

感想はスキとコメントで
教えていただけると嬉しいです。



トークで相談-2


記事がお役に立てたら100円サポート願います。 noteで頂いたサポートとAmazonアフィリエイトは児童養護施設を退所する子どもたちの就労支援団体ブリジッフォースマイルさんに毎月寄付させていただきます。https://www.b4s.jp/action/contribution