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勝部祐子から記事が届いた6

勝部祐子からメールで写真と文章が届きました。これから配信準備なので、そのままさらっと掲載!

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リノリウムをきれいに巻けなかったら、イッツフォーリーズに入れませんよ!なんて冗談を後輩に言ってた頃もありました。

今回は舞台の“仕込みとバラシ”についてちょこっと。ざっくりいうと、“仕込み”とは、大道具など舞台で使うものを搬入し、照明・音響などのセッティング作業を行うこと、“バラシ”とは劇場から撤退する作業のことです。

イッツフォーリーズは、舞台の仕込みとバラシを劇団員も行います。ただ、年齢が上がっていくと免除されるとなっていました(私が入団した頃は40歳以上だったかな……)はい、過去形です。そうなんです!数年前、この基準でいくと作品によっては仕込みが出来る劇団員がいない⁈と言う状態になって、公演ごとで判断となりました。でも、今は若い劇団員が増えたのでそんなことはないのかな。 

初めての仕込みバラシは緊張しました~。それこそ前に書いた初めての旅公演なんて、本番の数倍のエネルギーを仕込みバラシに使っていて、先輩に、「本番と仕込みとどっちが大切なの!」なんて注意されたことがあるくらい。演劇関係の学校を卒業している後輩は、マイガチ袋を持っていたり、みんなビックリするほど飲み込みが早い。いやぁ~吐くほど緊張していた自分を思い出すと笑っちゃいます。(ガチ袋…ガチっていうのは、舞台なんかで使う平台どうしを固定するコの字型のクサビのことで地域によっては『つかみ』と呼ばれる。大道具さんや美術の人が釘袋に『ガチ』を入れていることから舞台やテレビ業界で『ガチ』を入れる袋『ガチ袋』になったらしい)

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これは、2004年初演で2012年まで各演劇鑑賞会で公演したミュージカル『天切り松 人情闇がたり』の朝の仕込み風景(2012年)。

公演委員長だった金村瞳ちゃんから、会員の皆さんに手順を説明している風景。なぜがお公家様のように白く光っているのは吉田雄君。

『天切り松』の場合、開演時間が18時だと朝9時に仕込み開始です。会員の皆さんと一緒にトラックから荷物を降ろして、まず床にリノリウムを敷きます。会員さんはここまで手伝って下さいます。その後、照明、舞台セット、音響を仕込んでいく流れの中で、劇団員は道具や音響、照明、衣裳などの係に分かれて動きます。だいたい仕込めたところで、軽く掃除をして13時前くらいに役者は終了です(スタッフはまだまだ続きます)。途中に休憩も入れるので、私はケータリングも制作と一緒に用意してました。

開演までは、休憩してアップして16時からサウンドチェック1時間。準備して本番となります。本番中に片付けをすることもあります。特に小道具などはタイミングを見て後輩たちが仕舞ってました。

バラシは2時間以内。大体仕込みと逆手順です。最後は、会員さんと一緒に吊っていた幕を畳んだりリノリウムを巻いたり。疲れていてもこの会員さんとの時間が、たまらなく楽しかったですね。

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ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』のバラシ後の会員さんとの集合写真(2013年)。

東北ブロックの公演の時のものです。みんないい顔してるでしょ!(私、目を閉じてますが……)この公演は、制作でもあったので、開演するまでスタッフとして動いていて、本番始まってからストレッチして楽屋で小さく発声練習して、本編ラストのヴォーカルに向けて準備していました。(物語が終わった後、いずみたくのその後の作品から5曲ほどお届けするシーンがあったのです)

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ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』公演後の集合写真(2017年)。

“仕込みとバラシ”は、正直、嫌いではなかったですね。仕込み、公演をやってバラシが終わると、へとへとで身体のあちこちが痛いのは事実。女優としてマイナスになるなんてことを言う人も周りにいます。でもね、初めてお邪魔したホールと仲良くなる瞬間があって、舞台セットのちょっとした違和感に気づいて、客席でアップしながら出来上がっていく舞台を見つめるのが好きなんです。何より、本番に向けてモードを切り替えていく時間が好きでした。

そう言えば、とある公演で退館時間の関係で翌日にリノリウム巻きとトラックの積み込みをしなくちゃならない時があったんです。男性はトラックで積み込みをし、私ともう一人の女性二人でリノリウム巻き。ちなみに、3尺幅で長さ9mのリノリウム全部で16本です。上手(かみて)と下手(しもて)に分かれて1本ずつ巻いていって、2本目に入ったところで首から下げた携帯が鳴っていなくなるその人。

私は、気にせず巻き続ける。汗が垂れる。あれ?戻ってこない。巻き続ける。見ているだけの小屋付きさんたち。巻きながら、「私が若くて可愛かったら手伝ってくれるのかな」なんて一瞬考える。汗が垂れる。巻き続ける……。

「ごっめ~ん!」と戻ってきた頃には、私、人生最高記録、きっと破られることはない13本を巻き終えていました。ね、社長!

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