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騎竜雷撃隊

国家間の軍事的均衡が、保有する竜の頭数によって決定されていた時代は、今や過去のものとなった。
大型竜の保有数こそが国家の軍事力であり、その隔絶を覆しうるものなど存在しない…100年近くもそう信じられてきた。
半年前までは。
大内海のほとりに位置するヴァナルフト公国が、関税交渉のもつれから西のナールフ王国と開戦するに至った時、勝ち目があると考えた者は皆無だった。公国は小型の偵察竜騎しか持たない。勝てる訳がなかった。
しかし、常識は覆った。
「雷撃槍」と名付けられた新兵器で武装した、軽快な偵察騎を駆る「騎行隊」は、開戦一ヶ月でナールフの大型竜六騎を屠り、諸外国を唖然とさせた。
誰もが思い知った。竜は殺せる。それも想像よりも遥かに安価で、簡単に。
その後数ヶ月で、大陸は未曾有の戦乱に覆われた。「竜力均衡」(balance of dragon)に代わる新たな秩序を求めて、人々は血塗れの茨道を歩き始めたのだった。

(続く)

(追記)続きを書きました。


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